地下室
セラは自分の部屋に戻る。今日は今までで一番幸せな日だった。螺旋階段を抜け自分だけの地下室へと向かう。
「あぁ、今日も疲れたわね〜。」
ソファに腰を下ろす。疲れがドッと出てきてしまった。
「でも……あの子とお風呂に入ってしまったわ。凄い凄い…いい匂いがしたの…。なんだか今までの苦痛が全部吹き飛んだような気がするわ!」
本当に良かった。帰ってきてくれて。
「嗚呼、もう本当に好き、大好き、大好き、大好き、好き、すきすきすきすき!嗚呼……なんであんなに可愛いのかしら。綺麗なお目目にツヤツヤの髪。すべすべなお肌に、柔らかいほっぺた。全てが好き!好き好き好き好き好き好き好き好き好きああ、大好きなの。心の底から愛愛愛!愛してるわ!」
自分の心の内を解き放った。机の上の写真とその隣にある小さな宝箱。立ち上がって両手にそれらを抱える。宝箱を開けて中身を自分の手にのせる。中指、薬指、小指が綺麗な状態で保存されている。これがあの子の一部。その一部を私が持っていると考えるだけで……。堪らない。堪らないっ!写真には二人の少女が写っている。わたしと、私の隣に可愛い女の子が写っている。
「嗚呼……沙羅、あなたは私が守るからね。必ず守るからね。」
写真を抱きしめながら指を優しく包み込む。
私は……私は彼女を愛している!この上なく!この世界の誰よりも!
「でも……その為にはねぇ。」
自分の工房の特等席に座り目の前のモニターを眺めた。そこにはサラの前の主人の姿が映っていた。
「貴方は邪魔なのよねぇ……。」
ふふふっふふふふふふふふふっ!あははははっあはははははははっ!狂気地味た笑い声が暗く冷えた夜に響いた。
*
「おい!先行した斥候が帰ってこねぇってのはどういう事だ!?」
「ボス!通信繋がりません!侵入に失敗したようです。」
「早く次の奴出せ!」
男は声を荒らげる。一体何が起こっているのか。あの女とは協定を結んだはず。破棄するはずがない。出来るはずがない。あいつの目の開き方を知らなかった。だからあいつに頼んだんだ。あいつは俺のもんだ。絶対に渡すわけにはいかない。
「第二軍、全滅……確認しました。」
「なんだと……?おい!状況はどうなってる!モニターに回せ!」
「映ります。五、四、三、二、一、映りました!」
薄暗い森を撮影するカメラから衝撃の映像が飛び込んできた。仲間達が銀に輝く人型の兵に何人も殺されていたからだ。兵士は物凄いスピードで仲間たちに近づき次々に殺していく。仲間の一人が間一髪で敵首をはねた!だが兵士は諸共せず目の前の敵を葬った。飛んだ首を自分で持って頭にはめた。そしてまた歩き出した。
「こいつらは……くそっ!やっぱりあいつ裏切りやがった!」
「ですがボス、あの人に限ってそんなことはないんじゃ……。」
「うるせぇ!」
声を荒らげバンッと拳を机に叩きつけ怒りを露わにする。
「俺を指図するな。こいつ嬲っとけ。痛い目見せてやれろよ。」
それだけはお許しを!あぁーー!悲惨な声が残響した。使えないやつは捨てるか遊ぶかのどちらかだ。あの女、俺との取引を一方的に破棄しやがった。だがこちらもその時のために用意したものがある。
「結構おれは根に持つタイプだぞー!?カカッ!いいぜぇ。お前がそう言うんなら…!そういうの悪くない!滾ってきたァ!必ずあいつ返してもらうからなぁ!」
男は負けを恐れない。負けを知らないからだ。勝つまで何がなんだろうと挑むからだ。
男の信念はぶれない。彼は一生忘れないだろう。今日の屈辱を。。ひゃはははははははっ!荒れた夜に暴力的な笑い声が響いていた。
まずはすみません…!生活が厳しかったので更新遅れました……m(_ _)m本当に申し訳ない……
ということで今回は少し短めですが…物語の今後に関わってくるシーンなので許してください…(^^;
なるべく水曜日に更新したいんですけどね…そうもいかないので。何とか継続できるよう頑張らせて頂きます!それでは!