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17 戦場

ラストスパート

 装備を黒コートに戻したたぬきはベルフェゴールに乗り港町スレイブへと走る。

 黒ライオンに黒コート、不審者である。



 港町に到着なのだが、イベントで南の島へ行ったので感動が薄い。


 大型の船が数隻留まっている。

 前線行きの船だろう、町も兵士でいっぱいだ。



 冒険者ギルドで乗船券を見せるむらさき。

 受付台が高くてたぬきだと届かない。


「見事に乗る船が別々だな」

「行先は同じですから」

「着いたら集まる」


 乗る船はエスポワール号ね。ざわざわ。

「ちっさ」

 大型船と比べると小さな船で、中にはコボルトがいっぱいだ。

 種族で船を分けているのだろう、しかしたぬきが浮いている。


 コボルトの群れの中に知り合いのコボルトを見つけた。

 イージス町の飲み屋で知り合った『ケン四郎』だ。

 柴犬タイプで、くるくるしっぽである。太郎から四郎まで揃った。


 ケン四郎と飲みながら前線について聞く

「船で1日行った先の直ぐに砦があって、その先の草原が戦場さ!定期的に小競り合いがおこるのさ!」


 ゲーム的な終わらない戦場、羅刹なら喜んで戦いそう。


『ドスン!』上の甲板から衝撃がおこる。

「敵襲!」船イベント、海賊か、クラーケンか。

 コボルト達と甲板に上がるとそこにはマンボウがいた。


 美脚が生えているマンボウに思考が止まる。

 陸地に上がるなら足は必要だ、しかし本体の大きさに対して美脚は弱々しい。脚はプルプルして体は傾いている。


「かかれー!わー!」

 コボルト達は勇敢にマンボウへ攻める。後衛もボールやらボムやら撒き散らす、前衛なんて気にしない。

 たぬきも双剣を持ってマンボウへ近づく前に後衛の魔法で吹き飛ぶ。これは楽しい。



 倒した後は皆で飲み明かした。



 ▽▽▽



 コボルト達と別れてギルド出張所へと向かうたぬき。

 二日酔いでしっぽは垂れている。


 二人とも合流、船ではクラーケンが出て大変だったようだ。

 おい、マンボウじゃないのかよ。


 イベントで見かけたプレイヤーもいる。

 カトリーヌ、くま太郎、キリト達3人組。他ギルドメンバーだろう。


 職員さんが出て来た。

 ギルド職員からありがたいお話がある、全員心して聞くように!

「冒険者ギルドの皆さんには敵の砦に侵入してもらいます」

 な、なんだってー!

「草原の主戦場による戦闘で注意の薄くなる隣の小砦を少数精鋭で攻めて下さい。危険な任務ですがお願いします」


 キリト達除く二人はイベント上位だったし、羅刹入れたら楽勝な気もする。

 いや、たぬきの存在感が薄くなるのが危険だ!


 ドリームチームで渓谷をひっそりと通り砦まで近づく。


 ふと思った。カトリーヌ達は前衛寄りのギルドだ。獣人も前衛だ。キリト達も前衛だ。うちはむらさきさんだけ後衛だ。

 これ脳筋チームでバランス悪すぎないか?


 獣人達は鉤爪ロープを投げて壁をするする登っていく。

 戦闘音がして門が開かれる。

 開いたとたん我先にと全員が中へ走って行く。

 コボルト達より酷い。


「討ち入りじゃー」皆を追いかけるたぬきであった。



 ▽▽▽



 中では頭の無い鎧デュラハンとプレイヤーが戦っている。

 むらさきさんは回復で大忙し、たぬきも回復を手伝う。

 たぬきは魔法店の魔法書を大人買いしてる、お金があるとコンプリートしたくなるのだ!


 ボスはミノタウロス、お馴染み牛頭のモンスター。

 プレイヤーもミノタウロスの種族になれる。小さいけど。

 魔王側のモンスターはバフによって強大になるという設定だ。

 敵のコボルトや人族もいるし、種族的に悪というものは少ない。


 しかし、ミノタウロスは迷宮にいるべきモンスターな気もする、どっちでもいいけど。


 プレイヤーがどんどん光になっていく、ミノタウロスの火力が凄いんじゃー。

 ヒーラーがむらさきとたぬき、残りは脳筋、回復が追い付かない。


 ミノタウロスの体力がレッドゾーンに突入、目が赤くなりブモブモ言っている。

 回復を羅刹とカトリーヌ、くま太郎に絞る。

 覚醒ミノタウロスの突進で消えてく脳筋達、キリトよさようなら。

 ガードしても削れる体力、こちらのMPも底を突く。


 仕方ない、王笏から双剣に切り替えたぬきはミノタウロスに接近する。

 羅刹が殴り飛ばし倒れていくミノタウロス。えっ?


 双剣を仕舞い何もなかったように前衛の3人に近づいてゆく。

「強敵だったな」

 無言の空気にいたたまれない。もうたぬきのライフはゼロよ!


 ん?皆下を見ている。

 これは魔法陣!不味い!


 背景が切り替わる。

 周りには誰もいない、分断されたか。


 唯一ある扉を開くと黒っぽいたぬきがいた。

「に……兄さん?!」

 双剣を抜く黒たぬき

「まさか、兄さんが敵だなんて!」

 黒たぬきの頭上は『ドッペルゲンガー』と出ている

 兄の名前なのだろう。

「この世界の為だ、すまない兄さん!」

 このたぬきノリノリである。


 MPが回復していないたぬきは双剣を振るう、黒たぬきもコピーしているように動く為にお互いにダメージが入る。

 元々プレイヤースキルが高い訳ではないので泥試合だ。


「ぜぇー、はぁー」

 どうやらアイテムまではコピー出来ないようで、ポーションの差で勝てた。

 最悪お詫び石を考えていたがあれはイベントをねじ曲げるアイテムだ、またミノタウロスとかになりかねない。


 宝箱が出現する。

「オープンザプライス」

「鍵と翼?」

 鍵はダンジョンのだな、キメラの翼か?天井無いし。


 鑑定しましょ

[飛行の翼]

 乗り物が空を飛べるようになる(飛行可能はフィールドのみ、高度限界あり)


「ただのたぬきから、飛べるたぬきに!」

 早速翼を使うたぬき。

 ベルフェゴールに翼を授けるー。

「おぉ、翼の生えたライオン!カッコいい!」


 翼の生えたポニーにならなくて良かったと思うたぬきであった。



実はたぬきはチートじゃなかったのだ!

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