12.昼食
昼休みのチャイムが鳴った。
午前の授業がやっと終わった。転入初日だからか授業時間がとても長く感じられた。
「悠和くん、昼ご飯食べよ」
隣の榎尾さんが、席を立ちながら僕に話しかけてくる。
なにやら両手で机を抱え、どこかに移動させようとしているが。
「榎尾さん、何してるの?」
「昼ご飯の時はみんな机を寄せて食べるんだよ」
だから、と榎尾さんはずいっと僕に近づいて、
「悠和くんも早く机くっつけて」
と笑顔で言う。
見回すと、天内さんも伊東くんも氏家さんも教室の真ん中にガタガタ机を移動させている。
「いいのか?まだそんなに仲良くないのにお昼ご一緒しちゃって」
「だからこそでしょ」
「うだうだしてないで早く来いよ、芹、折笠。腹減ったぜ」
伊東くんに大きな声で呼ばれた。
まるでヤンキーに恫喝された気分。
僕は榎尾さんにつられるように机を移動させた。
「改めまして、榎尾芹です。芹って呼んでね」
「伊東純也、俺も名前で呼んでくれ」
「氏家香澄、苗字で呼んで」
「天内長閑、好きに呼んでください」
机をくっつけ終わるなり、また自己紹介が始まった。
今度は呼び方の指名付だ。
「折笠悠和です。呼び方はお任せします」
四人からの視線を一身に受け、かしこまってしまう。
「じゃあ俺は悠和って呼ぶぜ」
「私も悠和くん」
純也くんと芹さんが言った。
二人ともフレンドリーだ。
しかし、同年代の人から名前で呼ばれるなんて小学校以来めっきり減っていたので、なんだかちょっと照れくさい。
「私は折笠くんって呼びます」
うやうやしい天内さん。
「私は折笠」
ドライな氏家さん。
「でかい……」
学生鞄に入った弁当箱を見て、思わず呟いた。
長方形の箱が二段重ねになっている。
今朝、小夜子さんが作ってくれた物だ。
大して教科書が入っていない鞄が重かったのは、これが原因か。
「悠和の弁当でかいな」
弁当箱を机に置くなり、正面に座る純也くんが驚いたように言う。
「本当に大きいわね。飯盒みたい」
右に座る芹さんも驚いているようだ。
「叔母さんが朝わざわざ作ってくれたんだよ。育ち盛りだからたくさん食べなさいって」
コンビニや学食で済ませると言ったのに、小夜子さんはわざわざ僕と妹の分の弁当を作ってくれたのだ。
「折笠は叔母さんの家に居候してるんだっけ?」
純也くんの横に座る氏家さんが聞いてくる。
「そうだよ。コンビニとか学食で済ませるからわざわざ弁当作ってくれなくていいって言ったんだけどね」
みんなに注目され、ちょっと気恥ずかしくなってしまう。
「この学校に学食なんて無いよ」
「コンビニもここから車で一時間くらいかかりますし」
「へ?」




