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エルディス学園 ~氷来記~  作者: 絢無晴蘿
エルディス学園 ~氷来記~
7/15

学生、調べものを始める





ねぇ、おかあさま


舌足らずな幼い言葉が紡がれる。

持っているのは古い魔術の本。


――なにかしら?


そるでぃあのまじゅつしって、なぁに?


――?


無邪気な少女のその言葉に、母親は首をかしげる。


いるろーがのまじゅつしとはちがうの?


――……ソルディアの魔術師って言うのはね、ソルディア式の魔術を操る魔術師の事よ。イルローガの魔術師とは違う、魔術師の事よ。……今では、もういないけれどね。




母親は、そう言って少女の頭をなぜると、優しく笑った。












「で、なんでまたあんたと同じ班なのよ」

ぶすっとした顔で、フレイアが言った。

「アデルシア先生が言ったから」

やっぱり、嫌われているみたいだ。

すこし残念と思いながら、そう答えた。



編入から少したったある日。

突然アデルシアは授業を自由研究にすると言い始めた。

何人かでまとまって、魔術の構成や種類などを研究しなさい、とのこと。

なんでも、『めんどくさいから、自分たちで魔術について調べなさい』と、何とも言えない理由だ。


が、実は国から呼ばれて仕事をしているらしい。

聞いた話だと、町で魔物が現れては人を襲う事件が頻発している。

捕まえようと兵たちが動いているけど、なかなか捕まらず、魔術学園であるエルディス学園に魔物退治の手伝いを求めてきたのだ。


その手伝いの為に、先生や上級生は忙しく走りまわっている。

アデルシア先生は、生徒だけで調べさせてその間の時間を開けているのだ。

今夜も先生と上級生が見回りと魔物のあぶり出しに行くらしい。



フレイアは美人さんなんだから、もっと笑っていればいいのに。

それを言ったところ、なぜか怒ってしまったのでさすがに言わない。

それを聞いていたオルハは、まったくだと頷いていた。

でも、やっぱり笑顔の方が自分も見ている方もいいと思うんだけどな。

そう思いつつも、怒らせたくないので言わない。

「アデルシア先生にいわれなくても、オレ達はセリスを誘ったとおもうけど?」

オルハはそう言って笑う。

今、セリスはフレイアとオルハ、オルハといつもいるアルク・ランドリューと言う少年の4人で課題研究をする事となっていた。


そう言えば、オルハは言うと命が狙われるほどの有名な貴族の末息子で、魔術学園に家族に秘密で入学の手続きをとって家を飛び出し、入学したという波乱万丈な生徒。らしい。

それで、入学してしまったのはしょうがないので、オルハの家はアルクをオルハの護衛として学園に入学した。らしい。

全部らしいとつくクラスでの噂話だから、そこまで真に受けちゃいけないと思うけど、本当だったらすごいなぁ。


なんて迷惑な貴族だ。なんて言う人もいるけど、オルハは魔術も魔学も何時も首位の成績で、優秀な生徒だった。

とにかく、その4人で課題研究をする事になった。


「俺様もいるぞ」

ちょこんと出てきたのはショーマ。

何気にクラスになじんで、何時もいるのが当たり前になってきている。

男子にちょっかいかけて、毎回問題を起こしていたりもするけれど。まったく、なんでなのかは知らないけれど、これい十目立つようなことをして欲しくないのに。

「あ、うん。でも、授業中はだめって言ってるでしょ?」

「アデルシア殿はいいって言ったぜ?」

ショーマは何故かアデルシア先生に殿をつけている。

ショーマが誰かに尊敬のような事をするのはまれだけど、どうしたのだろう。

そう言えば、初めてアデルシア先生と会った時にひと悶着あってから、こんな態度にナタ気がする。

なにか、関係あるだろうか。

「それで、何を調べるんですか?」

横から話をずらしてきたのはアルクだった。

「あー、それなんだけどさ、時計台の魔術についてはどうかな?」

そう言ったのはオルハだ。

「時計台の魔術?」

わからなかったのはセリスだけだったようだ。ショーマまで『あれか』なんて言って納得している。


時計台……校舎の裏に在る、大きな時計台の事だ。

あの時計台は、定時刻になると鐘を鳴らす。エルディス学園の授業の開始終了を告げる事もしている。

そう言えば、お母さんが時計台についてなんか言ってた事があったきがする。

「セリスちゃん。あの時計台さ、結界魔術の基礎になっているみたいなんだよね。たぶんいつもならされている鐘の音が魔術の継続維持をはたしていて、結界を作っているみたいなんだ。」

