SS あるエルフ族の少女の出会い。#9
エルフ族の少女視点で書いてみました。
わたしはビギニー町の近くにあるエルフ族の集まる村、ノカナ村の村長の娘です。ノカナ村の人たちはみんな豊かな心を持ち、ビギニー町に出荷する絹糸などを作ることで儲けて豊かなお金も持っていました。
私も優しい人たちに囲まれて、勉強したり、魔法を教えてもらったりしていました。
普通の人や苦労している人から見ればなんて羨ましいと思うでしょう。確かにお金に困らなかったり勉強できたりすることは幸運だとわたしは思っているけど、この平穏でなんの変化もない生活は好きではなかった。
ここでの生活は毎日が同じことの繰り返しです。せいぜい行事といえば二ヶ月に一度ぐらいやる狩りぐらい。
なので、わたしは日頃から面白いことが起きないかなとずっと考えていました。退屈な毎日が変わることを望んでいました。
ついにそれは起こりました。ある木々が赤や黄色などで彩られてきた日の事でした。わたしは退屈だったので、動物の恐ろしさなど欠片も知らないわたしは退屈しのぎに動物を狩ったりユニコーンを使役したりしようかな。などと思いお父さんと
「昼ごはんは町で食べてきます」
「たまには人族の町に行くのもいい勉強になるかもな。よし、今日は書類をまとめるのに忙しくて一緒に行ってやれないが、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。ちゃんと人族の言葉も話せるし、地図と念のために金貨を多く持っていくから」
「そうか、いってらっしゃい」
「行ってきます」
そんな会話をしてわたしは町に行くのを口実に草原へ動物を狩りに行きました。森では一切迷うことなく進むことが出来た。
地図があるのも理由の一つですが、ただ単にエルフ族が情報収集に長けているのが大きな理由です。
草原に着くと文字で読んだりイラストを見るよりもずっと恐ろしい動物やカッコいい動物がいっぱいいました。
そこで、わたしは本などで読んでいて憧れだった乗馬というものに挑戦すべく、草を食べている一角馬の背に跨りました。
すると、一角馬はいきなり背にまたがられてビックリしたのかそれとも怒ったのかわからないが、暴れだしました。
訓練をしていない非力な私では抵抗することも出来ず、すぐに背から激しく放り出され、頭を打ってしまいすぐに気を失ってしまいました。
私は身体がやけに重い気がするな、強く体を打ったからかな、と思い目を開けると目の前に私の胸の中に頭を埋める男性がいました。
すると、自然にカーっと、顔が熱くなり今度は頭の中が真っ白になりました。
男性に触ったことも触れられたことも無いわたしにはあまりにも大きいショックでした。
わたしが頭が真っ白で何も考えられず動かなくなってから数秒経つとわたしはショックから立ち直り前にいる男を見ました。
今度はわたしは怒っていた。もちろん当然の反応です。だって、わたしが気絶しいる間に勝手に胸に顔を埋めるという女性を冒涜するような行動をしたから。
だけど、だからといって、殺すわけにもいきません。女性を冒涜する行為をしたとはいえ人を殺したわけではないからです。
わたしは当たらないように魔法を撃ってわざと相手の横に逸らすことによって相手の罪を恐怖によって償わせることにしました。
わたしはいつも練習していた通りに心の中で詠唱する。「火よ我に従え!水よ我に従え!土よ我に従え!一つの球となりて罪を討たん!」その詠唱を続けて魔法を撃ち続けると、逃走していた男がある時を境に逃走するのを止めました。
謝る気なのでしょう、そう思ったがわたしは許す気は一切無いのでかまわず撃ち続けた。
するとなぜか物語に出てきた王に謝る平民のように頭を地面に着け男はこう叫びました。
「誠に申し訳ありませんでした!!!でもわざとじゃないんです!!!」
「へっ!?」
わたしは謝られても許すわけないでしょうと途中まで思っていましたが、急に、でもわざとじゃないという無茶苦茶な言い訳を聞いて思わずそう素っ頓狂な声を上げてしまいました。
だけど、一度真っ白になり怒りも少し消えた頭でよくよく考えてみるといくら変態だからといっても寝ているわたしの胸の中に頭をうずめるというのは奇妙だし、そんな変態ならばいままで指名手配されていないのはおかしいということに気づきました。
