16 夏イベ終了
短め
岩場の先で釣りを始めるアロハたぬき。
釣り餌は昨日の牛丼の余りのモンスターの肉だ。
自分で説明していてよく分からないが、要はモンスターの肉で釣りをするわけだ。
釣る人がいないからか、釣れる釣れる。
鑑定して無毒の魚をインベントリにしまう。
全力魔法でお腹がすき始めたので飯にする。
釣った魚をたき火で焼いておにぎりと一緒に食べる。
焼きたてのパリパリふっくら感と塩味が米に合う。
モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で、何て言うか救われてなきゃだめなんだ。
そんなことを考えていると釣竿が大きく引かれる。
「ぐっ!それ以上はいけない!」
筋力全振りコボルトのパワーで獲物を引き上げる。
たぬきの頭上を越えて獲物が岩場に落ちる。
落ちて来たのは人を越えるサイズのカニであった。
「ふふふ、ご馳走じゃ!」
笑顔でたぬきは魔法を唱える。
「ファイアウォール」
▽▽▽
島の中央では象よりも大きなスイカがツタを振るい4人を襲っている。
薙ぎ払いのツタをカトリーヌがハンマーで叩き潰し、くま太郎が根本を大剣で切断する。
二人を狙うツタを羅刹がこん棒で弾き、むらさきが回復する。
ツタを削り手数が少なくなった本体のスイカへダメージが入る。
「よし!いけるぞ!」
ダメージを与えHPがレッドゾーンに入ると本体から種が飛んで来た。
「ぐっ!近づけん!」
くま太郎とカトリーヌは武器を盾にするが種が多く前に進めない。
むらさきが二人の近くでバリアを張るが、バリアからビシビシ音がする。
羅刹は赤いオーラを吹き出し、今まで以上のスピードで回避、ナックルで種を迎撃。徐々に近づいていく。
種の向きが羅刹に集中する。
オーラの代償なのかHPが常に削れていく羅刹。
むらさきが羅刹にヒールを送る。
カトリーヌとくま太郎がチャンスと本体に接近、武器を叩きつける。
怯んだお化けスイカに、羅刹はこん棒を出しながら空高く跳躍
スイカを叩き割る!
ツタが枯れ、夕陽の空へ光が舞い、消えていく。
悪を背負ったオーガ、羅刹がむらさきの方へ振り向き言った。
「戻りましょうか」
「うん」
▽▽▽
生産区画に戻ってきたたぬき。
サングラスで分かりにくいが反り立つしっぽは揺れている、ご機嫌だ。
そこら辺のプレイヤーにバーベキュー用の網焼き台を作らせる。
料理スキル持ちには魚を渡す。
海産物を網に乗せ、生臭そうだが臭くなかったスイカをドンドン三角に切ってテーブルに置いていく。
後はメインディッシュの焼き特大カニを解体していく。
足は半分に割ってそのまま皿にする。
体の殻は鍋にしてカニミソと切ってもらった海産物、魚を放り込む。
ニャ!ニャ!言ってるネコ耳には生魚を投げつける。
余った物も料理持ちに任せてビーチベッドに横になり二人を待つたぬきであった。
▽▽▽
日も沈みかけ、たき火の周りには戻ってきた羅刹とむらさき、その他のプレイヤーが集まっている。
「それでは!イベントはまだ終わってはいませんが、お疲れパーティーとしてこのたぬきが振る舞う料理に感謝するように!」
『乾杯!』
賑やかに食事が始まる。
むらさきにはスイカの早食いを見せてあげた。
驚いていたが、後ろはくりぬいてあるのよ。
後ろでは腕相撲大会が始まっている。
赤いオーラが出ている羅刹が連勝中だ、それ有りなの?
いったいいくつのチャクラを開門したと言うのだ!
カニを頬張るむらさきさんは無口だ、普段からそうだけど。
スイカの皮をカリカリ食べてるたぬき、うまい。
雑草野菜炒めも放出しておいた、野菜足りないからね!優しいね!
まだ騒いでいる人が多いが都市からギルドハウスに戻る3人。
「疲れたな」
「楽しかった」
「楽しかったですね」
イベント外でゆったりとしていたのに、おっさんたぬきである。
▽▽▽
次の日の朝イベント結果が発表された。
やっぱりボス討伐の4人はトップ、たぬきはランク圏外。
料理とスイカを放出していたのでゼロ個だ、当たり前。
報酬はアバターアイテム(夏)交換チケット
むらさきはハイビスカス、三角帽子につけている。
羅刹はサングラス、威圧感が増した。カタギ…冒険者でしたね。
「さぁ、向かうは港町!はいよーベルフェゴール」
船へ乗る為に港町スレイブに向かう3人であった。
フェアリーテールの鬼と恐れられたとか、られなかったとか。赤くなるとヒートアクションが可能です。




