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第43話

 翌朝。毎朝恒例、マップの確認作業。

 「これが、本物のマップ、ですか」左腕に巻き付く、ウィーさんが感嘆の声を上げた。

 「どうだ、凄いでしょ」右腕に巻き付く、クレネさんが自慢げに呟いた。

 3人とも生まれたままの姿なのは、この際割愛しよう。クレネさん、これは俺のマップなのですが、この際それについてもスルーしよう。ただ、両腕が少々重かったりしますが。

 勇者と竜王が今現在も戦闘状態を継続している様子。避けられぬ結末は、望むべきではない。結果は嫌でも出るのだから。どんな形の終わりだとしても、勇者に擦り付けた俺が言える立場じゃない。

俺たちとの間に生まれた子供だから、などとは。

 一息付いて、気を取り直して。確認に戻った。

 ウィーネスト・アレ・デルト もう隠す必要もないからね。最初は見間違いか、誤字かと思ったよ。

 職種 侍女、限定勇者、スケカンの嫁(第2夫人) えー、今回限定?後ろも気になるが、両腕への圧が強いよ!しかし柔らかいから良しとする。

 レベル 146 腕力 276 体力 372 盡力 213 胆力 234 素早さ 402

        精神力 339 精力 158 カルマ +125

 相変わらず素早さが突出している。レベル上げ幅は昨日の魔族軍討伐が効いている模様。

 3S B:79 W:55 H:82 AGE 20 あれ?前より少し・・・、さり気なく腕に爪立てるのは止めて欲しい。太ってない?そっちか!女の子だもんね。

 スキル 隠密、隠蔽、策士、妨害、罠構築、発破、煙玉、瞬歩、剣術(我流、上級)

水遁(聖剣補助有)、火遁(聖剣補助有)、支配妨害(聖剣補助+)

博愛(全能力向上)、全状態異常耐性(中)、自動再生(中)、自動回復(中)

 もうあれが聖剣ですって言ってるよね。それすらも今回限定かも知れないが。スキルは前よりも忍者に磨きが掛かっている。この大陸って、真逆・・・。本人は首を捻っている。そりゃ知らないよね。忍者なんて。町で火薬類を買い占めよう!そもそも有るのか?

 好きな食べ物は変わらず、コメ?もうすぐ食べられると思うよ。皆で食べようね。

 壁際に転がる魔剣が震えている。正確には鞘のほうだろう。そんなに好きだったっけ?徐にクレネさんが、魔剣のマーカーにタッチした。その勘、鋭すぎる!

 「鞘の分際で、人の食べ物を欲するのか!」クレネさーーーん。踏まないであげて~。

 魔剣の鞘(元神埼 茜) ここまで来たら説明するしかない。以降、説明中・・・。

 職種 未知の金属、スケカンの嫁(第3夫人) いや、俺でも理解に苦しむよ。こればかりは。金属の嫁とは、いったい何だろう。だからクレネさん、ウィーさんまで一緒に踏んじゃダメだって。茜色が真っ赤に燃えている。ごめん、俺にはもう止められん。静かな乱闘が収まるまで待機・・・。

 クレネ・ドルイド・ファーマス 落ち着いた?これ以上は絶対増やさない?了解しました。

 職種 森の賢人、スケカンの嫁(正妻) ご本人、勝利の表情。良かった・・・のか?

 レベル 212 腕力 601 体力 552 盡力 635 胆力 611 素早さ 596

        精神力 684 精力 303 カルマ +78

 精力の算出法がさっぱり解りません。多妻になって分散したのかも。カルマ値は、東のダンジョンで試し打ちした魔法が原因で落ちている。本人の嫌な予感を信じて止めといて良かったぜ。

 スキル 全状態異常耐性(強)、自動再生(強)、自動回復(強) が追加しています。

 3S B:87 W:56 H:89 お胸が・・・。で、年齢が完全に消えましたな。

 好きな食べ物 青リンゴ(完熟) 変化なし。

 「ここで売ってたリンゴは、何か渋くて嫌だった」いつの間に!女性の食への拘りは計り知れない。

 「何か、御免なさい。お姉様」ウィーさんがぺこりと謝っていた。無意味に責任感じすぎだよ。

 「試しに錬成してみようか?そのリンゴ」

 冷め切った朝食で腹を満たして、買い物序でに青リンゴも購入。活力が抜け落ちた人々が作る料理もまた味気なし。魔王を討伐したら、この国はどうなるのだろう。知らんけど。

 買い占めたポーションを錬成しつつ、流れでリンゴにも挑戦した。結果、成功のような失敗。

 青リンゴ 超完熟。熟れすぎた林檎は蜜の味。糖度26。鬼甘い。

 「あましゅぎるぅ!」一口囓っただけで身悶えていた。可愛い!いや違う!加糖なしのジャム味となってしまったリンゴを素のリンゴと混ぜ合わせ、宿の厨房を借りて文字通り煮詰めてジャムにした。きっと長期BOX保管でも大丈夫だろう。

 スケカン・ロドリゲス・ツヨシ(元童蒙 剛)

 職種 体現者、拳聖、賢人相当 寿命が延びているのは、ウィーさんには内緒で。 

 レベル 231 腕力 619 体力 640 盡力 747 胆力 645 素早さ 679

        精神力 623 精力 286(集中力向上有) カルマ +258

 スキル 全状態異常耐性(超)、自動再生(超)、自動回復(超)、錬成+(回復薬、果物)

