プロローグ 底辺のおっさん異世界に立つ
初投稿です
『山本正43歳男性、住所不定無職のフリーターのハゲで貧相なガリ。
日雇いバイトのその日暮らしでネットカフェで寝泊まりする最底辺のおっさんで間違いありませんね?』
ケンカ売ってるのかこいつ
『まず山本さんは亡くなりました。
ガソリンを満載したタンクローリーが電車に激突し爆発炎上その事故に依り56人の人が亡くなり、山本さんもその内の一人です』
マジかよ……
『事実です。56名中30名の方が異世界転移され、22名の方が異世界転生され3名の方が元の世界に転生、残りは山本さんのみです。
山本さんは異世界転移と異世界転生、元の世界に転生する3つの選択肢から選んでいただきます』
てか、ここ何処だよ、あんた誰?
『想像力がありませんね、簡単に言えば此処は、あの世で私は神ですね。
山本さんは死亡してますので肉体はありませんし肉体が無いので五感による知覚も当たり前にありません。
本来ならば認識する事すら出来ずに転生か消滅していますが、今回は生前の記憶と精神を保持した状態の魂に語りかけています』
てーと、異世界転生で好き勝手出来るあれか?
『概ねその通りですが、山本さんが想像する異能は確約する事は出来かねます』
なして?
『地獄も異世界ですので』
あー確かに異世界と言えば異世界だな異なる世界だし。
『はい、極楽天国の類も異世界ですのが異能そのものが不要です。
地獄は剣も魔法も異種族もおり人気がありますよ?』
俺も地獄に転移するのか?
『指定するのであれば可能ですが極楽天国は不可能です。
山本さんの場合は娯楽作品の様な過酷な異世界のみ指定可能です』
ハーレム可?
『山本さん次第です。
異能、スキルと言った類も相応のモノが与えられます』
選択可?
『はい、相応のモノでしたら』
相応でないモノは?
『後天的に使用可能になるか劣化したモノになります』
うん、異世界だ青葉とかの青でなく樹皮が青い木が生い茂る森など地球には無いし。
安い黒のチノパンにYシャツにペラペラになった上着とスニーカー生前の格好のままだが、煙草、ライター、財布、筆記用具等の生前の荷物は無い。
与えられたはずのチートアイテムが見当たらず、俺は辺りを見回すと銀髪の少女が無表情で立ち尽くし俺を見て居た。
胸元の第2ボタンが印象的と言うかガチャのハンドルっぽい黒いワンピース姿の銀髪少女だ。
ん、ガチャのハンドル?
俺の望んだ物は、あらゆる状況を打破する召喚獣を召還する『召還機』だが女子校生位の少女など求めていない。
「あのーもしかしたら『召還機』さん?」
「はいマスター、私はマスターの望んだ『召還姫』です」
「おいおい、オーダーしたのは召還する機具で『召還機』のハズだが?」
しかも中2臭い大型ハンドガンタイプの射撃できるヤツ
「いいえマスター、召還する姫で『召還姫』です。
その様に産み出されました、今後も宜しくお願いします」
「はぁ、宜しく」
頭を下げる少女につられて俺も頭を下げた。
銀髪碧眼の人形染みた無表情の少女『召還姫』が俺を見ている。
と、とりあえず、自己紹介からするとして。
「自分、山本です宜しく」
「はい、私『召還姫』のマスター山本正に相違ありません」
そうでなくて自己紹介だよ! 誰が本人確認しろって言ってたよ!
「えーと、お名前は?」
「個体識別名称はありません」
会話が成り立たない……
「あー、何をすればイイのかな?」
「回答不能、質問は明確にお願いします」
質問ね、質問。
「なら質問イイですか? この場所の危険性と安全圏の方向と距離は」
「情報が不足しており回答不能です。
現在地の視覚認識範囲内に危険性はありません」
マズイな、チュートリアル無しかよ。
衣食住の衣と住は3、4日はイイが、メシと水は手に入れねーと死ぬ。
「食料を手に入れる方法、分かりますか?」
「ランダムガチャ召還の内容に『食料1日分』『食料10日分』『異世界(日本)のお菓子詰め合わせ』があり、ランクは1、1、3に成ります」
お、何とかなり……てっガチャかよ! 出無いとアウトじゃねーか!
「あーうん、ガチャは出来ますか?」
「はい、現在ランダムガチャ、ノーマルガチャ、ランク3ガチャの3種が回せます。
ランダムとノーマルは11連が可能、ランク3は1回のみ、どれか1回だけ回せますが、如何致しましょう?」
しょっぺーなぁ、おい! チュートリアルガチャが選択式てっリセマラ必須じゃねーか!
「ガチャのルールを、回数制限や回す為に必要なモノ、ランクの説明をして貰えますか?」
「はい、ガチャは魔力を私にチャージする事で一部のガチャを除き回数制限無く回す事が出ます。
ランクガチャはマスターの存在階位、レベルに依りランクが変動し、マスターのレベルの上昇に伴いランク固定ガチャが増えます。
ノーマルガチャはマスターのレベル制限ランクかランク5までの『召喚獣』が出る可能性があり、現在の制限は3までと成ります。
ランダムガチャはマスターのレベル制限が無くランク5までの『召喚獣』の他に日用品や武具等が出る可能性があります。
ノーマルガチャ及びランダムガチャは単発で回す場合は魔力を10必要とし、11連ガチャは100必要です。
現在の魔力チャージ量は110ですが、私にチャージされた魔力が0になると私は機能停止しますのでご注意下さい」
ソシャゲかよ! ん、機能停止するとどうなるんだ?
「あー、機能停止するとどうなるんですか?」
「この世界に存在する理由の消失に依り私は消滅します」
消滅てっクソ重いわ! ある種の殺害じゃねーか!
「ま、魔力のチャージ方法はどうすれば良いのか教え下さい」
「マスターの魔力をチャージする方法は私と接触する事で自動チャージされます」
「チャージします!」
女性と接触てっ学生時代ぶりで緊張してきた……てーか、どこに触るんだ?
「あーえー、どこに触れれば良いのでしょうか?」
「私に触れさえすればどこでも問題無くチャージ可能です」
「じゃ、手で」
俺に胸や尻に行くチャレンジ精神なぞ無い。
それ以前に痴漢扱いされてチャージ出来ずに消滅なんかされたら目覚め悪すぎだし。