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第83話 集結、再会と別れ

 滞りなく。一部の少年が騒がしかったのを除き、式が終わった後で作戦会議を開いた。

 「ねぇ。同席するなら名を名乗りなさい。聖都の兵団で何を学んだの?」

 未だ諦めきれずに退席しない少年に向かって礼儀を正した。立ち位置的にはすっかりお姉さん気分にもなる。弟かぁ。もしも姉弟が居たら、こんな感じなのかも。

 「ダリエ・カポエラです。よく女の子みたいだって馬鹿にされるので、あんまり名乗りたくなかったのですが」

 「カポエラ。懐かしいわね」スケカン殿とクレネさんが顔を見合わせていた。

 「言われて見ると、似ているような・・・気がしなくもないな」

 「私たちが会ったのは随分前だしね」

 「家族の誰かとお知り合いですか?元々は東のムルハマバード王国の其れなりの貴族の出ですが、何代か前の先達が国を出てからは放浪の民となりました。僕も15になって独り立ちをしろと両親に言われ。旅の途中で聖都の一般の志願兵となりました。2年前にグリエール様をお見掛けして以来、お慕いしております!」

 「腕落とされても恨みもしない。諦めるってのを忘れたのか?おれはスケカンだ。親族にちょっとだけ世話になった事がある。その時の礼代わりに、ちょい手出せよ。いいもんやるから」

 「残りの腕も斬るお積りですか?」

 「無くなったほうの腕戻したくないなら別にいいぞ。こちとら貴重な薬使ってやろうってのに」

 スケカン殿の鼻にまで入りそうな勢いで左手を突き出して見せた。勢いがいいのか豪快なのか素直なのか。ダリエを見ていると誰かに似ている気になった。誰だろ。あ・・・私かも。

 透明な瓶から一滴だけダリエの手に垂らした。私たちも祝杯の白ワインに混ぜられて振る舞われたが、薄められても効果は劇的で。完全回復に加えて、それぞれに変化した人とそうでもない人。色々と。皆それぞれに自分のステータスがマップを通して見られるようになった。

 私のステータスの項目に、NEWの文字が並んでいた中で一際目に付いたスキル。

 豊穣。大地を潤す者。農民の母。

 少し意味は不明です。旅が終わったら、故郷の麦畑を継ごうかな。ガレースが良いって言ってくれたら、2人でのんびりと過ごすのもいいな。

 「うへぇ。なんじゃこりゃ。一番似合わねぇ」ユードが一人嘆いていた。

 救済者。困難を覆し、困り人を放って置けない性分な人。だそうです。そうは言うけれど、とても似合っていると私は思う。面倒見が良いのは確かなので。ウィートがなぜかウンウンと笑っている。意味深だけれど、今度こっそりと聞いてみるか。

 「この歳で、こんな物を与えられてもなぁ」アーレンが頭を掻いて唸った。

 求道者。新たな道を拓き、示す者。らしいです。年齢を言ってしまったら、何も言えません。

 「おれ、泳げないはずだがな」メデスが間違いじゃないかと、何度も目を擦っていた。

 海民。魚は友達。海洋生物と仲良くなれる。とてもとても不思議なスキル。いったい何時使うのだろうか。「友達でも、貝は食べるけどな!」豪語する様を見ると、友達になれるのはかなり先のようにも感じる。

 ガレースのスキルだけは私にも見えた。夫婦特権?

 「どう思う?グリエ」よくよく見掛ける困り顔ではある。

 「うーん。どうなのでしょうね」

 神威。神の如き威厳。今の所・・・何の片鱗も感じません。旦那様は神様にでもなるの?

 「それ、隠してたほうがいいぞ。聖都の連中にバレたら、絶対教皇にされると思う」

 スケカン殿が的確な助言を。成る程!勇者の旦那様ですし!

