SS リーフィアが惚れた裏には#53
SSですがこの章が終わるわけではございません。大抵は行き詰った時に入るかもしれません。
「ほー楽しそうだな」
そう、真っ白い空間の中で白髪白髭の老人は呟いた。その白髪白髭の老人とは一つの宇宙を所有しコントロールする立派な神である。誰かには『自称神』などといわれているが。この真っ白い空間にはいつも通りたくさんの機械とモニターそして宇宙そのものが置かれていた。ちなみに今、モニター越しに神が見ているのは修羅場を何とか治めた少年。櫻井 氷河の姿だ。
元は男であった神が何が楽しそうなのかは、元は女である私には理解できないのだろう。ただ、氷河自身は楽しいわけではないと断言できるだろう。モニター越しに見てもあの場を治めるための一言を言うときに一瞬でた覚悟の表情はすさまじいものだったから。
それこそまるで歴戦の戦士が死ぬことを覚悟した表情だったのだ。これを見ても少なくとも私は楽しそうなどとは微塵も思わない。まああの神は頭脳だけで亜神を通り越して一瞬で神になった正真正銘の天才であるので、私が男でも理解できなかっただろうが。
ふと、考えたのだがあの男になぜリーフィアという女がくっついているのかが不思議だ。あの覚悟の表情をしたときはかっこよかったが、聞いたところ一目ぼれらしい。なので、リーフィアという女がなぜ惚れたのかがさっぱり解らない。物理学以外はあの神の範囲外だろうが、念のため聞いてみることにした。
「なぜリーフィアという女はヒョウガを好きになったのですか?個人的にはまったく良い容姿とは思えませんが」
「神力を使って惚れさせたのだ。世界の終末を防ぐためにな」
「そ、そうですか」
あの男も災難だな。まあ、ハーレムとやらも悪いわけでもないのだろう。現に、リーフィアという女にデートを、マギナという女に一緒に研究することを持ちかけられて心なしか嬉しそうにしているからだ。それにあの女共も喧嘩しているがちょっと口元がにやけている気がするしな。
―あの中に入るのも良いかもしれないな―
そんなことをわたしが思うとは!!自分でも予想外だった。まあ一時の気の迷いなのだろう。




