13.昼食後
「コンビニ無いのかー……」
まさかの情報にひとりごちる。
コンビニなんて、現代日本じゃ十分歩けば一軒は遭遇する認識だった。
「コンビニなんて滅多に行けないよな」
「ええ。自転車でも家から三時間はかかりますから」
純也くんと天内さんが確認するように話している。
なるほど頑なに小夜子さんが弁当を持たせようとしてくれたのは、コンビニや学食が無い事を知っていたからか。
そもそも、もっと早く教えてもらいたかったけれども。
昼ご飯を食べながら、この町の地理について皆に色々と教えてもらった。
この町はコンビニやデパートといった近代的商業施設が全く無く、個人経営のお店で食料や衣料品等を購入する。
カラオケ、ゲームセンター、ボーリング場等の遊ぶ場所も無し。
隣町まで行けば、上記の場所はあるにはあるらしい。らしいと不確かなのは、皆も風の噂で聞いた程度だからだ言っていた。
携帯電話は圏外になる場所がほとんど。ちなみに携帯電話を持っていたのはこの教室の中で僕だけだった。
冬になると雪が膝あたりまで積もる。冬休みの半分くらいは雪かきに時間を費やすのだという。
そして、夜は神様の時間だという事。
「神様って何なの?」
天内さんに向かって、昨夜からの疑問をぶつける。
「神様は神様ですよ」
あっけらかんと答える天内さん。
僕の聞き方が悪いのだろうか。何と聞けば僕が求めている答えを得られるのか。
僕はあれらの正体を知りたいのだ。
「悠和、都会って神様いないって本当なのか?」
純也くんが少し驚いたように聞いてきた。
「いないと言うと語弊があるけど、ここみたいにはっきり現れないよ」
実家には神棚があったし、トイレには美しい神様が住んでいるという噂も聞いたことがある。
ただ、夜になるとあんな訳の分らない者が出現するという話は聞いた事が無い。
そもそも、なぜあんな巨大な者が出現しているのにニュースになったりしないのだろうか。
「二人とも。そろそろ昼休みも終わりですし、このお話はここでおしまいです」
天内さんに言われ時計を見るとそろそろ十三時になろうとしている。
氏家さんと芹さんはすでに立ち上がって机に手をかけている。
この町に関しては少し詳しくなったが、神様については全く収穫無しだ。
「折笠くん、今日一緒に帰りましょう」
「え?」
立ち上がろうとする僕に天内さんから意外な申し出。
「家同じ方向ですし、その時に神様についてじっくりと話しましょう」
「今話してくれればいいのに」
思わず本音を口に出してしまった。
「折笠、長閑に神様の話をさせるととても長くなるの。それはもう洒落にならないくらい」
氏家さんが睨むような目つきで僕を見る。
「そうね。長閑ちゃん神様に関して町の誰よりも詳しいくらいなの」
芹さんも苦笑いしている。
「長閑相手に神様の話題を出した事を後悔しながら下校するといいわ」
ふふふ、冷たく笑いながら氏家さんは机を教壇の目の前に戻した。