 「か、隠しましょう。生涯忘れましょう、ガレース」

 「そ、そうだね。結婚したのに聖都に押し込められるのは勘弁ですからね」

 ダリエが影でこっそり笑っていた。私は思わず聖剣の剣先を喉元に当てた。

 「今のは忘れなさい。いいわね?誓わないなら、この場で撥ねます」

 「りょ、了解しました。忘れます。忘れました。全部。グリエール様が結婚されたことも!」

 「なら、おれが忘却で記憶消してやるよ。惜しいなぁ。折角グリエールちゃんの仲間になれそうだったのに。今日の記憶消したら、彼女のウェディングドレス姿も忘れちゃうけどな」

 「うぉぉぉ。それだけはご勘弁を。忘れます!絶対に他言はしません!寧ろ何の事でしたっけ。あれぇ、記憶にないなぁ」必死になって懇願する姿に半ば呆れて剣を納めた。

 「私への誓いは絶対です。もしも世に知れるような事があれば、問答無用で天国に迷わず送り届けます」

 「くぅぅぅ」悔しそうに足を踏みならしていた。「僕も後2年生まれるのが早ければ」と。

 「で。ダリエには何か見えたの?」

 「いえ、僕には皆さんが言っている事がよく解らなくて。そもそもマップ?って何ですか?」

 使い方が解らないのか、力が備わっていないのか。時間なのか、時期なのか。色々と不明ではあるが挙動が頗る怪しい。

 「略奪。何物をも他人から奪い取れる。だってさ」

 スケカン殿がダリエの頭の上に手を乗せて、覗いてくれた・・・。他の皆が一斉に彼から距離を取った。私もガレースの後ろに隠れる。

 「おれよりも盗賊らしいな」ユードが早々に短剣を抜いた。

 「待ってください。皆さん落ち着いて!と言うか、腕が生えてた!!!」

 前触れもなく、彼の右腕が元に戻っていた。

 「但し、一度でも仲間と認めてしまった者は除く。まぁ、安心していいんじゃないか?少なくともここに居るメンバーなら大丈夫だろうさ。一々嘘付くなよ。グリエールちゃんに嫌われるぞ」

 「だって絶対引かれるじゃないですか。こんなスキル」現に引いてしまったので黙っておこう。

 「嘘を並べた罰として、一人でこの町を守りなさい」丁度良い人材が見つかった。誰を残そうかも相談する積もりだったから。これで心置きなく王都に向かえる。

 「狡いですよ、グリエール様ぁ。僕も連れて行って欲しかったのに」

 「このパーティーに入りたかったらリーダーの指示は絶対だ。従えないなら捨ててくぞ」

 真顔のユードが短剣を納めて、ダリエの肩をポンと叩いた。

 「はい!精一杯守らせて貰います!ですが、武具がありません。町の人に提供して頂きましょうか、隊長」隊長?こちらをじっと見ている。あ、私だ。

 「好きな武装を買って来なさい。くれぐれも奪わないように」

 手持ちの金貨から二百枚程度渡した。嵩張る荷物は通常メデスが持っている。

 「はい!早速行って来ます」遠慮が全くない。誰かに似て・・・。涙が出そうです。

 そろそろ荷物事情もどうにかしないと。旅の多い私たちの悩みの種。スケカン殿みたくBOX?スキルでもあれば良いのに。食料に薬に雑貨などなど。私も一応女の子なので色々と欲しい物もあるし、本当に必要な物しか持てなくて、頑丈な道具袋に入れて各自で持ち歩いている。

