底辺のおっさんは、実感が無かった
女性陣に殺到するスライムの触手を飛び出したシブが更に伸ばした自慢の棒で巻き取り、シブは力任せに触手の絡まった棒を振り触手の本体を空中に投げ出した。
シブによって空中に釣り上げられた人の姿をしたスライムが頭髪を触手に変化させて女性陣に伸ばす。
「イットゥー!」
シブの合図でイットゥーが矢を放ち、人型スライムの核を射射く。
核を失ったスライムは溶けて崩れながら地に落ちたがスライムはまだ残っている。
シドの背中に飛び乗ったシロリがバスターランチャーをブッ放して邪魔な木々を吹き飛ばして殿スライム共を炙り出す。
バスターランチャーに巻き込まれたスライムの核をイットゥーが射抜き2体目。
ソウセキが氷の魔法でスライムを凍りつかせ、竹井君がスライムを蹴り砕いて仕留めて3体目。
女性陣に向かうスライムを背後からシンがスキルアーツ『スピニング・スラッシュ』で核ごと真っ二つに切り裂いて4体目。
4体目がシンに切り裂くのと同時にシブの繰り出した回転突きで人型スライムの上半身を吹き飛ばして核を剥き出しにするとブロゥが目から光線をだして砕いてラスト!
どうでも良いがブロゥは何処に行きたいんだよ! スーパーロボットかピッコ○大魔王かよ目からビームって!
「マスター ヤマモト、大丈夫か」
「ん、大丈夫だが、どうしたんだホルダー」
「君の認識ではある意味で我々は人を殺したのだがマスター ヤマモト、もう一度尋ねるが大丈夫なのか君の心は」
「あー、うん、なんだ、実は実感が無いんだ。
オークやオーガーとかなら死体がある分、命を奪って生き延びたって実感や気持ちの悪さが有ったけど何も残らないスライムだと実感が無いんだよ人を殺したのにさ、ブッ壊れたのかもな俺は」
俺は頭をコツコツ叩きながら自虐的に笑う。
「マスター ヤマモト、私は人を殺したと言ったが気にする事は無い君は正常だ。
あれは人だった化け物だ、ヤツの過去も今も未来も君が気にする事では無い、ヤツの自業自得だ。
そして君が背負う責任は我々が受けた被害のみだ、君は神では無いのだから全てを救う事は出来無い」
「神様だって全ては救え無いさ、何せ俺達はこんな所でサバイバルしてんだし」
「確かに、転移転生などさせずにそのまま救えと苦情の一つも入れてやりたいモノだなマスター ヤマモト」
俺とホルダーはクツクツと笑い出し、みんなに変な顔をされてホルダーが俺とだけ念話をしていた事に気付いた。
目玉野郎めここまで計算ずくかよ、気を回し過ぎだろ。
「あー、うん、なんだ、そろそろスライム野郎を追いかけようか」
みんなに誤魔化す様に俺が告げると「応!」とみんなが応えてくれた。




