町観光(後編)#12
そんなわたしをさらうなどという恐ろしい話がされているとは露知らずわたしは好きなヒョウガさんと・・じゃなくて家出を遂に実行できたことによりご機嫌に町を歩いていた。
俺はリーフィアさんになかなか話しかけられずにいた。仕方ないだろう、だってオタクなんだもん。
まあオタクが一概に女の子に話しかけられないわけではないだろうし、もちろんこれが言い訳であるとはわかっている。
実際のところはただ単に相手が美少女なのが問題だ。正直言ってオタクといっても俺の場合はなんら普通の高校生と社交性は変わらなかったので、クラスの女子とぐらいは普通にこういうときでも話せただろう。
だが、美少女は別だ。俺は美少女となるとたちまち鼓動がわかりやすくドクドクと鳴らすようになり、話掛けられなくなってしまう。
普通の人で言うならばいわば、好きな女の子には話しかけられないような感じである。しかも容姿と言葉遣いが優等生系美少女なので、殊更話しかけづらい。
横目でチラッと見るとなぜかリーフィアが顔を真っ赤にして手をブンブンと横に振っていた。
それが終わった後、幸いなことに女の子つまりリーフィアのほうから目をキラキラとさせて話しかけてきた。
「その便利アイテムとやらをわたしにもちょっとだけ使わせてくれませんか!!?」
「うーん。ここに来てからずーっと俺の耳の上に着いているけどそれでもいいの?」
「べ、別にいいですよ」
「実はね、この便利アイテムはこの世界の言語と俺の世界の言語を自動的に翻訳して魔法で変える役割があるらしいんだよ。だから、万が一何かがあって俺の言葉がリーフィアさんに通じないとこまるでしょ。だからごめん。貸してあげられない」
「別にいいですよ。でもそんな機能もあったんですね」
そんな返答をされてちょっと落ち込んだわたしだったが、ちょうど食堂についた。なので食堂について説明することにした。
「ここは安くておいしいと町でも人気のお店なんですよ。幸か不幸かもう昼からだいぶ時間が経っているの空いていますね。入りましょう」
俺は確かにだいぶ時間が経った理由を考えると幸か不幸かわからないな。と、思いつつリーフィアの後を追って店の中に入った。
店の中に入るとあの一流の宿屋と遜色ないイスと宿屋とは違い縦長のテーブルが置かれていた。店内は茶色一色だった。
店内の配置は日本のまさに食堂といった感じで、奥には調理している人がいてウェイトレスは空いているからか、調理人との仕切りのところに立っていた。
すると突然。
「いらっしゃいませ!!」
といっせいにウェイトレスが叫んだ。こういうのはファミレスを想像させる。そして近くにあったテーブルに座ると、リーフィアさんが話しかけてきた。
「これからは仲間ですし、お互いをな、な名前で呼びませんか!?」
「えっ。それハードル高すぎない?」
「いつかは越えなきゃいけない壁なんです。今のうちに越えておきましょうひ、ひひヒョウガ」
「わかったより、リーフィア」
俺がそんな恥ずかしい会話を終えるとウェイトレスが寄ってきて尋ねた。
「ご注文はどうしますか?」
「じゃあ耳長猪定食でお願いします」
「じゃあ俺もそれで」
「わかりました」
さっきの会話で恥ずかしくなっていた俺は少し沈黙した後、重い口を開いた。
「リーフィアs、耳長猪ってなに?」
「そ、それはねわたしの村の近くの森に住んでいる動物でね。わたしの村でも時々狩りをしおわった時ぐらいに出るんです」
「なるほど、馴染みの品を頼んだってことか。おいしいの?」
「おいしいやつはすごくおいしいらしいですけど、まずいやつは死ぬほどまずいです」
「なんでそんなの頼んじゃったの!」
「運が悪いのかまずい奴しか当たったことが無いんですよ。でも、おいしいと評判のこの店ならおいしいやつが出ると思ったんです」
「それフラグじゃ」
俺達がそんな会話をしていると噂の耳長猪が出てきた(ステーキ)。俺はまたステーキかよ。と内心文句を言いつつトレイの上に載っているものを見た。
すると、また同じような献立だった。ステーキにライ麦パンそして唯一違うところと言えば、サラダの代わりにりんごが置かれていることだった。
わたしは期待に若干胸を躍らせてパクリと口にステーキを入れたすると、運んで来るときからわかっっていたが、あのひどいにおいも無く、肉の味が濃いいいステーキだった。
喜びとおいしさに満面の笑みにわたしはなると、ヒョウガはどうなのかな?と思い隣を見た。
すると、鼻を手でつまみながら、噛み千切ろうとフォークを刺しているほうの手を一生懸命のばすヒョウガの姿があった。
わたしはこの状態に何度もなっているので笑えなかったが、おいしい肉を食べながら運が悪かったですね。と優越感には浸りつつ横目で見ていた。
近くにコップに入った水が置いてあったので、走ってのどが渇いていたので飲むとなんだか眠くなってしまい寝てしまった。
俺は肉を噛み千切ろうと悪戦苦闘していたが、横で寝ているリーフィアを見て指をはなし、口の中に入っている肉を皿の上に戻すと、口の中がまずいので口直しに水を飲んだ。
すると、なんだか眠くなってしまい俺も寝た。
するとウェイトレスが駆け寄りにやりと表情を変えると、
「うちに帰って二人とも様子を見ときます」
と店主に言って二人を担ぎ店を出て行った。
ついに事件を発生させることができた。次回はヒョウガの規格外さが判明?次回をお楽しみに。