 「ガレース君。そろそろ出来たか?」

 「な、何とか。イメージが難しくて手こずりましたが」何が出来たのだろう。

 ガレースが空間に手を伸ばして、クルクルと回し始めた。

 「アイテムBOX!」おぉ、それは念願の。

 「BOXが出来たの?ガレース」

 「出来ました。スケカンさんのよりは遙かに小規模ですが。それでも二脚馬車並には入れられそうですね。慣れればもっと拡張出来る気がします」

 「とりあえずマップと一緒に常時発動させて慣らしておけよ。いざって時に使えないのは笑えないぜ」

 「仰るとおり。精進しますとも」早速メデスが持っていた大きな荷物袋を出し入れ。惚れ直しました。実を言わずも私の旦那様も凄い人です。

 「うん。頑張ってガレース」悩みの荷物事情が一気に解消された。

 「さてと。本題に入る前にポーションを半分渡しておく」

 透明な小瓶を5本。ガレースのBOXに収納した。

 「効果はさっき見てのとおり。実感もしているだろうから。普通の怪我なら一滴で充分だ。使い時と量を誤るなよ。正真正銘のエリクサーだ。もう二度と作れない」

 「エ?エリクサーって今言いました?」私が驚くと同時に、ガレースも皆も固まってしまった。

 お金では払えない。一部飲まされてしまったので、何を要求されても断れない。彼が何を要求するのか、確認しないと。

 「金銭ではどうにもなりません。要求は何でしょうか。わ、私の身体が目的なら・・・、少しガレースと相談させてください。お願いします」

 「ス、スケカンさん。後生です。どうか私から妻を奪わないでください!」

 クレネさんがスケカン殿の耳を引っ張っている。奥様頑張って。後ろに控える3人の奥様たちも白い目で見ている。み、味方は多いようです!

 「痛いってクレネさん。そんな新婚さんから嫁奪うようなゲスな要求なんてしないさ。ゲス野郎の自覚はあるけど。無償で渡すよ。それよりも心してくれ。この土壇場でこんな代物を手にしたって事を」

 エリクサーを無償でと。薬も彼も常識では計れない。

 「推測だが。確定と言ってもいい。7つ目の魔王を撃破したら、直後に魔神が世界の何処かに沸いて出るだろう。9人で固まって動くのが正解かも解らないし」

 「10人の間違いでは?」

 「私は降りるからのぉ。集落に置いた子供たちも心配じゃし。私だけは魔神に喰われる訳にはいかんし」竜姫様が手を振っている。成る程確かに。

 「ゴラ様は魔神をご存じなので?」ウィートが竜姫様に聞いてくれた。

 「私も声しか聞いておらん口での。過去に一度だけ地上の5匹が異空間に集められた。その時に存在自体は確認しておる」

 「異空間、ですか」

 「あれは、閉鎖空間かの。時の流れも関係なく。風景も何も無い。白でも黒でもない。無色透明な空間じゃった。魔神の存在だけは脅威に感じた。その場の誰も勝てない。そう感じてひれ伏す程にな」

 「怠惰の元魔王は何か知ってたみたいだよ。私が相応しいだの何だのって。倒しちゃったからもう解らないけど。ホント失礼しちゃうわ」アカネさんが喋っている。私が勢いで両断したのは怒っていないだろうか。場違いでも思わずには居られない。とても気になる。

 「それマジで?」

 「嘘言ってどうするのよ」

 「茜も魔神と会わないほうがいいのかもな。となると8人か。分散しないほうがいいのか」

 「また鞘になって豚の相手かぁ。凹むわー」

 「二度と戻れないかも知れないぞ」

 「私の本来の身体はまだ日本にある。ハッキリ言って、この身体には執着してないの。剛の身体も、まだ生きてるわ」

 「生きてるのか・・・」

 「だけじゃなくて。私がこっちに来た切っ掛けは、病院の階段で意識不明から急に起きて来た剛に突き飛ばされたから。あなたのように生きているのか、私だけ死んだのかは解らない」

 「おれに、戻ったような記憶はない。妙な話だな」

 「その台詞、そっくり返すわよ。他人事みたいに・・・、あれは、別人なの・・・」

 2人だけの話は解決はしなかったようだ。意味が解らないので立ち入れない。それにしても、異世界のニホンとはどんな国なのかな。受ける印象からは、平和な世界を浮かべる。羨む反面でこの世界も、もうすぐ真の平和を掴み取れる。私たちが、7つ目と魔神を倒せば。違う。倒すのだから。同じ決意の目を浮かべる仲間たちを眺め回し、一人暗い表情のウィートを見つけた。

