底辺のおっさんは、色々と限界間際の様です
「お人好しだな、マスターヤマモトは、クックッ」
ホルダーに笑われた俺は憮然とする。
結局。俺は人外魔鏡の謎生物JKを助ける羽目に成り、ホルダーに笑われる。
シブとカドゥを引き離す為にカドゥにJKの治療を頼んだのが間違いだった。
治療を受けJKは意識を取り戻し、今はヨウが相手をしている。
何せ意識を取り戻しての第一声が「うわ! 強姦魔!!」だった。
強姦魔と言われたカドゥを俺は宥めるがカドゥはブチブチと文句を呟き、その姿を指差しながらシブが笑い、また言い合いを始め出し、その言い合いを止めながらヨウとトイに失礼な謎生物JKの相手を頼めば「やだ、凄い美人」とほざき、俺を苛立たせた。
悪かったなぁ、野郎はハゲオヤジとカ●ジモドキ達でよぉ。
んでもって、ヨウが勝手に同行を許し、役立たずの俺が背負って運ぶ羽目に成った。
木が何処か行ったから背負ったが、痴漢呼ばわりしないだけマシなJKだけどな。
「あの、やっぱり降りて歩きましょうか?」
転移してからろくに食事も出来ず眠れずに居て体力も限界に近い謎生物JKに自分で歩けとは言えずに俺は黙って背負って歩く。
「主殿は照れてるのよ、若くて綺麗なお嬢さんを背負ってるのだからね」
ちげーし、トイやヨウの方が美人だし。
「やだ、綺麗だなんてそんな事無いですよ、ヨウさんやトイちゃんの方が綺麗ですし」
「んー、なかなかのスタイルに満月の夜の様な艶やかで明るく長い黒髪に長い睫毛と大きな黒曜石の様な瞳、疲労と睡眠不足でボロボロでも十分に綺麗な女の子よ、貴女はね」
「ヤダーもー、そんな事無いですよー。
からかうの止めて下さいよー、ヨウさん」
背負われながら、満更でも無い様子でクネクネする謎生物JK。
こっちもボロボロなんだよ、暴れんなやボケ、捨てるぞ。
「主、やはり我が代わりましょう」
「いや、まだいい」
謎生物JKは怪物に追い回されていたのか、シブの姿を見て小刻みに震えているのが背負っているので良く分かる。
隣を歩くシブの申し出を短く断り周囲を見渡す。
先頭を歩くイットゥーにシン、シロリと続き、真ん中に俺がいて、俺の右にシブ左にトイが並び、カドゥとヨウが俺の後ろに並んで最後尾をシゴが歩き、俺は囲まれている。
1日2日で随分と信頼してんだな、俺。
この世界に来てまだ4日目だ、トイやシブに会ってまだ4日しか経って無い。
それでも、シブ達が俺の敵に回る事は無いと信じている。
俺が加工したフィギュアだからとか、そう言った事では無くシブ達が俺に向ける忠誠の様な何かに対して俺が裏切りたく無いだけなのかも知れない。
俺は謎生物JKに踏み込まない。
謎生物JKも俺に踏み込まない。
結果はお互いに無干渉となる。
それで平穏無事、淡々と予定は消化され事も無しと成るはずが、余計な事をするヤツは何処にでも湧く。
「愚味蒙昧にして矮小成る小娘よ、我が神たる主に背負われる不徳の極みを甘受せし小娘風情は我等に言うべき事が無いのか?」
俺の後ろを歩くカドゥが、色々アレな言い方で余計な事を垂れ流しやがったので。
「黙ってくれよ、今、余裕無いからホント」
俺が懇願すると謎生物JKが俺の肩を叩き怒鳴った。
「降ろしてよ、あたし、助けてなんて頼んで無いし」
「黙れよ!! 余裕ねぇってんだろが!! 日本じゃねーんだぞボケ!!」
怒鳴ってしまった俺の背中で謎生物JKが暴れ出し、俺は謎生物JKを背負ったまま倒れた。
この馬鹿、現状を理解してねぇ、もう死ねよ馬鹿が!!
「そこまでにしようか? マスターヤマモト、ヨウと私に任せて貰えるか? 場合によってはマスターヤマモトに協力して貰うが」
ゴブリン達が武器を手にして俺と謎生物JKを素早く囲み睨むが、ヨウの手にあるホルダーがゴブリン達を止めるべく俺に提案してきた。
「目玉が喋った!!」
謎生物JKの言葉に呆れた俺は「勝手にしろ」とだけ吐き捨てる様に伝えるとヨウはホルダーを謎生物JKの額に押し当てた。
「プライバシーの侵害と成るが些末な事だ。
さぁ、お嬢さん再び体験して貰おう、死と転生を」




