底辺のおっさんは、山羊夫婦との連絡手段を手に入れる
不吉な程に何事も無くシロリ達が黒いドラゴンを倒した場所までたどり着いた俺達は、シャルローネ王女達からこの先に広がる『邪竜平原』について確認をしている。
曰く、旧帝国時代より前からこの地を支配している巨竜がいる。
曰く、時の王達は皆、巨竜討伐に失敗している。
曰く、巨竜は1匹ではない。
曰く、巨竜の王は神話の時代から生きる竜帝ではないかと言われている。
うん、全く役にたたないな。
シャルローネ王女達からの情報をモノクソ頭の悪いまとめ方をすると。
『邪竜平原の竜、マジレジェンド、マジぱねぇマジつよカイザーじゃね?』と言う感じか? よう知らんが。
兎に角、平原は目と鼻の先だ、保存食のチェックや備品のチェックなどをして今日の移動は終了。
念の為の周辺探索と食料採取は必須なのでシブやイットゥーは大変だ。
八木夫婦以外の全員で移動しているのだから、相当な量が必要だしな。
なんだかんだで晩飯を済ませて、明日の予定を決める為のミーティングをした結果、下井の報告で食料の不足する可能性が判明し、明日は1日食料採取に当てる事となった。
この先の平原では食料採取が難しくなると判断したからだ。
この件はシャルローネ王女達の記憶映像を確認した上での事なのですんなりと決定した。
おかしいな、何ですんなりと決まったんだろう、いつもはグダグダになるのに……
翌日、野草や木の実を集めて食料の補充をし、俺達は明日の移動に備えていた。
個人での行動に不安のある俺やジャンのおっちゃんなどがキャンプ地で留守番をしていたら、白山羊頭の悪魔ライトがやって来た。
「どうした、洞窟に何か合ったのか?」
「特に何もありませぬが、連絡手段がなかった事にレフィが気が付きまして、わたくしが手段をお届けに参った次第でございます、主」
あー、うん、なんだ、アイバット達も全員連れて来てるから連絡手段がなかったな、確かに。
ライトから5センチ程の黒い丸石を渡され、この石に念じる事で山羊夫婦と念話が出来るらしい。
あー、うん、なんだ、手間をかけさせてごめんなさい。
連絡手段の石をありがとう、ライト。




