『ホワイトゴブリン』は主を思う
サイドチェンジして見た
コスプレした伊藤カ●ジこと『ゴブフ』仮名が完成し、俺は白ゴブリン3号のカスタマイズを始める。
メシと水を探しに出かけた初代は形を整えた棒と腰の防具を装備。
先程、片手間に作った2号は剣と小盾を装備した剣闘士スタイルだ。
3号のコンセプトは薙刀持ち、素材不足が理由。
作り方は、3号が持ってる棍棒の形を整えて『ゴブフ』仮名の制作の余りを使いパーツを作る。
刀身の部分は余りの棍棒で作成。
柄の部分は形を整えた時に切り取った部分を整えて作る。
各パーツを接着剤で固定しマジックで塗り完成。
柄は赤のマジックで塗り潰し、刀身を黒く塗り、刃の部分は白いままにする事で刃文を出し3号の完成だ。
悪環境かつ久しぶりの割には良く出来てると思う。
4号はどうするかな。
棍棒をタクト風に加工し魔術師にするか。
2号と同様に剣装備にするか。
思い切って素手にして棍棒を加工素材にするか。
今ある素材はゴブリンの下半身のみ、因みにバラバラに成ったダークエルフの顔面は焚き火の中で火葬中。
5号と6号は『ゴブフ』仮名のパーツにするかもしれないから、取って置くので今は使用不可だ。
『ゴブフ』仮名が無駄になるか敵対する分からん以上は顕現せず、支配下の白ゴブリンが帰るのを待つしかない。
『ホワイトゴブリン』は薄汚れた『ノーマルゴブリン』6体を相手に白い棒を振るっていた。
『ホワイトゴブリン』の周囲には叩き潰された『ノーマルゴブリン』の死体が無数に転がっている。
移動中の群れと出くわした『ホワイトゴブリン』は群れに襲いかかった。
『ホワイトゴブリン』は一撃で『ノーマルゴブリン』を始末出来るとは言え、数の差は脅威となり時間を奪われている。
「15で次、逃しはせんぞ!」
夕暮れ頃に遭遇したのだが、今は日が沈み闇夜。
想像主である主の命令を完遂し安全を確保する為には『ノーマルゴブリン』の群れを見逃す訳に行かない。
川や食料となり得る木の実や動物も発見している。
主達を此処に案内するには『ノーマルゴブリン』の群れは邪魔であり、行動範囲内に居座られたら何時襲われるか分かったものではない。
最後の『ノーマルゴブリン』を追いかけて始末した『ホワイトゴブリン』は一息つく。
この後に死体の始末があると思うとため息が出る。
神代の頃、ゴブリンは邪なる神々により魂を汚され今の姿形に変貌し、その精神すら汚染され、暴力と欲望に耽溺する外道の種へと堕ちた。
薄汚れた緑の肌は万年の呪いの証であり、祓われる事は無かった筈が男は呪いを祓い『ホワイトゴブリン』と言う新たな種を生み出して見せたのだ。
ゴブリンを知性と理性と秩序ある種へと再誕させた人物に全てを捧げ仕える事に何の迷いがあるか? 否、無い。
『ホワイトゴブリン』はその様、主を思う。
だが『ノーマルゴブリン』の死体を始末し主の元に戻る頃には朝を迎えているだろう。
無様だ、と『ホワイトゴブリン』は再びため息をついた。
寒い、腹減った、俺、寝れ、無い
夜明け前の闇の中で思考がおかしい。
白ゴブリンはまだ戻らない、腹減った。
頭が『腹減った』でゲシュタルト崩壊しそうだ。
いっそ『滋養強草』を食うか?
最後の食事は死ぬ前の日の朝にコンビニのおにぎりを、2つ食ったきり夜勤で9時まで工場にいて、電車の事故があったのが9時半から10時までの間で1日、此処に来て朝から今まで、だから丸2日位、なにも食って無いな······
こんなことなら宿代を使ってメシ食って置けば良かった。
て、メシ食ってりゃ電車に乗り遅れて死んで無いから宿無しか······
寝れん。
腹減った。
暇だ。
寒い。
白ゴブリン早く帰ってこいやー!!
次回は胸糞悪い閑話です