底辺のおっさんは、彼女は『持ってる』と確信した
竜帝が飛び立ち、俺達居残り組は指令部のエントランスに集まりヨンタが投影するアイバット達の視覚情報を眺めたり、念話で遠征メンバーに竜帝の乗り心地や安全性を尋ねたりして竜帝による大人数移動に必要そうな物を割り出して行く。
まぁ、真面目にそれをやっているのは俺だけだったりするのだけど。
んでもって、卯実に王様やリール王女を乗せて来た荷馬車を使って開拓村に残された品を回収しに行ってもらおうとしたら脳筋鶏頭が自分が荷馬車を牽くと騒ぐ事騒ぐ事。
結局はいきなり鶏頭が現れたら騒ぎになると、宥めて村の近くでブロゥは待機するとなったのだが、卯実、朝丘、ジャンのおっちゃん、ブロゥが移動する事でこの砦の警備はシドしかいない事になり複数の方角から攻められた場合、少し不安だ。
俺の不安はよそに状況は進む、この世界での軍隊の規模や行軍速度は良く分からないが、シャルローネ王女達が森の手前辺りまで来るのに20日ぐらいだったはずだけど、竹井君の全力疾走でおおよそ1日。
砦と王都の距離が全く想像出来ないから少し計算してみるか、暇だし。
何かの漫画で歩兵は1時間で6キロ進むとあったけど、それがこの世界でも通用する訳がないし、魔力を使わない場合は身体能力に差はない。
行軍訓練の有無や食品等の物資がある事等を鑑みて、時速5キロ進むと過程する。
食事は朝晩の2回、昼に休憩1回として、起床が5時、食事と点呼で1時間、行軍開始が6時で正午までの6時間で、6かける5だから30キロ進む。
昼飯の文化は無さそうなので、だいたい30分の休憩。
夜営の支度があるからザックリと4時間の行軍とすると、1日10時間、50キロ進む計算になる。
と言う事は50キロかける20日でざっと1,000キロになるけど、その場合竹井君は時速200キロくらいで走って来た計算になるな。
直線で北海道から富士山くらいの距離だった様な気がするが、路面を考えるともう少し近いか?
「マスター ヤマモト、少し良いか」
俺が余り意味の無い計算をしていたら、姿の見えなかったホルダーから連絡が入り計算をを中止しホルダーに返事を返して話を聞く事にする。
「私は現在ベルギア王国の王都上空にて、現状確認をしているのだが、君達の前世風に言えば『持ってる』な」
「持ってる? どう言う事だホルダー」
「なに、真帝国兵が横柄かつ不条理を働いているだけだよ。
このタイミングで王位継承の正統性を主張し、王都を奪還したのならばどうなると思う。マスター ヤマモト」
なるほどね、確かに『持ってる』な、シャルローネ王女は




