第26話
疲れて死んだように眠る彼の顔を撫でながら。「ステータス、オープン」私は彼の力を借りて、能力値を確認した。擽ったそうに身を捩る彼が可愛い。
スケカン・ロドリ・ゲス・ヤロウ(元、ドウモウ・ツヨシ) 名前の意味は今でも解らない。
職種 体現者、神を殺す者 ???ダメ!消して下さい。お願いします!
職種 体現者、拳聖 良かった。私が先に見ておいて本当に良かった。
レベル 188 腕力 490 体力 511 盡力 575 胆力 495 素早さ 570
精神力 494 精力 85(集中力向上有) カルマ +109
強さの意味は何となく解る。天井だと思われたレベルは、苦行に依って突破を果たしている。精力が落ちているのは・・・今頑張ったから?
スキル 錬成+(回復薬)、体術(賢霊流、越級) これから、己の拳で戦って行くのかな・・・。ちょっとだけ嫌かも。ちょっとだけだよ、おじさん。
一応何もしていないけど、確認だけ。
クレネ・ドルイド・ファーマス
職種 森の賢人、スケカンの正妻 ?・・・多妻制の臭いがする。冗談も大概にしておけよ女神。私が代わりに殺してヤロウカ?ヤロウ?←これか!?
職種 森の賢人、スケカンの嫁(恐妻) 良し。良い子だ・・・殺すぞ!!!
職種 森の賢人、スケカンの嫁(良妻) 良し良し満足です。
レベル 163 腕力 487 体力 427 盡力 475 胆力 459 素早さ 470
精神力 490 精力 492(ベース 92) カルマ +201
スキル 救護+(夫補正有)
精力については触れません。一緒に戦っていた事になっているらしい。有り難い。総体的にツヨシが私を上回った。前のような迷いが無くなった分、実際に彼は強くなったはずだ。これからの冒険が楽しみだ。自分の本職で言えば、やはり後方支援でないと。
今現在の私たちは、北の大陸を離れ、一旦西の町に戻ったりしてから、東の大陸に移動していた。この大陸の秘密の大樹の裏に、私の故郷が存在する。皆元気かな。隣の眠る彼は、この大陸に渡ってからというもの血眼になって絹糸を探していた。そんな上質な糸など、そうそう出回っているはずないのに。私の為に頑張っている彼を、止めるのを躊躇ってしまった。見守って行こう。
見守ると言えば、勇者の一行も私たちと入れ替わりに北へと入り、無事魔王との戦闘中。無事で済むかは知らないが。私は興味が無いので特に応援もしない。勇者の近くにブラインおじさんが居る。何が起きてもきっと大丈夫だろう。
南の大陸で何かが始まった様子だが、こちらも興味なし。彼がこれを知ったらどうするだろうか。
行く行かないは彼が決めれば良い話だ。何よりも今は里のほうが先決である。そんな大事よりも優先される物など無い。
クローズする前にここの大陸の魔王を探してみた。北の白色は例外として、赤いマーカーを探った。あっさりと見つかったが、どうやら里の近くに居るようだ。里の皆が魔王如きに遅れを取るはずはないので、明日の朝にでも彼に話そう。急げば間に合う距離だし。
深く考える事はせず、彼の隣で眠りに就いた。
この時の油断を、彼女は少なからず後悔をする。貯まっていた疲れで冷静さを欠いていた。今宵の内に彼に伝えさえすれば、と。彼女は自分達の弱点である物を、失念していた。