町観光前#8
「あー」俺はそうあくびをしながら背筋を伸ばした。右隣を見るといつの間にか木製の窓の隙間から光が漏れ出している。恐らく、あの動画を見ている途中に寝てしまって朝に目覚めたというところだろう。
そう結論付けると俺は今7時25分だ、ということが咄嗟にわかった。
時計が備え付けられていて、その時計を見たというわけではない。なぜなら俺が宿屋を見たところ時計は振り子時計が一つ食堂に置かれていただけだっただからだ。
つまり、この部屋には時計は無い。この一流の宿屋にも時計が一つしか置いていないということはもしかしたら時計がすごい高価なものかもしれない。
じゃあどうやって正確な時間を知ったのかというと俺の耳についているハイテク機器のおかげだ。今まで気づかなかったが、左隅に白い字でちょこんと申し訳なさそうに小さく時刻と年月日が書いてあった。
ちなみに年月日は2014年10月15日になっていた。俺はてっきり異世界の過去に飛ばされていたと思ったのだが、俺が前いた世界と一緒の年月日のようだ。
この年でこの文明レベルはひどい。もしかしたらこのハイテク機器の年月日がずれているのかもしれない。
そんなことを考えたあと、昨日の続きを見ようかなと思ったら、コンコンと扉のほうから音がした。すると、「失礼します」と赤髪の小さな女の子が入ってきて「朝の食事の用意ができました」と言ったので俺はまあ朝食を食べてからでも見ればいいか。
などと思い扉を開けて横の階段を降りて食堂に向かった。
食堂に着くとあのカウンターの金髪ツインテール少女に列ができていた。恐らくみんなも朝食を食べにきたのだろう。
ちなみに現在の時刻は7時35分である。なので、この世界の人は早起きなのかな、と思ってボーっと眺めていると後ろから人が来て行列の長さが一人分増えてしまった。
速く行かないとまた行列が長くなる。と思い俺はすぐに列に並んだ。すると、俺が来ると同時に列は動き出し、朝食が出来たのか、あっという間に俺の番が来てすぐに朝食が乗っているトレイを渡された。
朝だから期待していたのだが残念なことにご飯も魚も出なかった。朝も夜と似たようなメニューでライ麦パン・爆走牛の肉をスライスして和風ダレをかけたもの・サラダと爆走牛のタレが変わったこと以外は何も変わっていなかった。
このメニューは確かにおいしのだが、唯一食べていない昼のメニューにもよるが二日三日滞在していたらすぐに飽きるだろう。
いや、もしかしたら一日でも飽きるかも知れない。そんな風な文句を心の中で思いつつ食べ終わった俺は部屋に帰った。
そして俺は部屋に帰りフカフカのベッドに腰をかけた。まだ8時07分なので、昼にはまだだいぶ時間があった。
なので、とりあえずチュートリアル2の続きを見ることにした。動画のバーの途中を指で押し、動画を飛ばすと奇跡的にもちょうど見れなかった所から始まった。
魔法師のエルフが立っている地面から青いものがでているのがうっすらと見えている画像が表示され女の声が流れた。
「次は魔法とは何かについてです」
「この世界の人は知りませんが、魔法とは大地からの魔を蓄積することによってつかえています」
「この世界の一部の動物は細胞の中に大地からあふれ出る魔を取り込む魔力体というものを持っています。魔を取り込むと血液に送られ、血液に送られた魔は魔を溜める袋に送られるのです。魔は結晶化する性質があるためそこで結晶化させるということをして魔をためます」
「なお、魔を溜める袋がパンパンになると脳に信号が送られて無意識に体内に取り込んだ魔を制御し口から要らない魔を放出します。なので魔を溜める袋が破裂するということはありません」
「こうして溜められた魔は声に出した、もしくは心の中で念じられた意思を感じ取り現象を起こすのです」
「チュートリアル2は終了です」
俺はあきらかに曖昧なところがあったな。と思いつつオリジナル魔法の作成のためどんな感じなのか詠唱文をいくらか見ると、俺が当てられそうになった(?)魔法を探す。
球と検索するとヒットした。魔法名はレインボーボールらしい。うん。ださい。まんまでもないし、かといってたいして捻ってる訳じゃないし。
魔法名つけた人ネーミングセンスが恐ろしくなかったんだな。そんなことを思うともう11時56分になっていたので、俺はすぐに宿屋を出た。
かなり少ないです。なぜかといえば私が女の子というものをあまり知らずどうしていいかわからないため時間がかかるのでとりあえずといった処置です。あと、説明も適当です。すみません。次回こそはエルフ少女との町観光です。