「……あ、そういえば……お母さんもそんなこと言ってた気がする」

そう言えば、初めてこのエルディス学園の敷地内に入った時、少し違和感があった。

それが結界だったのだろう。

やっぱりお母さんが話していた話だ。

忘れていた記憶が再生されていく。

「音の魔術って事だよね?」

「そうそう。その通り音の魔術で、イルローガ式の魔術でもないらしいんだよね。他国とかの魔術でもないんだろ?」

「ふん。あの時計台に気づかなかったのですか」

少し喧嘩腰にフレイアは言う。

「フレイアはなんでそう、セリスにとっつくんだよ」

「きっと、属性の反発のせいでしょうね」

属性の反発。

魔術には、それぞれ属性がある。

基礎的な物を言えば、火、水、土、風、光、闇、音の七つで、その発生として、樹、雷、氷などがある。

一例として、火の属性について言うと、火は水に弱く、また土に弱い、風は火の助けとなる。そして、これが一番重要なのだが、火は氷に強い。

なぜなら、特に火の属性の魔術をフレイアは得意とし、セリスは氷の属性を得意とするからだ。

先ほども言ったが、火は氷に強いが、氷が解ければ水と為る。火は水に弱い。

つまり、フレイアとセリスは火と氷で、相反し、反発する属性を持っているのだ。

「反発する属性を持っているからって……」

「……」

その言葉に、フレイアは顔をそむけた。

どうしてか悔しそうな顔で。

その、何とも言えない空気を壊してくれたのはアルクだった。

「で、時計台について調べる事にしましたが、まず何をしますか?」

「そ、そうだな……」

「セリスちゃん、時計台見たこと無いんだろ? だったら、実物見に行こうぜ」

考えるオルハをしり目に、ショーマが言う。

「あ、それいいかも。それでいいよな、セリス、フレイア」

オルハの言葉に、二人は頷いた。



古い石造りの建物で、上に大きな時計がある。

結界の要でもある、大きな時計台。

ここが何時も授業の鐘を鳴らしていたのかと、見上げながらほうっと息を突いた。

「へー、これがその時計台か……」

歩いて行って、扉の前までいく。

「入れるの?」

「中に入るくらいなら大丈夫だよ」

オルハはそう言って躊躇なく扉を明け放つ。

真っ暗な室内が見えた。少しほこりっぽい。

「へー……」

中に入ってみると、ひんやりとした空気が肌をかすめた。

奥には扉があって、何かがあるみたいだ。

「そこから先はいけないわよ」

フレイアが言う。

「?」

「当たり前でしょ? この時計台は魔術の基礎となっていて、とても重要なのよ?」

「まぁ、そうだよね……」

少し残念だったが、中は見るところは殆どなかったので、すぐに外に出た。

「時計台はこんな感じかな?」

「ありがとう。ほんと、古いんだね」

「この学園が創られた当初からあるんだよ。この学園の歴史を見て来た物だからね」

オルハはそう言って時計塔を見上げた。





音の属性魔術。

それを操る魔術師はたくさんいる。むしろ、ほぼすべての魔術師がそうだと言ってもいいかもしれない。

なぜなら、魔術師が普段使う演唱時の呪文や祝詞は一種の言霊、つまり音の魔術とも言えるからだ。

純粋に音の魔術と言うと、言霊使いなどがそれに当たるだろう。

言霊使いとは、自らの言葉によって周囲の状態や人の心までを無理やり変える事の出来る術師である。人の心を操るともいえるその術は、その否人道的としてうとまれる事が多く、さらに素質を持つ者も少ないため、その存在は希少だ。

運よく素質を持った者がいたとしても、殆どの者が自らの力に狂わされて、命を絶つ者が多いとも聞く。

他の音の魔術と言うと、楽器などを媒体とした魔術だ。

楽器や歌などを持って世界に干渉する。その者を、譜術師と言う。

エルディス学園の時計台は、どこかの腕のいい譜術師によって作られた、半永久的結界発生魔具であった。

定時間になると鳴響く鐘の音によって、結界の強化が行われ続けられる。

なんでも、学園が作られた当時からあり、その時分から結界が張られていたらしい。

何度か壊れた事もあったが、そのたびに当時の最高魔術師によって修復されてきたらしい。

十年ほど前も一度壊れたが、現在イルローガ王国最高の魔術師と言われているチェリク・カトレイアによって修復された。



「まとめてみたけど、こんな感じかな?」

セリスは覚えている事の全てを言い終えた。

セリス達は図書室に来ていた。研究課題について調べようと来たのだが、取りあえず机を占領して知っている事を言い合っていたのだ。

ショーマはどこかに行ってしまった。

「ここまで知っているって、君どこでそんな事教わったの?」

「え? お母さんから教えてもらっただけだけど……?」

何故か驚いているオルハの言葉に、首をかしげながら答える。

なんかおかしい?

そう言うと、オルハとフレイアが顔を見合せる。

「いや、おかしくはないけど、セリスの家って有名な魔術師の名門だったりする?」

「……一応アデルシア先生の従姉妹なんだけど」

「そういうことか、なるほど……」

オルハ君が納得してしまうほど、アデルシア先生はすごいのだろうか?

そういえば、アデルシア先生の名字を知らなかった気がする。

名門の魔術師の家系なのだろう。

「それで、どういう事なの? みんな、教わったりしないの?」

「いや、普通の家庭じゃ、そんな事教えたりしないよ?」

そうなのか。

私の家庭は結構変なようだ。

「それなのに魔術はからっきしって、どうなの?」

脇からフレイアが耳に痛い事を言う。

ほんとうに、なにも言えない。どうすればいいのだろうか。

「そ、それは……」

「痛いところ突いたね」

「オルハ君!」

結構気にしてるのに……。

初めての魔術実技の授業から、一度も魔術を成功させる事が出来ていないのだ。

自分は、魔術師に向いてないのだろうか?

「で、やらないのですか?」

「す、すまない、アルク」

各々、調べる事の書いてある本を探し始める事になった。




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