底辺のおっさんは、材木を手に入れました
シドには『へのへのもへじ洞窟』に戻り、持ち出しを諦めていた物を収納カプセルを使って持って来て欲しいので、俺は本日の予定を大幅に変更する事を提案する。
負担が減り、食事の質が良くなるので誰も反対せず、洞窟へ戻るのは、シド、シロリ、ヨウ、アイン君の4名が食堂のテーブルや作業台などを回収して来る事に成ったのだが、ホルダーが残るのは何故だ?
シドが少しだけ重そうに飛び発ち、残る俺達は今いるこの場所の拡張する為に動きだす。
シブは刀身3メートルはある大太刀で木々を纏めて斬り倒し、倒れ木々をブロゥや竹井君がシゴとシンの元に運び、シゴとシンが余計枝を払い落とし、枝が落とされた木々を卯実が下井の元に運ぶ。
下井が木々の皮を剥ぎ、ソウセキが魔法で木々を乾燥させて材木の完成。
材木は最後に俺とトイが収納カプセルに収納してフィギュア化する。
フィギュア化した物を一纏めにして別の収納カプセルに収納すると、一纏めに成ったフィギュアに変化するので嵩張らないで済む。
要はゲームとかのソート機能みたいなものだな。
顕現が出来るだけで作業が捗る事捗る事。
分業で材木を集めていたが、途中で斬り倒した木々をフィギュア化して、フィギュア加工した方が速いと気付き、ブロゥと竹井君は素手で木をへし折り、ソウセキが収納カプセルでフィギュア化して回る。
フィギュア加工はやりたいヤツが任意で参加した結果、昼過ぎには今朝の倍以上のスペースが出来た。
やり過ぎたかもな。
「マスター ヤマモト、君のレベルアップについてなのだが、実に不可解だ。
君は魔力が無い為レベルアップしたところで無意味だ。
身体能力の上昇やスキルの使用は魔力を必要とする為、無意味なのだ。
そして、魔力が無いはずの君が何故、あのタイミングでレベルアップしたのか、説明がつかないのだ」
ホルダーからの念話が来たのだが、俺にしてみれば『そう言われても分からん』としか言えない。
「不可解な事が発生している以上、今まで以上に注意したまえマスター ヤマモト」
「どうすりゃ良いか分からんが、了解したよ」
ホルダーに注意を呼びかけられたが、本当にどうすりゃ良いんだ?
簡易作業台や簡易竈を材木を加工して作っていると周辺歩哨をしていたイットゥーとベルギアの騎士達も戻ったので俺はホルダーを通じてヨウ達と連絡を取る事にした。
洞窟で使用していたテーブルだと足が低いから置いて来ても良いしな。
「ヨウ、後どれぐらいかかる」
「ん、主殿、これから其方に向かうとこですよ」
テーブルとかでも、フィギュアなら邪魔になる物でも無いし問題無いか。
「分かった、晩飯はカレーだ。食いたければ無事に帰ってこいよ」
「分かってます、カレーですもの死んでも帰るわ主殿」
何故そこまでカレーが好きなんだよ、ゴブリン達は。