 クレネさんよりも上位版が追加しています。皆さん疑問でしょう。俺も疑問です。なぜ取れなかったはずの異常耐性が追加されているのか?それは、勇者さんの聖剣を握ったからです!そうとしか考えられません!体感での変化が全く無くて、始めは気付かなかった。図らずも貰ってしまった物は仕方ありません。有り難く活用させていただこう。

 スキルの分散方法については・・・クレネ様がご存じです。ご理解下さい。

 「お買い物をしていただけで、なぜレベルがじわじわ上がっているのでしょうか?お姉様」

 「ん?昨日、私が放った魔術がどうして単発だなんて思うの?」「・・・」

 魔族軍の分隊が続々とクレネが張った罠に、飛び込んでいるらしい。今現在も。俺とウィーさんは絶句で納得した。絶対に怒らせたくない人、不動のNo.1に君臨しておられます。

 加えて報告を述べるのであれば、この大陸の北。詰り中央大陸から、青色のマーカーが急速接近中。方向からして、こっちに向かって来ているのは明白。何故?てっきり仲間かと思いきや、違う可能性も出てきた。もしかして待ちきれなかったとか。

 距離と移動速度を考えると、まだ1週間以上の余裕はありそう。早めに魔王を潰してから優雅に出迎えたい所存。男だったら知らない振りしてやり過ごそう。俺の中で師匠と呼べる人は、この世でたったの一人だけだから。ゲップスの兄貴を師匠と呼んだ事もあるけれど、それはそれとして。

 魔王戦に向けての準備が終わった。推定で10万程度と見込んでいた敵の規模が一夜で激増していた。どうやら、あちら側の幾つかのダンジョンから引き出して増殖していると思われる。あいつも姑息だねと思いつつ、魔族の王ならではの真っ当な手腕とも言える。

 でも。でもですよ皆さん。俺からはマップで丸分かりなのですよ。全部見えてしまっているのですよ。そして手元には、火気厳禁の薬草類、鉱物類。絶対に混ぜないで下さい旨の薬品が各種。普通に露天で暴落値で大量に叩き売られていたら。あなたはどうします?邪道?邪道で結構。非道?カルマがやや若干心配です。大きな山脈を越えた先に魔王城が在る訳です。

 この大陸の北側半分は、魔族の領地。その場所には魔物と魔族しか居ません。人質の人間?それは何人かは連れ去られた人が居るかも知れません。しかしながら、等しく灰燼に帰すれば判別不可能でしょ?加えて操られているだろうし。見渡す限りの赤。賢人の里のように、隠蔽が施されている訳でもなし。結論的にはそこには敵しか居ない訳です。3人での協議の末に。

 「魔王軍が数十万規模と聞いて驚きましたし、実際どうやって戦うお積りなのかと危惧しておりましたが、徒労に終わるのですね。私の心配は何処へ向かうのでしょうか」

 「私も流石に、そこまでの事は思い浮かばなかったぞ。うむ、惚れ直した」

 「ありがと。別のとこの神様たちがもしも、邪道だ!やり直せ!って文句言って来ても一切聞かない事に今決めたぜ」俺の決意は揺るがない。やると決めたらやる男。ですよね師匠?

 大量に購入した品々をBOX内に押し詰めて、王都を出た所の北の平原へと移動した。手頃な場所に購入品を並べてみる。壮観だ。

 元の世界の叡智の根源たるダイナマイツを、初期実験で越えるであろう爆破性能を発揮するかも知れない品々。火気厳禁?火を着けてお亡くなりになった方が居るのでしょう。混ぜるな危険?混ぜてしまって無念の死を遂げた方も居たのでしょう。そんな礎となった方々に報います。遠い天国から見守っていて下さい。貴方たちの死は無駄ではなかったと、証明しよう。

 俺は広がる大空に両手を掲げた。

 「センディング・デリバー!(強制送致)」並べた品々が宙に浮き、北の彼方へと飛んで行った。

 「テンペスト・ストリーム!(天変地異、竜巻)」魔王城付近に竜巻が発生。決して混ぜてはいけない物たちが渦を巻く暴風の中で、起爆材と共に仲良く混ざり合う。

 「メガ・フレイル!(広域爆炎)」さようなら。君たちの雄志は忘れない。見た事ないけどね。

 同時購入しておいた3人分の濃いサングラスで、北陸の大地に浮かんだ灰色のキノコ雲を並んで眺めた。俺はいったいいつ核兵器をこさえてしまったのだろう。

 そう俺たちはまだ、出発すらしていない。時刻は13時過ぎ。

 「お昼にしよっか。御飯食べたら出発しよう」ハイキング(山登り)へと。

 「賛成」クレネさんは何時も元気ですね。

 「どの道、直ぐに行くと環境とかが心配ですし。私の異常耐性も中なので、ゆっくり、行きましょう」

 仲良く町に戻って昼食にした。心なしか町の人々の表情が、ほんの少しだけ和らいだ。そんな気がして見えた。奥底に眠る自我がそうさせるのかも知れない。

単なる薬剤で核なんて作れません。

解っております、念のため。


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