9 魔法習得
やっと話しの終わりを思い付いた。
後は伏線でもない伏線埋め込んで背骨繋いで肉盛り。うーむ、背骨が足りない。
30話までには着地出来る…といいな。
「♪たんたんたぬきのきん○まは~
か~ぜも無いのにぶ~らぶら」
たぬき御満悦、た○は無いがしっぽはブンブン動いている。
頭には王冠が乗っている、キングラビのレアドロップ幸運の王冠である。
お金が貯まったので魔女っ娘むらさきと魔法店に向かう途中で魔法について聞いてみた。
「サキさん、無属性魔法のレベル上がった?」
「新しい魔法覚えた。マジックソード、マジックハンマー、マジックアロー」
「ほほぅ、魔法で近接も出来るな。バーニンクたぬきとか」
「カチカチ山」
「そうそう、って今頃!!」
▽▽▽
話し合った結果、たぬきは火初級編を、むらさきさんは回復初級編を買った。よほどポーションが嫌だったらしい。自分も飲まなくて良いなら助かる。
「ちゃんと読まないと使えないとか変に現実っぽいな!」
隣でむらさきさんが、本をペラペラめくって最後までめくると本を閉じた。
「覚えた」
「はやっ!」
「たぬきもめくる」
言われるままにページをめくる
[火魔法を習得]
「最後めくったら読んだ判断かよ!」
本を地面に叩きつける。
むらさきさんが本を拾おうとするが手をすり抜けてしまう。
「取れない」
「所有者登録されたみたいだ」インベントリに仕舞っておく。
「予想通りファイアシールドとファイアボールだな、サキさんは?」
「ヒールとキュアとバリア」
「体力回復と状態回復は分かるがバリアはシールドと違うのか?」
「バリア」
むらさきさんの周囲4面と天井に壁が出来る。
「なるほど全体防御か、使い所が難しい感じがするなぁ。バリアは動けるのかな?」
「無理b」
モーション気に入ったのねb。
「さてと、武器防具の強化必要になってくる訳ですが、サキさんどうしたら良いと思いますか!」
「買う、作る、ドロップ」
「素晴らしい、ですが今回はドロップを除外します。あれは狙う物ではないのです、妖怪物欲センサーの沼に呑まれてしまいます。」
「妖怪たぬき」しっぽをツンツンしないで下さい。
「コボルトです。なので、鍛冶場と武器防具屋を回って情報を集めます、もしかしたら製作クエストがあるかもしれない」
「作る」小さくガッツポーズでやる気に満ちている
「鍛冶場に行ってみましょう、マッドスミスという人がいたら色々聞けるかもしれない。」
▽▽▽
鍛冶場の熱気は凄かった。
「あちー、毛皮蒸すわー」
「濡れたぬき」
そりゃヒゲも垂れるさ。
周りを見回すと鍛冶をしている人の中で異彩を放っている人がいる、近づきたくないけど名前がマッドスミスだ。
黒のゴスロリファッションで汗もかかずにハンマーを叩いている。
タイミングを見て声をかける。
「どうも、あなたがマッドスミスさん?羅刹さんから色々生産してると聞いたんだけど」
「ガハハ、いかにも要望があれば作ってしんぜよう」
せめて喋り方も成りきって欲しい。
「因みにおいくらで?」
「材料そちら持ちで最低1000Gだな!レア度上がれば値段も上がるぞ!」
「今はお金が無いが貯まったらたのむよ。しかし暑いな」
「うん?鍛冶は初めてか。入口横のやつに色々聞くといい」
「分かった、ありがとう」
早速入口のドワーフ親父に話しかける。
「おう、何か用か!」
「鍛冶初めてなんで色々教えてくれ」
「鍛冶場の利用は一時間10Gだ、高品質の作成は迷宮都市で作ってくれ!保冷ドリンクは5Gで一時間持つ」
迷宮!そんなものもあるのか!
10G渡してドリンクを2つ買う、瓶入りの牛乳にしか見えない。
腰をあてて一気に飲み干すと暑さが急激に去っていく、旨い。
「もう一杯」
むらさきさんが気に入ったようで買っているうちにクエストは無いか聞いてみる。
「あるぞ、隣に積んであるクズ鉄をインゴットにして兵士用の剣を10本作ってくれ!」
「……」
「頑張って」
スススと外に出て行くむらさきさん、あのやる気は何処へ。
丸1日を剣の作成に、次の半日を装備の新調に費やし、ラビ皮メインの防具と鉄の双剣を作成した。
むらさきさんにはウルフローブを作った、袖口をふさふさにしてやった。
地味に性能は高かったのは器用値のお陰だろう。
むらさきさんはその間にクレープ食べたり、夏休みの宿題したり、ケーキ食べたり、料理作ったりしてたらしい。
一回料理したら料理スキル貰えたらしい、とあればやってみよう。
余っていた雑草を炒めてみたら料理名が[野菜炒め]になったが野菜は何処から出現した?世の中は不思議だ。
▽▽▽
たぬきはむらさきと別れて夕飯後の夜の部だ。
ゲーム内なら2日は遊べる。
町の建物の屋根に登ったり、NPCに話しかけたり。
夜にはコボルト飲み仲間としっぽの契りを交わし、火の魔法の書初級編を読んだりした。
「魔法の書も読んでみると作り込まれてるんだな、これなら現実でも魔法使えるんじゃないか?」
[火魔法がLv3になりました]
「なるほど、ちゃんと読めばこうなるのか、この世界を楽しんでいるご褒美ってとこかね」
パタンと本を閉じ、たぬきは光と共に消えていった。
現実で火を出そうとしたけどダメだった主人公。