底辺のおっさん、ゴブリンを知る
ホルダー先生の説明回。
ゴブリンとが他種族との間にゴブリンを産ませられる理由はこれだと思う。
遺伝も何も無いですし。
「トイ、彼女『召還姫』の名前はトイだよ『問い掛け』や『尊い』ってとこから抜き出した」
ホントは『カプセルトイ』ガチャからでも、あるけどな。
「んー、了解、トイ様ね。
では、改めまして我が主殿。
『ヨウ』の名を謹んで拝名いたします。
非才なれど魔術を嗜み、深淵よりきたれり魔杖『ホルダー』と共に御身の為、全てを捧げる所存にてございます」
ヨウは片膝を着き、魔女の帽子を持った右手は胸に当て、左手を『ホルダー』を横向きに乗せて俺に差し出す。
「望むので有らば、閨にてこの身体、如何様にもお楽しみください。
ゴブリン種ゆえ、子を成す心配はございません。
もし顔が気に入らねば、我が術にて好む顔にして見せましょう」
全くタチの悪い冗談を。
顔が気に入らないって嫌味か! この凛々しげなイケメンめ! スタイルが良く格好いいゴブリンのお姉さん、略してゴねーさんめが。
子供が出来ないとかってからかいやがって畜生め!! って、あれ? ゴブリンだから出来ない? ゴブリンって、オークに並ぶ、くっころ男優だろ? ポコポコ生むんじゃないの?
「ヨウ、悪ふざけが過ぎるぞ。
先程の件で何か疑問でも有れば私で良ければマスターヤマモトにのみ回答するが? いかがな? マスターヤマモト」
「あー何だ、ゴブリンってどんな種にでも子供を産ませられるイメージがあったんだけど、違うのかな?」
「『ただの』と言うので有ればその通りだマスターヤマモト。
ゴブリン種は哺乳類の雌に子を産ませるが『ホワイトゴブリン』やヨウ達『古代ゴブリン』は当て嵌まらない。
ゴブリン種は邪神により呪われた種であり、呪いにより変質した結果が多種族交配に似た生殖行為だ。
ちなみに、呪われたゴブリン種やオーク種、オーガー種等は卵生であり、雄型が卵を哺乳類の雌に植え付けているに過ぎず、精子と卵子の結合による物で無い。
『ホワイトゴブリン』や『古代ゴブリン』の様な呪いに侵されていない種であれば、同種ないし近類種とのみ交配可能だ」
うぇ、ゴブリンって寄生生物なのかよ、エイリアンみたいなヤツだな。
「マスターヤマモト、近類種とは交配可能なのだ。
マスターヤマモトとヨウの交配により子が産まれる可能性は高い。
遺伝子の保全活動により近類種と交配にて変種が産まれる事は自然界ではよくある事だが、ヨウは気が付いて居ない。
『古代ゴブリン』が3人しかいない為に遺伝子の保全活動が行われる事にだ」
ハーフゴブリンの始祖に成っちゃうのね。
「何だ、うん、ありがとう、気を付けるよホルダー」
「ホルダーは何と?」
「性的な冗談、いくない、セクハラあるよ」
「ホルダーが、ですか?」
「あー、俺なりに噛み砕くとだね。
ホルダー先生が、んな風に頭の悪い言い方しないだろ?」
「ずいぶんと気を御許しのご様子。
ホルダーの担い手として喜ばしく思います、我が主殿」
「悪いけど堅苦しいの無しで。
柄じゃ無いよヤッパリ」
言われてると馬鹿にされてる気がするしな。
「実はアタシも好きじゃないわ、堅苦しいのはね」
ヨウはそう言ってウインクした。
だからからかうなっての。
「そだ、度々聞く『低魔圧』って何?」
「『低魔圧』は体内魔力循環障害の一種だ。
『低魔圧』は体内魔力循環の低下により発症する。
正式名称は『体内魔力圧低下障害』
症状は思考の低下、倦怠感等。
生命の危険性は無いが長期化すると身体に各種の障害や魔石を残す可能性がある。
発症条件の多くは体内魔力の大量消失が挙げられ、体内魔力の総量低下が原因である。
他には体内魔力の活性率による発症もある。
こちらは体内魔力の総量が多い生物が発症し易く、寝起き等に多々見られる。
様々な発症条件があり、魔術を履行する者はこの『低魔圧』に陥らないラインの見極めが出来て、初めて入り口に立つと言った所だな。
体内魔力循環障害には『高魔圧』もある。
こちらは体内魔力の暴走状態で~~~」
先生、分かりません。
「ホルダー、主がついて行けて無いわよ」
「ふむ、これは失礼した。
では、簡略して。
『低魔圧』は魔力の低下で頭と身体がボケた状態だ」
うん、アホでも分かる。
「つまり『召還姫』は魔力が足りないから無表情でボケっとしてのか。
名前だけど、今度付け直すか?」
『召還姫』は無表情で首をゆっくりと横に振り、サムズアップしながら答える。
「私は『召還姫』のトイ、今後とも、宜しくお願いいたします、マスター」
宜しくな、トイ。
私は『召還姫』のトイ、こんごともよろしく
悪魔合体成功だ




