底辺のおっさんは、ドラゴンにケンカを売った
一話飛ばして更新してしまい申し訳ありませんでした。
俺達の前に現れたデカい竜、竜帝なのだが、ヤバいヤツだった。
何がヤバいかと言うと。
「勇者よ、どうした? おお! 貴様は転生しているのだったな! 我を忘れてしまっても仕方無し! 善きかな、善きかな。
ならばそこの魔王の出来損ないでも構わんぞ? 久方ぶりの闘争だ! 我を楽しませろ」
と自己完結した後に、指を前後させてブロゥを挑発しやがるイカレた戦闘狂だったからだ。
ブロゥが竜帝の前に出て行く。
「ポのトカゲやポう! ミー達の邪魔をするなポゥ」
「出来損ないが相手か! 善きかな! 容易く終わってくれるなよ!」
竜帝が吼え、立ち上り掛けてた俺は再び転がされる羽目になった。
「待て! 何が目的だ!」
竹井君が竜帝とブロゥの間に入り待ったをかける。
「ヒーロー竹井、邪魔ポ! ミーがポのトカゲやポうをブッ殺すポよ!」
出来損ないと言われて頭に来たのかブロゥが竹井君を押し退ける。
「待ってくれブロゥ。
言葉が通じるんだ、まずは話し合いをしてからでも遅く無いだろ」
「ぽのトカゲやポうは、ミーを代用品みたいに言ったポゥ! 許さないポ!」
肩を掴んで止める竹井君をブロゥは振り払い、前に出ようとする。
「偉大なる竜の王竜帝閣下にお尋ねしたい」
今度はシャルローネ王女が吠えた。
「私はベルギア王国王女シャルローネ・ベルギア、竜帝閣下、ブロゥ殿か竹井殿が勝てば我々を通して頂けるのですか」
「小娘、我が負けると申すか! 我はここで死すると申したか! 小娘!」
竜帝に吼えられたシャルローネ王女が風圧で転がされた。
「モッさんヤバいよ。
ウチ、勇者だったらしいよ」
下井が俺を助け起こしながら訳の分からん事を言い出す。
「この場所で転生者はウチだけ。
転生者が勇者なら、現地人や転移者を除外するとウチしか残らないのでウチは勇者って事になる。
そうなるとウチの覚醒フラグで誰か死んじゃうかもだよ、モッさん」
あー、うん、なんだ、それは無いな、まずお前が勇者とかって草生えすぎだろ。
下井の余裕が有るのか混乱してるだけなのか判断出来ない戯言を聞き流して俺は下井を落ち着かせ様と下井の頭をポンポンと撫でてから竜帝前に向かう。
辺りを見れば、掘っ立て小屋も吹き飛び、片付ける前の食器やテーブルも壊れていた。
ふざけんなよ! どれだけ苦労して作ったと思ってやがるんだよ、クサれトカゲ野郎が!
周囲を見渡せば、卯実がトイを背中に守りトカゲ野郎を睨み、シドは空中に移動してキャノンとガトリングを向けてる。
朝丘とジャンのおっちゃんは互いに庇い合いながら睨んでいて、ゴブリン達も既に戦闘準備を済ませてトカゲ野郎を包囲しているので、なんとかなりそうだから、試して見るか。
「クソトカゲ野郎! テメーの相手は俺がしてヤンよ! アホトカゲ!」
俺は竜帝、最強のドラゴンにケンカを売ったのだった。