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ヘッドフォンストーリー  作者: レイドグロア
1/3

1話 ルカと出会う

初めての作品です。

頑張って更新します。

暖かい目で読んでください。

どんなことでもいいので感想頂けたら嬉しいです。

気に入って貰えたらブックマークお願いします。

 ヘッドフォンから聴いた事のない歌が流れる。

その歌を誰が歌っているのかはわからない。

ただ、ひとつだけわかることがある。


 君を必ず見つけなくちゃいけない。



 *******************************




 俺の名前はシロ。

今年から晴れて大学生になる。

今までコミュ障だった俺は友達が出来た事がない。

さらにゲームやパソコンは親から禁止され、勉強に明け暮れる日々だった。

 だから俺は大学生活を必ず謳歌してやる。


「・・・って思ったんだけどな」


 月日は流れ、大学生活が始まっても3ヶ月。

友達はおろか誰にも話掛けることが出来なかった。

コミュ障は簡単には治らないらしい。

今日も教室の片隅でほそぼそと勉学に励んでいる。



 *******************************


 炎天に包まれる午前11時30分。

教室。

授業中。

俺はいつも通り誰の視線も感じない教室の片隅に腰を据えている。

だけど、運命はゆっくりと動きだしていた。



「隣、座ってもいい?」


 香水の香りが俺を困惑させる。

一人の女性が唐突に語りかけてきた。

緊張で女子生徒の顔を見れない。


「あ・・・えっと・・・あの・・・ですね」


 言葉が浮かばない!!!


「だめだった?授業中に話掛けちゃってごめんね」


 こんな奇跡、2度と訪れないかもしれない。

大学生活を変える為の大切なチャンスだ。

頑張って声を出さなくちゃ!!


「俺の隣に座ってください!!!」


 思わず大声出しちゃった。

教室内を飛び交う全ての視線が俺に集まる。


「あ・・ありがとう」


 彼女の顔を見ることができた。

ほんのりと頬を赤らめている。

まるでキラキラとしたエフェクトがかかったように彼女の顔が輝いていた。

とても美しく俺の瞳に映る。


「授業中にナンパか?授業に集中しろよ」


 教師がそう言うと、生徒達は一斉に笑い出した。


「私のせいで笑い者にしちゃってごめんね」


 彼女は俺なんかに頭を下げている。

俺は焦って彼女に弁解した。


「俺が大声だしちゃったのが悪いから大丈夫だよ」


「私、ご飯奢ります。お昼ご飯一緒に食べます?」


 なんて良い子なんだ。

誰かと2人でお昼ご飯なんて食べた事がない。


「はい!!」

 

 *******************************


 炎天の増幅が増す午後1時20分。

世界は2人の姿を照らしている。



   **************************


 授業が終わると俺は彼女に連れられて食堂にやってきた。


 彼女の後ろ姿を見る度に幸せな気持ちが溢れる。

誰かと一緒に歩くってこんなに幸せなんだ。


「どの席も空いてないね」


 彼女は悲しそうに席を眺めている。

一席だけならちらほら空いている。

まさか俺が二席隣り合わせに空いている席を探す日が来るなんて・・・。


「俺、料理得意なんです。よかったら俺の家で食べます?」


 彼女はにこっと笑った。


「私も料理するの大好きなの。一緒に作りたいな」


「じゃあ、いこっか」


 俺も彼女も運良く午後の授業はなかった。

彼女を連れて近くのショッピングセンターを訪れた。


「何食べたい?」


 彼女は俺に尋ねた。


「シチューが食べたいかな」


 彼女はふふと笑いながら歩きだした。


「私もシチューが食べたかったの。君と私って気が合うね」


 シチューの食材を調達すると俺の家に向かった。

大学から徒歩5分の小さなアパートの2階。

大学生からは一人暮らしをしている。


「おじゃましまーす」


 彼女は緊張した様子で部屋に入っていく。

俺も女子を家に入れるなんて今更ながら緊張している。


「綺麗な部屋だね。私の部屋より綺麗だわ」


 ほこり一つすら許さない完璧な部屋が広がる。

A型の俺は掃除をきちっとしないと気が済まない。


「さっそくシチューを作ろう」


 彼女も張り切って頷いてくれた。


「私は野菜を切るから、君はお肉を炒めて」


 ああ・・・野菜切るの好きなのに取られちゃったか。

なんて想いながら、フライパンに油を少量注ぐ。


 彼女は手慣れた速さで野菜を切っている。

とても楽しそうな表情をしている。


「そういえば君の名前を聞いてなかったね」


 彼女は俺を見つめてくる。

頬がちょっと赤くなった。


「俺はシロだよ。漢字で書くと白色の白だよ」


 彼女は僕の髪をみてくすっと笑った。


「シロくんか。珍しい名前ね。それに髪も真っ白だからぴったりね」


 俺は生まれつき髪が白い。

この髪の白さは俺のコンプレックスでコミュ障になった原因の一つだ。

シロ髪とあだ名を付けられ虐めにあった日々は今は懐かしく感じる。

 

「君はなんて名前なんだ?」


 彼女の綺麗な黒髪が揺れる。


「私はルカ。よろしくね」


 ルカか・・・可愛い。


「可愛い名前だね」


 ルカは嬉しそうに微笑んだ。


「褒めても何もあげないからね」


 そんな話をしている間にシチューは完成した。

とても美味しそうな香りが部屋に漂う。


「それでは、頂きます」


 俺は手を合わせた。

ルカも手を合わせてくれた。


「頂きまーす」


 *************************


 本当は出会っちゃいけなかった。

ずっと一人でいるべきだった。

孤独生きて孤独に死にたかった。


 ・・・・大切なルカと出会いたくなかった。


1話を読んでくれてありがとう。

2話は異能力に目覚めるお話です。

読んで貰えると嬉しいです。

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