底辺のおっさんは、試作3号機を完成させる
ランプ型の試作3号機はリアカーと言うより馬車だ。
コの字型のフレームとコの字の内側で吊り下げられた箱で出来ている。
コの字の縦線部分に牽引用の取っ手があり、底の横線部分の車輪、上の横線部分にシドが引き上げる為の蔦ロープと取っ手がある。
コの字の内側にある箱は四隅と縦横、屋根の中心から蔦ロープが合計9本伸び、木製の輪っかに繋がり纏っている。
蔦ロープを纏めた輪っかからコの字のフレームと接続する蔦ロープがあり、屋根の中心の蔦ロープと2本で吊り下げている型になっている。
また移動時の箱の揺れを軽減する為にフレームの底と箱の底を蔦ロープで繋ぎ揺れを軽減させる。
イメージ的には座席部分のカボチャを吊り下げたタイプのカボチャの馬車が近いかな、座席部分はカボチャじゃ無いけど。
シブ達に協力してもらい、試作3号機『轟転號』の座席部分をフレームに取り付け『轟転號』は完成した。
そろそろ昼になりそうなのでテストは明日にして今日のところは自由行動を提案して俺達は解散する。
解散するはずだったのだが、いつまでも『豪転号』の荷台から降りないアンや試作3号機の『轟転號』に群がるゴブリン達が邪魔でリアカーが仕舞え無い。
ため息を吐きみんなが落ち着くのを待ちながら俺は陸路の移動を検討していると、卯実に袖を軽く引かれたので顔を向ける。
「もうすぐだね相棒、もうすぐシャル達を家に返してあげられるんだよね」
俺はつい、自分の事の様に満面の笑みを見せる卯実の頭を撫でてしまったが、卯実は瞳を閉じて気持ち良さそうな笑顔を浮かべる。
「そうだな。今のところは問題らしい問題も無いし取り敢えずは森は出れるだろう」
「森を出たら、シャルを家に送り届けたら朝丘とジャンさんの結婚式をするんだよね」
「家って、一応はお姫様だぞシャルローネ王女は。
城だろ、普通は」
「あー、うん、なんだろ、シャルの家ってお城じゃ無いよ、ホルダーに見せて貰ったけど」
あー、うん、なんだ、建築技術の問題か、古い所らしいし。
元々ある領主館をそのまま使っているっぽいが、何故だろ、ホルダーから情報をほとんど貰って無いような気がするのは。
未だに俺だけ映画やアニメを見せて貰って無いし。
「この機体を自分が1番上手く扱えるんであります!」
アンの怒鳴り声がして俺はそちらに顔を向けると、ブロゥとアンが見合っていた。
多分、睨み合いなんだろうけど、鶏の表情は分からん。
「ミーがトレーニングに使うポ、とっとと降りるポよ、へっぽこ小娘」
「何を言うのでありますか! ブロゥ殿は反復横跳びでもやっていれば良いのでありますよ」
ブロゥが筋トレに使うから降りろとアンに言ったら、アンが拒否した様だが。
あー、うん、なんだ、一番上手く扱えるのはシドだし、筋トレなら3号機を使えよ。
もしくはアンを乗せたまま牽くとかしなさいよ、全く。




