底辺のおっさんは、潤んだ目で見詰められる
寝オチで投稿し損ねました、すいません
やはり空戦の能力のあるシドとシロリのコンビは正解らしく、バスターランチャーによる対地攻撃でオーク共の増援を一撃で始末したとの報告が来た。
俺が戦場に着く前にはオーク共は全滅しているだろう。
「モッさん、この先にいる転移者と揉めた事があったらしいけど大丈夫なん、そいつ?」
「頭がヤベぇヤツだが情報収集の為だ、割り切るさ」
「モッさんが割り切れても、他のがさ」
「あー、うん、なんだ、大丈夫だろ、多分」
「多分かよ!」
下井のツッコミでオチをつけ、俺達は先へと進んだ。
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俺達が辿り着いた時には戦闘は終了しており、シブ達はオークの死体を銀色のカプセルに収納して回っている。
「マスター ヤマモト、オーク共の記憶から、混成部隊の前線基地を把握した。
シド、シロリ、イットゥーの3名は奇襲に向かっている。
現在の奴等は形振り構わず大繁殖中なので3人を動かしているが、問題は?」
「大繁殖って、人がいるんじゃないのかホルダー」
「奴等は猿等の人型哺乳類を利用して繁殖している事が判明したのだが、このままでは我々でも危険な数になる。間引きが必要だ」
「なるほど了解だ」
ホルダーとの念話を打ち切り、俺は諦めてチャラ男に向き直ると、気絶しているヤツはデカイ狼に守られながら、自ら下半身を使い地面に水溜まりを作成している。
また漏らしてんのかよ、こいつ。
「ウゥー、ナニヨ、アナタ、イタイ スル クノウニ」
デカイ狼が俺に唸っている。
翻訳スキルが仕事し過ぎて言葉が通じてるよ全く。
「何もしねーよ、そんな水溜まり生産者なんぞに」
「ガゥ! ホントニ、ホントニ、シナイ? ナガイノ、モツ、チイサイノ、クノウ、イジメ、シタ」
デカイ狼が更に吠えて俺に伝えて来たのだが、シブかシン辺りが脅したんだろう。
「しねーよ、今さら」
俺は呆れ顔で答えて、狼の頭に手を伸ばしてしまい更に吠えられたよ。
撫でたかったのに畜生。
「おうさま、おおかみどののなかまをたすけてあげてほしにゃ」
ソウセキが俺のズボンを引っ張りなから懇願してくるのだが、爪でズボンに穴が開くから止めれ。
片言な狼の話をソウセキが通訳してくれた内容は『オーク共に連れ去られた仲間の猿を助けて欲しい』との事だが、俺達には関わりの無い事だ。
オーク共のボスやこの水溜まり生産者のチャラ男は、どちらかと言えば俺の敵だ、助ける義理も無い。
無いのだが、ソウセキや狼が潤んだ目で俺を見詰めている。
止めれ、そんな目で俺を見るなよ。
「マスター ヤマモト、混成部隊の前線基地に到着したがどうする? シロリとシドの砲撃で殲滅するか?」
全く、先読みし過ぎだろホルダー先生は。
「モッさん、狼ちゃんのお願いを聞くのかにゃ?」
「主、イットゥーなら上手くやってくれるでしょうな」
下井とシブが俺に銀色のカプセルを差し出しながらニヤニヤしている。
「ゴミ、役立たず、狼、格好、良い」
「主! オイラは狼に乗っみたいっス!」
「狼は大神に通じる気高い獣、神たる我が主に通じますなぁ。小便垂れのゴミにして愚昧低能蒙昧無能無知なる塵芥などとは違って」
「山本さん、過去に彼と何があったのかはホルダーに聞いています。
でも、仲間を助ける為に混成部隊の前線基地に向かう彼は悪い人じゃ無いんだと思います。
その狼も懐いていますし、貸しを作るつもりで助けてあげたらどうでしょうか」
お前等、どいつもこいつも逃げ道作り過ぎだろ。
「ホルダー、イットゥーに確認してくれ。
『自分の安全を第一に狼の仲間を助けられるか』どうか。
無理ならばシロリとシドでまとめて消し飛ばしてやってくれ、猿とは言え慰み者のままなんざコッチの気分が悪い」
俺がそう告げるとみんなはニヤニヤと笑い、狼は遠吠えを上げたのだった。