なのでわたしは自分が言うことを想像し少し恥じらい顔をほんのり赤くしつつも尋ねました。
「じゃあな、なな、なんで私の胸の中に顔をうずめていたのですか?」
「異世界からワープしたところがその、あなたの胸の中だったんだよ」
なんなんですかその意味のわからない言い訳は、と思った。だが、わたしはそんなこと言い訳にもならない、と考えたところで重要な事実に気づきました。なぜそんな言い訳をわざわざするのだろう、と。
つまづいてたまたま胸の中に顔が入ったとかのほうがよっぽどマシでしょう。なのにこんな無茶苦茶な言い訳をしている。
その事実に気づいたわたしはありえるかもしれないとチョッと思いながら疑念の目で男の人を見つめていました。すると男の人は話し始めました。
「この服装やこの服に書いてある文字は見たこと無いだろう?」
「うーん。確かにこんな鮮やかで文字みたいのがプリントされた服は人族が着ているのを見たことないし、この文字も人族のものではないですね」
「そりゃそうだ。だって異世界のものなんだから」
「じゃあその耳につけているものも異世界のアクセサリーかなんかですか?」
わたしがそう尋ねた直後ちょっと嬉しそうな顔をしながら耳についている何かのどこかを押すと男の人はなにも言わずしばらく静止しました。
わたしは怒っていました。なぜか、といえばまず何か知っているのなら質問した私に情報を伝えるべきだと思ったからです。
そうすると今度は急に何も無いのに指で何かを押す動作をしたあと、男の人は「少し待っててあとで説明するから」と言いました。そういう問題ではないのです。
わたしは気を使えと思っているわけではありません。早く教えてほしいのです。見ていると不思議でした。
なにも無い空間に指を押したり、すべるように動かしたり。もしかしたら未来から来た人でかなり凄腕の魔法使いなのかもしれない。人族が賢いのはしっていました。
最近に日時計や水時計に変わる振り子時計という正確な時計を生み出したのです。もしかしたら、機械。という奴と魔法を組み合わせているのでしょうか。
そんなことを考えていたら急に男の人が叫びました。
「この世界の影響云々の前にあんたの粋な計らいなせいで死に掛けたんだそー!!この自称神が!!!!!」
「いきなりどうしたんですか!!?」
もちろん男の人がなにをしていたのかわからない私にはいきなり怒鳴っているように見えたので驚いて声を出してしまった後、本当は変態だったのかも知れないと思い、自分はこれからやばいことをされるかもしれないそんな恐怖で体が勝手に震えていました。
すると男はあの耳についているものについて説明し始めた。
「これはまあ一言で言うと便利アイテムだな」
「そのアイテムのなにが便利なんですか?」
「魔法みたいに遠くにいる人としゃべったり、手紙をやり取りしたり見たことを記憶したりできる」
「え、て言うことはさっきのは遠くにいる人に怒っていたのですか?」
「うん、そうだよ。その人はたぶん俺をここに来させた人なんだけど。わざとあそこにワープさせたんだ」
「そ、そうなんですか」
あんなに怒ってたんだから本当に不本意なんだなーとわかった私はこの人にとても悪いことをしたな、と思いあることをやってあげることにしました。
あることとは道案内や町の紹介などです。
たぶん別の世界から来たのだから右も左もわからないはずだからせめてもの罪滅ぼしに教えようと思ったのです。そのことをわたしは青年に言いました。
「さっきはすみませんでした。せめてもの罪滅ぼしに道案内ぐらいはさせてください。」
「あ、明日町案内してくれる?さっき言ったこの便利アイテムに地図は入ってるんだけど詳しいことまでは乗ってないんだよね」
「え!?そんなものまであるんですか!すごいですね。でもお金は持ってますか?」
「あ、そういえばそうだった。宿に止まれないな」
「さすがに家には泊められませんが。宿代なら貸・し・て・あげます。貸すだけですからね。後でキッチリ返してくださいよ」
「ありがとう。まじで助かった。また明日昼ごろここで集合な」
「わかりました」
わたしはそういうとなぜか明日が楽しみになっていました。いや、なぜかではありません。異世界から来たという男性と一緒に歩いたりして話すのが面白そうなのです。そう思ってわたしは森のほうに向かいました。
次回こそ町観光です。




