第二章 この想いを、届ける方法
あれから8日が経ち、毎日の放課後に、彼女に想いを伝えている。
結果は変わらず、惨敗。今日こそはと意気込み、9度目の告白の為に彼女を呼び出す。
「来て、くれたんですね」
「……もう、いい加減にして」
「理由を、聞いても良いですか」
「理由?ふざけているの、貴方は…!」
彼女から静かな怒りを感じる。睨みつけながら侮蔑の視線を送られ、僕の心はかつての自身の華やかな人生のように輝く盾に自分の目が映り、その後の自分の結末を理解してしまったメデューサに近い。
「ふざけていません、僕はいつだって真剣です!貴方を想う心は、誰にも負けないつもりです!」
「……っ!も、もう良いわ、貴方なんて地獄の炎にでも焼かれて死ねば良いわ」
怨念を捨て台詞のように吐き捨てると、彼女は霧のように消えて行ってしまった。
「………どうして、僕の気持ちを受け入れてくれないんだ」
こんなにも気持ちを滾らせ、馳せていると言うのに。
だが、それも仕方がない。彼女はイジメにより、心身共に疲弊している。
暴行や物を隠され、机には『死ね』『きもい』『クズ』『消えろ』等の落書き、教科書とノートは破り捨てられ、トイレをしている時には上から虫を落とされ、考えられる限りの悪逆非道な行為は大抵されていた。
先生達もイジメは把握しているが、黙認している。何なら加担している先生もいる。
両親にも食事は出されず、風呂に入ろうとすれば包丁を投げつけられ、ベッドも布団も無く、挙句の果てに家を追い出され、今は遠い親戚の家で暮らしていると言う。
辛い日々だ、僕にはとても耐えられない。その上で、学校に来ると言うのは何か事情があるのだろう。
確かに、将来を安定させる為には学校に通い、卒業する選択肢は選ばざるを得ない。
例え、青春が無くとも、投げ捨てることになろうとも、明るい未来を信じることが、今の彼女にとっての救いなのだろう。
目に映る全ての人達が、敵に見えていてもおかしくはない。だから僕の告白も、あのような断り方をするのだろうが。
それでも僕は、彼女に想いを伝えることを諦めない。諦めたくない。
彼女を救いたい、彼女を救い、一緒に幸せな日々を歩みたい。
それが今の僕の幸せであり、彼女を救うかもしれない一つの手立てなのだ。