 「どうしたの?ウィート。悩みがあるなら打ち明けて。言えない事情があるなら、無理にとは言わないけれど。同じ仲間として、一人の友達として聞かせて欲しいな」

 「王都へ向かうのは、心苦しく気が進みません。北の魔城で召された兄様は最後に、言っておりました。魔剣の真打ちは、王都の城の主が持っていると」

 「魔剣持ちか。道理でな。逆に納得した。元ペルディアの王様。ウィートのお祖父さんなんだろ?生きていたら挨拶出来たんだけど」

 「待ってください、スケカン殿。魔剣がもう一つあるような口振りですが」

 「ある。おれの過去の分身が持っていた。一緒に消えたと思ってたが、そう都合は良くなかった訳だ。誰の差し金かは解るようで解らない。意味不明だよ、本当に。でもだ。この大陸の敵の質を体感する限り、魔剣がないと説明が付かない」

 分身というのも初耳ではあるが、彼に関しては一々驚いては居られない。

 「落ち着いていますね。まるで予見していたみたいに」

 「予想は立ててたさ。現に今、グリエールちゃんとウィートが魔王を討てる聖剣を、それぞれに持っている。聖剣が2つあるのに、魔剣が1つってのはオカシイだろ?」

 「ならば。6つ目のロメイルの時に何故現れなかったのでしょう」

 「一番腑に落ちないのは、まさにそこだよ。さっぱり解らん。で、ウィートはどうしたい?祖父さんを見送るか、ここに残って待つか」

 「迷います。兄様の時のように覚悟が足りていません。戦いを見届けなければとの思いと、会いたくない気持ちと。出来ればお話したい気持ちと。グチャグチャしています」

 「悩ませて悪かった。ウィートはここに残れ。ご挨拶とお見送りはおれがしてくる。来たくなっても来るな。もしも話をして、急に女王になるって言われても困るし。この先もずっと一緒に自由に旅をしたい。おれの嫁としてさ。不服か?一国よりも、おれたちを取れ」

