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底辺のおっさんは、稽古の見学をする

 

 特殊多目的運搬用試作2号機『豪転號』をそのまま生かして拡張ユニットを前後左右に取り付ける事で作成時間と資源(コスト)削減する部外者(アドバイザー)の一言を元に決定した。

 もーもー鳴いた卯実(アドバイザー)があの後に「電車見たいに繋げたら」と言い、俺達はサイズダウンした拡張ユニットを連結する事したのだ。

 因みに卯実(アドバイザー)はアイバットのフューラちゃんとトイとで風呂の準備をしているので今は居らず、下井も晩飯の唐揚げの支度をしているので食卓には俺1人きりだったりする。


「マスター ヤマモト、多少の問題があったが明日には帰途するのだが、先程のは何だ?

 何やら持って回った言い回しだったが」

不意にホルダーからの連絡が来て驚いたが、持って回った言い回しで悪ぅござんしたね!

「要するに小型の荷台を接続して乗員を増やす訳だな。

 付与魔術の使えるヨウとソウセキを常駐させる事で安全性を確保し、遠距離戦が可能なシロリとイットゥーで低下したシドの戦闘能力を補う訳か。

 初回にブロゥを送る事で次回以降の移動人員が増加するので非戦闘員を1度に3人以上は運搬可能になるな」

あー、うん、なんだ、なんで分かるのかなぁ、見てた訳でも無いのに。

「アイバット達が『視て』いたが?」

電気も無い異世界なのに監視社会だとぅ。

「明日ヨウが回復し次第、そちらに帰途する」

スルーですか、まぁ良いけどな。

「帰りは明日だな了解。そんじゃまた明日な」

問題と言うのが少し気になったがホルダーが特に何も言わないって事は、大した問題じゃないんだろう。

 俺はホルダーとの念話を切り上げて洞窟の外に向かう。

 シブ達の出迎えと竹井君達の様子を見る為だ。

 何時まで正義のヒーローごっこをしているんだか。


『ごっこ』とか言ってゴメンなさい。

 はい、この底辺中年が悪かったです、ハイ。

 知らずに見ていると勘違いをしてしまうが、竹井君達がしているのは遊びでは無く『稽古』なのですよ、芝居の。

 竹井君は元は役者さんなので、ブロゥやアンに指導をしていた。

 怪人ニワトリ男はどんなキャラなのかとブロゥに質問形式で指導をしたり、アンにセリフの間の取り方や攻撃の捌き方などを竹井君が熱く指導しながらバトルシーンの完成度を高めて行き、ついにアクションシーンの通し稽古が始まる。


 ブロゥが逃げる様に飛び出し、アンが飛び込みパンチでブロゥを襲う。

 ブロゥが当たって無いパンチで殴り飛ばされて倒れる。

 竹井君がアンの側にかけよってアンに声をかける。

 ブロゥがよろめきながら立ち上がると竹井君がブロゥに「もう逃がさん!」と指差し、アンが「お前の」と言いながらブロゥを指差し、竹井君が「闇を」とアンに続き、最後にアンと2人で「打ち払う!」と宣言し、変身シーンに入る。

 アンが変身して竹井君が全身発光してからブロゥに攻め掛かる。

「深淵より来たるホルダー様に仇なす戦士どもめ、ここで始末してくれるポ!」

ブロゥが構えると、竹井君が「カッートッ!」と叫んで中断する。

「ブロゥ『ポ』はいらないから、次は『ポ』無しね。

 アンも口癖を言わない様にしてるんだし、頼むよ」

「了解ポよ」

ブロゥの返事に竹井君は苦笑してブロゥのセリフから再開だと告げる。

 ブロゥの2度目は『ポ』を付けずに言いきり、竹井君達に殴り掛かった。


 とまぁ『ごっこ』では無く殺陣(バトルシーン)を演じてる竹井君達を眺めて時間を潰しているとシブ達が戻って来たので、それもおしまい。

 こうしてヨウとホルダーのいない一寸(ちょっと)だけ不便な1日が過ぎて行った。

 明日も忙しく成りそうだな。

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