宿屋 夜の帳#39
ベルンに到着できず。
夜の帳に入るとビギニー町とシラク町の建造物や道、規模の差があったようにビギニー町の宿屋とシラクの町の宿屋にも雲泥の差があった。カリーの宿屋と比べるのはフェアじゃないが正直言ってもう一軒の宿屋とは比べても大して変わらない。なので、まだマシなカリーの宿屋と比べていこう。
まず床だ。床はカリーの宿屋では丸い石が敷き詰められて出来ている床で時折石の間に少し段差があった。だが、夜の帳では四角くキッチリ正方形でカットされた石がぎっしり詰まっていてやすりかなんかで丁寧に削られており段差は一切無い。次はテーブルやイズなどだ。
カリーの宿屋では丸いテーブルやイスなどは元いた世界と比べると若干粗悪だった。だが、夜の帳では、四角いテーブルは漆かなんかで赤と黒に木がちゃんと塗装されていて、イスは塗装されていないもののやすりはしっかり掛けており、ツルツルだ。元の世界で売ってもなんら問題ない品だ。やれば出来るじゃないか異世界くん。
次は照明だ。カリーの宿屋では上に灯油のにおいがする液体が入ったランタンがぶら下げられており、もう、夜なので木の柵からは光が入って来ないのでランタンがあっても薄暗かった。だが、夜の帳はフック見たいのが天井についていてそこにランタンがかかっている。もちろん普通のランタンではない。光の量が異常に高いのだ。そのランタンからは何のニオイもしない。その光の量が異常に高いランタンのおかげでかなり明るかった。
後から聞いたのだが、あれはライトの魔法を発動するように設定された魔方陣が刻まれた魔石を金属の部分に隠してあって、勝手に魔石が尽きるまで光り続ける。という魔石を燃料としてライトの魔法を発動させるランタンらしい。「魔方陣ってあったんですね」と言うと、宿の人が「え!知ってたんですか。わたしが始めて渡されたときはビックリしましたよ」と言っていた。なぜかこの異世界ではマイナーな技術なんだろう。
ということで食堂の比較を終えた。あと、ついでに言うと振り子時計も置いてあった。そんなこんなでこの設備に俺は感激したよ。だってこれぐらいの設備だったら不便もくそもない。しいて問題点があるとすれば食事だ。米が無いのが意外とツライ。もちろんアニメが見れない方が大問題だけどね。くそといえばこっちの世界のトイレのニオイがくさい。どれくらいか?というと公園のくさいトイレ並みだ。そこも確認しておくことにしよう。
この宿屋の設備が最新なのだろうか、この宿屋のさらにランクが一個上の宿屋にはもしかしたら上位互換とかもっと便利グッズあるかもしれない。進みすぎでしょ。なんだよ、異世界はテンプレ通り中世並みの文化だと思ってた。この年月日表示も間違いじゃないのかも知れない。そんなことを思いながら観察をしていると受付が終わったらしいので俺もリーフィアたちに付いていった。
そういえばさっきからレーダーの表示が頭の中から離れないのだがどうすれば良いのだろうか。とにかく消えろとか言えば良いのか。心の中で強く念じた。「消えろ!」そうすると頭の中からレーダーの表示が消えた。まあ、俺が作ったんだから俺がそうだと思ったら消えるよね。そんなことを思いつつリーフィアとマギナが入った207号室に入った。
すると、いっせいに俺の方を見てにらんできた。リーフィアが言った。
「一人で考えすぎです。わたし達にも何か悩みがあるなら相談してください。あと、悩んでいないならわたしたちにもかまってください!!わたしは特に恋人でしょう」
「うん!!」
「右に同じ」
「あ、ごめん。あと、心配しないでたいした考えごとじゃないから。クリスティーネさんは?」
「別の部屋に居る」
「じゃあ俺の部屋のかぎ頂戴」
「きき、き今日はいっしょに寝てもらいます!!」
「それに夕飯が先」
「うん!!」
「ということで行きましょう」
どうしよう。美少女とドキドキお泊りイベントが発生した。前回は残念なことに部屋が一緒にならなくて発生しなかったが、今回は発生したらしい、マギナも追加されて。元いた世界で煩悩を消しといたほうが良かったな。DTの俺は実行できるほどの勇気は持っていないが、実行に移ろうとしてしまう欲はかなりある。何も起こらないといいんだが。あれっこれってフラグじゃ。
俺はマギナに付いていって、通路を少し歩き階段の前に着くと階段を下りて食堂に着いた。食堂に着くとざっと二つの種類の冒険者がいた。初心者と中級者だ。恐らく価格設定がそのぐらいの値段なのだろう。俺は意外と空いていたカウンターでトレイを受け取り腹を減らしながらマギナたちがいるテーブルへと向かった。
今日の晩御飯はなんと米!久しぶりだ。そして照り焼きの岩鳥のソテーと味噌汁だ。急に和食になった。ていうか味噌はあるのか、しょうゆはあるのかな?俺は久しぶりの和食に舌鼓を打ちながら食べ終えた。俺は食べ終えるとかまって欲しいと言われたのを思い出したので、話してみた。
「流行とかってあるの?」
「おなじく!!」
「わたしがいた村だと、手を糸に通して形にする遊びがはやってましたね」
「え!」
「ヒョウガ、どうかしましたか?」
「なんでもない。この米って奴おいしかったね」
「うん!!」
「同意」
「そうですね。この米という穀物はおいしかったですね」
「じゃあマギナが食べ終わったみたいだし部屋に戻るか」
そういって俺たちは席を立ちトレイを返却した。そういえばあやとりがはやっているとは驚いたな。異世界版のび○くんとかいるのだろうか。まあいるわけ無いか。ドキドキしてきた。ちなみに今、俺は一足先にリーフィアたちに行ってもらって心の準備をしている。よし!入ろう俺はついにドアを開いた。まあそれで何かあるわけでもない。俺は他愛もないおしゃべり(マギナだけは研究の話だった)をして、少しした後ロウソクを消し、ランタンに黒い布をかぶせて俺はベッドに入った。
今俺の横には二人の少女が居る。そう意識すると眠れなかった。DTだから仕方ないね。そんな風に言い訳していると、もう寝たのかリーフィアが寝返りをして俺の腕の上に胸が乗っかる。実に柔らかい。
こんな感じのことがおきながら俺は結局寝れず朝を向かえた。なんでリーフィアはあんなに緊張していたのに寝れたんだよ。
本当に次回こそベルンへ。もしかしたらいけなかったりして、次回もお楽しみに




