底辺のおっさんは、収納出来ない
外装があるのでダンボールの作成はすぐに済んだが、イカれ坊主カドゥのイカれた説法は正に邪教の儀式染みて来ている。
共通の言葉を連呼する事で一体感が増し、卯実が踊るかの如くオーバーアクションをするものだから、シンやシャルローネ王女が真似をし始め、更に伝染して行く。
お前等『C』『C』ってうるせぇ!
余りにもうるせぇので完成したフィギュアをヤツ等の頭上に放り投げてから俺は宣言した。
「顕現!」
俺の宣言で加工したフィギュアが現実の物となる。
空中で顕現されたフィギュアはアホどもの頭上で実物大になり、当たり前に落ちて来る。
アホどもは落ちて来るダンボールや木箱を必死に受け止め様と飛び付く。
あ、なんか楽しい、コレ。
現金をバラ蒔くヤツってこんな感じなんかな?
嬉々として飛び着いて確保しようと足掻く様は滑稽で、愉快だ。
「あにやちょるちょなもしー!」
嫌らしく笑う俺のケツを下井が蹴り付けやがる。
コケそうに成った俺は背後に振り向くと暴れる左腕に振り回されている下井がいた。
「食い物で遊ぶなや、ボケ!」
言い分は最もなのだが左腕に振り回されて奇妙な踊りを踊る下井に俺はつい笑ってしまった。
「あー、うん、なんだ、ついカッと成ってやった、今は反省している」
「モッさん、反省して無いよね、ソレ」
はい、しておりません。
「兎に角、邪教の儀式も終わった事だし、飯にするか?」
俺がごまかす為に言った言葉で周囲がざわめく。
そんなにカレーが食いたいのか、チミ等……
「ついさっき食べたばかりでしょ!」
下井料理長閣下がお叱りの言葉を述べられ、カレー狂いのアホどもは肩を落とした。
まだ早いと下井に怒られた俺は仕方無く、収納カプセルを使って資材をフィギュア化し様とすると、卯実に待ったをかけられた。
なんなん、今日は、こんなんばっかだ。
「昨日泊まった小屋に荷物を入れてまとめて収納するって出来ないのかな?」
泊まった小屋と言うか柱と屋根だけのそれは悲しい事にサイズオーバーで収納する事は出来ない。
銀色のカプセルで7立米なので収納する事が出来ないのだ。
以前、家を収納カプセルでフィギュア化して運ぶと言う案が出たが、7立米までしか一度に収納出来ないので不可能だと気付いていなかったのだ。
顕現も凍結されてたしな。
収納カプセルのルールを説明してやると、卯実は肩を落とし残念そうな表情を見せた。
「ありがとな、提案してくれて」
気落ちする卯実の頭をポンポンと撫でてやると、卯実は嬉しいけど恥ずかしいと言った奇妙な表情でクネクネしだしたので撫でるのを止めた。
ヨウが何故か睨んでるし、トイが頭を突き出す動作を繰り返してるしな。




