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底辺のおっさんは、魔女の一撃に脱力する。

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 イットゥーの合図ハンドサインで俺達は立ち止まり、次の合図を待ていると、イットゥーの次の合図は『待て』でそれに従う。

 地面を調べたイットゥーが再び『待て』の合図ハンドサインを出し『敵』『数2』『数4』『待て』と合図ハンドサインを続けて出した。

 合図ハンドサインの意味は『敵と思われる存在が2体から4体あり、確認するまで待機』だ。

「マスターヤマモト、イットゥーを『視て知る』事で判明したが相手はオーガーと思われる。

 まともに殺り(や)合えばこちらにも被害が及ぶ可能性を有する相手だ、そこで初撃はヨウに任せて貰えないだろうか?」

「ホルダー、無闇に『視て知る』なよ」

「私が『視て知る』事で情報の伝達共有が飛躍的に向上する。

 危険性の排除に有用である事はマスターヤマモトも理解しているはずだ。

 もっとも、今回の様に戦闘に発展する可能性があると判断した為に『視て知る』事にしたに過ぎ無い、最低限のプライバシーは守るつもりだ」

「つもりね、まぁ良い。

 ヨウに任せれば楽勝?」

「抱腹絶倒する程に」

「任せる、けど気を付けてな」

ホルダーとのやり取りを終えると、長い指笛の音がした。

 長い指笛は敵に補足された事を伝える合図だ。

 イットゥーは敵に発見されたので敵を連れて行くと待機中の俺達に合図を送ってきた。

 オーガーと思われる敵が来る。

 ゴブリン、オーク、オーガーの3種は邪神の呪いでる事とる事しか頭に無い寄生繁殖生物らしく、昨今の友好的な怪物モンスターでは無く、愛と平和の精神で接した所で文字通り食い物にされるだけだ。

「来たっスよ」

シンの声と同時にイットゥーが飛び出して来た。

「3、オーガー」

イットゥーが報告しながら向き直って、剣を抜き構える。

「ヨウ!!」

俺が両手を広げてJKを受け取ろうとしたがヨウはJKを担いだままホルダーを頭上に掲げてオーガーの登場を待つ。

 邪魔な木々をへし折り、3メートルはありそうなデカブツ、オーガーが3体が間を開けずに姿を現し威嚇の雄叫びを上げたのだが。

魔女の一撃(ストライク・ウィッチ)!!」

ヨウはホルダーを振り下ろして不可視の、魔術の一撃を放った様だが、俺には何も分からない。

 そして現れたオーガー達もきょとんとした顔で仲間達の顔を見合って嗤い合い『失敗した』とオーガーは判断した様だ。

 俺は後退り、オーガーは足を一歩踏み出す。

 オーガーが地面に足を着けたその時、俺はやたらと大きな幻聴を聞く。

『グキ』や『ゴキ』や『ギクッ』と言った幻聴だが、実際にはオーガー共の「オ! ガ! グゥ」や「グググ、ガハッ」や「ギ、ーー」と言う苦悶の声しか聞こえていない。

 オーガー共は一歩踏み出したとたんにに腰砕けに倒れ、自分の腰に手を当て呻き声を上げている。

「どゆこと?」

「マスターヤマモト、君の前世で由緒ある言い掛りを再現したのだが? さあ皆、掃除の時間だ暴れる生ゴミの始末を」

ホルダーがそう答え、俺はやや考え思い当たる。

『言い掛り』『魔女の魔術』『腰に手を当てる対象』『前世の知識を再現』『ガーゴイルには未使用』『名前が魔女の一撃』だ。

 あー、うん、なんだ、それ、漫画知識なんだが、うん、まぁ良いけど、オーガー共は『ぎっくり腰』で殺されるなんざ夢にも思ってなかっただろうにな······

 俺は呆れながらオーガー共の最後に背を向けた。

ぎっくり腰を西洋では『魔女の一撃』と言うらしい(漫画知識)。

とんでもない言い掛りですね。

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