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底辺のおっさん、襲撃される


『空から何かが降って来る』だいたい物語の導入に有りがちなシチュエーションだが、主人公ヒーローだからこそ生還したり問題に対してハッピーエンドを引き寄せる事が出来るのであり、ハゲた底辺のおっさんに出来る事は「助けろ!!」誰かに丸投げだ。

 何せ降って来る存在を捕捉していないのだし。

「マスターヤマモト『ブロンズガーゴイル』だ、召還した転移者を始末して自由を得ている。

 行動指標は転移者の殺害だ」

てか、何処?

 空から降って来ると言われてるのに、文字通りに右往左往し、左右を見る俺はトイが指差す先を見て、初めて空を見た。

 もの凄い速度で青のパーカー姿の少女が頭から落ちて来る。

風道ゼファロード

ヨウの繰り出した風の魔術で落下する少女は、円を描く様な上下繰り返すループ軌道を飛び、速度を落としながら徐々に地上に近付く。

 意識が無いからか? あの娘、洗濯機にブン回されるぬいぐるみの様だな、あ、縞パン見えた。

「マスターヤマモト『ブロンズガーゴイル』は君の前世風に言うと『コンボボーナスを取り零してキレた』状態だ、来るぞ」

ホルダーの警告の後、イットゥーが弓で『ブロンズガーゴイル』の牽制するべく構えた。

 え、アレが『ブロンズガーゴイル』って、みんな分かるの? 遠くね?

 上空200メートル辺りに浮かぶ『ブロンズガーゴイル』と思われる何かが俺達に向けて何かを放ち攻撃してくる。

 上空20メートル程の位置で空を飛ばされている少女が、縦の円を描く回転ループから横の円を描く回転ループに軌道に切り替わり『ブロンズガーゴイル』の攻撃をかわす。

 魔法!! 魔法だ!! デカイ火の玉、ファイアボーだ!!

 分かりやすい魔術を初めて見て、変に興奮した俺はファイヤーボールと思われる『ブロンズガーゴイル』の攻撃に目を奪われ、ただ眺めていた。

「シッ!!」

イットゥーの放った矢がファイヤーボールに当たり、ファイヤーボールが爆発し炎を撒き散らした。

「マスターヤマモトは離脱しろ、少女とトイ殿を頼む。イットゥーはそのまま牽制、シゴは全体の防御だ、遠距離攻撃を防ぎ接近時に盾で押さえ込めろ。

 シロリ、連射が可能ならばイットゥーと共に牽制、無理ならばシゴの周囲で機を待て、残りも同様に」

ホルダーの指示が飛び、最後尾のシゴが前に出る。

「主、この娘は任せるよ! 助けろって言ったのは主なんだから、頼むわよ」

「む、ま、待て魔女と目玉、我が神たる」

シブとの身長差の為俺とトイの座る木を脇に抱えたカドゥが上げた静止の言葉を言い切る前に、大きな円を描く軌道で少女が俺の前方右斜め上から飛び込んで来た。

 少女に巻き込まれて木から転げ落ちた俺は、腹の上の意識は無いが呼吸をしている少女に安堵して乗っていた木を見ると、トイはちゃっかりと降り立ち、飛び込んで来た少女から逃げていた。

 俺は立ち上がる為に腹の上の少女を退ける為に少女を見る、少女にパッと見て大きな怪我は見えず、治療と介抱さえすれば意識を取り戻すだろうと判断し、態勢を入れ替えて少女を背負って立ち上がろうとする。

 重っ、意識の無い人間、マジで重い!!


「魔女!! そして目玉ぁー!! 我が神たる主に何たる事を!!」

怒りに震えながらカドゥが怒鳴るがヨウは『ブロンズガーゴイル』を睨み相手をしない。

「カドゥ、貴殿の役目は治療と交渉にあると私は見ている。

 万が一、マスターヤマモトが負傷したとしても確かな実力を備えた貴殿ならば何の問題も無いと判断し、緊急時故に手荒な方法を取った事は認めよう。

 その件は『ブロンズガーゴイル』の撃退後、マスターヤマモトに謝罪する」

「ぬ、試すとは生意気な魔杖め。

 しかし、実力者は些細な事で憤る事など無い。

 分かっておるな、魔杖ホルダー殿は!」

何コイツ、チョロい

「だが、しかーし、我が神たる主に不埒な真似をしたグズ鉄は赦さん、グズ鉄に裁きをくれてやるわ」

高度を下げた『ブロンズガーゴイル』に目掛けて木をブン投げて、カドゥが吼えた。

 

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