底辺のおっさんは空から降って来るモノは全て厄介事と思っている
明日から1日1話のペースに変更します
埋葬を終えて、シブ達に川辺で食料を探してもらっている今は昼過ぎ。
俺はガタガタでバランスの悪い木の皿をカッターを使い、無心で修正している、あの遺体を忘れたいが為だ。
死亡と言う結果は忘れては成らないが、あの姿形は忘れたい。
木の皿の出来に満足して、刃物で丸太に穴を掘っただけのバケツの修正を初める。
デカイ木の板が3枚あるが、1枚は俺が座り、2枚目にトイが座っり、3枚目は遺体の運搬に使った板だ。
遺体の運搬に使った板で食器を作る気は俺は無い。
ヤだよ、メシの度に思い出しそうだし。
「りゃりゃりゃりゃーっス」
シンがぶれて見えない速さで薙刀を繰り出し、川から魚の群れを陸に跳ね飛ばし、シロリが魚を集め。
「ふん!!」
シブは棒で木を叩いて実を落としてる。
へ、へし折れた、木が。
ま、まぁ、全力全開な魔法少女の世界の小学生女子に比べれば、ふつー、ふつー。
あの世界の小学生女子は、当たり前に川を逆流させたりバカデカイ水柱を立てるし、それに比べれば、ふつー、ふつー、な訳無いよな。
あれはアニメで、こっちは現実。
受け入れよう、現実。
凄いけどあれ、ランク4な訳で、ランク10ならどれ程ヤバいのだろうか? ヨウと言うかホルダー先生がランク10相当らしいがあれよか凄いのか?
「中々な木ですぞ、主」
シブがへし折れた木を担いで戻った。
木が目的だったのかよ。
夕方頃にイットゥー達が兎や鳥を手に帰って来た。
俺は手分けをして夜営の支度するゴブリン達をへし折られ木に腰掛けて眺めながらホルダー先生と今後の話をしていた。
出来る事が火を起こす事しかないしな。
「マスターヤマモト、明日は発見した洞窟に移動し仮の拠点とし、そこで君は静養し我々が目標達成を目指す、相違無いな?」
「洞窟が良く見付かったなぁ、運が上向いて来たか?」
「運では無い、私の特性だ。
バックベアード種は瞳の概念体だ。
其れ故に『視て知る』事が出来る。
バックベアード種は見た存在の『見知った』事を『視て知る』事が可能だ、最も魔力総量の多い存在が相手では『視て知る』事が失敗する事もある。
逆にマスターヤマモトの様に魔力が無い稀有な存在は確実に『視て知る』事が出来る。
例えばマスターヤマモトの前世で最後に見た動画とやらは、幼げな少女が交配するアニメと言うモノだとか」
「ちよ、止め、言うなよ」
「む、ただトイ殿はアニメとやらの少女と同様の特徴がある件を鑑みて交配の対象なのかと確認したいだけなのだが」
「交配言うな!! てか、俺の事は駄々漏れなのか?」
「マスターヤマモトの想像以上にだ。
忘れた事で有ってもバックベアード種は『視て知る』事が出来る、マスターヤマモトが忘却した知識や経験を全て『視て知る』事が出来るのだ」
トラウマとか掘り返せるのかよ。
「マスターヤマモトの記憶から多大な知識を得たお陰で、魔力総量の多い存在で有っても時間を掛けて見る事で『視て知る』事が出来る確証を得た」
さよか。
「話を戻し、洞窟の発見が運では無い理由は、今夜の食事になる、兎や鳥を『視て知る』事で洞窟の存在を知り確認したのだ」
「死体からも知る事が出来るか?」
可能ならあの遺体が誰なのか覚えていてやれる。
「不可能だ、ただの死体は見る事が出来ない、故に『視て知る』事は出来ない。
これは死と言う存在の変質が原因だ、生前とはかけ離れた存在へ変質した為に死体と言う存在に変化する。
マスターヤマモト達の様な場合は再変質した為に『視て知る』事が可能なのだ。
洞窟の発見は完全に変質する前に『視て知る』事が出来た為だ」
「そっか、ありがとう」
仕方無しだな、怨むなよ? 死人。
川魚や鳥『断ち切り』兎で夕食をゴブリン達とトイが取り。
俺のメシは『滋養強草』を擦り潰した物に、適当な枝に刺して焼いた川魚の身の一部が入った物。
トイさん、食い残しを入れるのはどうかと思うよ。
食事を終え、明日の予定を全員が共有するとトイがゆっくりと手を上げる。
「マスター、先程で、食用可能な『滋養強草』が無くなりました。
フィギュア状態の『滋養強草』しかありません。
現在、顕現は凍結しております」
へー、って、収納カプセル使えないって事か!!
「収納カプセルに獲物を入れて貰うのが出来ないのか、どーすっかな?」
「マスター、収納カプセルに収納できる物は、マスターが認識している物体だけです。
生物の収納は一部の例外を除き出来ません。
例外は収納カプセルに収納されていたフィギュアです。
マスターの食料は現在ありません」
そーなんだ知らんかった、てか、教えといてよ。
翌朝、俺達は薄味で醤油か塩が欲しい川魚で朝食を済ませ、洞窟に向かっている。
川の上流にあるらしく、ゴブリン達は弛い坂を登り洞窟を目指す。
俺とトイはシブがへし折った木に座ってシブとカドゥに運ばれている。
何故この2体かと言うと得物の都合だ、2体とヨウ以外はは両手が塞がっているからだ。
剣と弓矢、剣と盾、薙刀、3メートルの砲、それらの他に木を運ぶのは怪物共でも不可能だし、ヨウは女性な上にホルダーの『視て知る』力を発揮する為に余計な障害が少ない方が良いので、シブとカドゥの2体になった。
因みにカドゥは不服を口にしていたが、運び出した途端に態度を変えて「おお、我が神たる主と母なる聖器たるトイ様をお運び出来るとは」とか言い泣いている。
聖器言うな! 女の子に向かって言うな、セクハラいくない!!
ホルダーがあのエロアニメの事を言ったからか余計にそう見えるから、聖器止めれ。
しばらく進み弛い下り坂を下り、少し開けた場所に出ると、先頭を歩くイットゥーが手を上げ止まった。
「主、空から何か来ます」
イットゥーの警告に空を見るが俺には分からん。
「主、女の子だ、空から女の子がこっちに投げ落とされてるっス!!」
え、何処? 何? その新手のパターンは? てか、助けろ!!