底辺のおっさんは、泣きそうになる
カレーライスと、トッピングに、鳥の唐揚げと、兎の素揚げ、兎の竜田揚げ、レトルトのハンバーグがテーブルに並んでいる。
これが今日の晩飯だが、肉ばっかだな……
俺達、と言うか俺と下井以外が蛮族か何かの如くカレーを食らいまくられているので、追加でカレーとレトルトご飯のダンボールフィギュアを作って『食料10日分改』を顕現する羽目になったよ、木箱の中身は菓子だがな。
翌朝、材木を大量手に入れたのでキャンプ地の寝所をそのまま残す事にして、昨夜の片付けをする。
フィギュア化するだけだがな、俺が。
「時にモッさん、現地の人達に受け入れて貰えなかったらどすんの?」
「んー、各自の判断に任せるかな。
俺はシブ達と洞窟に帰ると思うけどな」
「なしてー」
「俺1人残っても意味が無いだろ」
「ほっかー、ウチもダメだと残れないしねー」
下井の疑問に答え終える頃には片付けは終わり、俺達は移動を再開する。
明日には森を出る事が出来るだろう、その後は『豪天號改』や『轟転号』で陸路を進める事が出来る。
そうなれば時間も掛からずに人里に出れるはず。
シャルローネ王女の旅も終り、朝丘が嫁に行き、卯実や竹井君が自分の夢の為に動き出す事が出来る様になる。
みんなバラバラになるが俺達は他人家族だ、仕方の無い事なんだよな。
怪物であるゴブリン達や魔力の無い俺では人里での暮らしは難しいだろうし、これは仕方の無い事なんだよな。
「モッさん、今は無事に森を出る事を考えとこ、先の事は分からんしさ」
下井が俺の腰を軽く叩いて来た。
なんだよ、いきなり。
「モッさん、今、泣きそうな顔してるよ。
竹ちゃんやうーちゃん達と別れるかもって想像したんでしょ。
確かに大事な事だけど、今は森を出る事に集中せんと危険だよ」
「な、泣きそうになんて成ってねーし」
「成ってんの、うーちゃん達にバレたら面倒臭いからシャッキーンとするよろし。
バラバラになるかどうかはそん時になんないと分かんないでしょ? モッさん」
「分かってるし、泣きそうなんて成って無いし」
「ハイハイ」
下井のヤツが再び俺の腰を叩いて先を行く。
俺達はイットゥーを先頭に森を進んで行く。
歩き難い森の中、俺は必死になりのがらみんなを追って歩く。
魔力の無い俺ではあらゆる面で、みんなに劣り足を引っ張ってしまうが、それは仕方の無い事だ。
それでも俺達はその日の内に森の切れ目まで進む事が出来た。