 「ツヨシの言う通りだと思う。ここでお別れは寂しいから。私からもお願い」

 スケカン殿とクレネさんの説得にウィートは笑顔で返した。私の出る幕ではなかったみたい。少し残念。

 「解りました。お2人にそこまで言われては。ここでお待ちしております。全てが終わったら、どうか向かえに来てください」

 「当然だろ。嫌でも連れて行く」

 「悩みは晴れた?」

 「ありがとう、グリー」

 私もウィートの手を取って励まし合った。お互い頑張ろうと。この大陸に居る以上、魔王を討たない限り、戦いの火種は何処にでもあるのだから。

 「残るは7人か。王都の場所とイメージは持ってるからテレポートしたい所だが、また散らされても面白くない。予定していたペテル経由で乗り込むか」

 「割って入って悪いがよ。どうしてペテルだったんだ?」ユードがスケカン殿に質問した。私も気になっていた疑問。

 「王城と魔城に赤が居たのは言うまでもないが、ペテルに居たんだよ。一際デカいのがさ。これは最初に潰そうってな。そっちのマップではまだそこまで見えないか?」

 「残念ですが。細かい規模や大小までは見えませんね。修練不足です」

 「まぁ焦るなって。発動直後に裏技見つけられたんだ。センスは絶対おれよりあるぜ」

 スケカン殿のお墨付きを得て、ガレースの表情も回復した。

 「念話。私も試していいかな?」

 「全然いいよ。誰と交信するのか気になるけど」

 「お母様よ。心配性だねツヨシは。魔神が何処に現れるか解らないなら、予告と救援をね」

 「成る程ね。どうぞどうぞじゃんじゃんやってくれ」

 クレネさんが一人離れて部屋の隅で念話を試し始めた。無言で驚いたり笑顔になったり。コロコロと変化する表情が、また一段と可愛くて。無事にお話が出来たみたい。

 「ゴライアイス。身の危険を感じたら森へ逃げ込んで。話は通しておいたから。ツヨシの子供たちの為だと言ったら、二つ返事よ」

 「忝いのぉ。恩に着る」

 「東だと解れば、直ぐに飛んでくから。いつもの癖で戦おうとするなよ」

 「我らが習性すら覆される程の脅威じゃ。大人しく逃げ回ろうぞ」

 話が一段落した所で、ダリエが勢い良く帰ってきた。

 「只今戻りました!良かった。まだ居た」

 「私もこちらへ残る事になりました。ウィーネストと申します。お見知りおきをダリエ君」

 あれ?まだ他人向けな態度。略奪を警戒しているのか。それとも内情を知られたくないのか。どの道ウィートなら上手く扱ってくれそうで良かった。年下には君なんだね。

 「よ、よろしくお願いします。こんな鈍鞍しかなかったので、実際一人でどうしようかと考えていました」

 手に持ち帰ってきたのは、草臥れた長槍と穴だらけの銅の小盾。確かに心許ない。

 「見るからにボロボロだな。程度良く直してやるから、貸してみ」

 「あ、是非お願いします。それか、没収された剣では駄目ですか?」

 「ん?あれに付いてたのはパージだぞ。簡単に言えば排出だ。略奪とは相性最悪。早死にしたいなら渡すけど?」

 「二度と握りたくありません!」

 スケカン殿の隣で槍と盾が直されるのを、目を輝かせながら待っている。微笑ましいが、昨日の異常の原因も判明した。あれは少年の想いの全てだったのだ。想い、願望、力の全てを限界を超えて放出する。あのまま続けていたら、ダリエは崩壊していた。

 自分を正当化する意味ではない。ガレースの窮地で我を失っていたのだし。

 「クリエイト・リビルドアップ・オールブレイクランス!続けてクリエイト・リビルドアップ・ノンブレイクシールド!」

 「うわぁ、剛それ狙ったの?」

 「おれは何時も思いつき。のほうが面白いだろ?」

 「解らなくもないけど。矛盾ってさ」

 「何でも壊す矛と、絶対に壊れない盾。ホントはどうなるのか見たくね?」

 2人だけが盛り上がっている。沈むウィートを元気付けようと。

 竜姫様は離脱する。お別れだと言うのに、寂しさは感じない。必ずまた会える。今日だけはこの予感を信じる。

 「残りは少ないが、これゴラちゃんに渡しておくよ」

 残り僅かなエリクサーを渡しお別れのキスを交わして、竜姫様は部屋を出て飛び立った。その手を振る笑顔を信じて。本当なら送りたかったはずなのに。堪えるスケカン殿は男らしかった。

 「私はギリギリまで付いて行くわ。最後の魔王を簡単に倒せるとも思えないし」

 決めた通りに、陸路で王都を目指す。町のすぐ近くの街道に構える兵団は。

 「あの方たちだけは、私たちで乗り越えます。スケカン殿たちは手出し無用です」

 「了解。その他の奴を受け持つよ。約束する。おれは誰も死なせない!」

 決意の号砲の声に、彼は手を差し出した。その上にクレネさんウィート、アカネさん。私、ガレース、ユード、メデス、アーレン、ダリエが手を重ねた。

 「行きましょう。そして、掴み取りましょう」

 私の一言で短い作戦会議は終わった。

 加えるならば。この時の選択が、あの結果を招くとは、誰の予測からも外れていた。

 何かを言い掛けたガレースを促さなかったのを、私は少しだけ後悔をする。

 とても大きな別れを導く帰路は、ここにあったのだと。

 聖院歴699年。1の月。私たちは、漠然とした希望だけを胸に手を離した。

書き切る腕もないくせに。

我ながら広げたものだと思います。


ここまで読んで頂けた方のため。

なんて言い訳を並べて、

第1章の終わりまで走ります。


各所の修正はその後で。

年越しまでには何とか。


ブクマされた方に謝辞と

こんな駄作を読んで頂けた方に御礼を抱き。


いよいよ今章終盤に突入します。

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