表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役ヤンデレ王子の婚約者……あれ?私、死ぬのでは?  作者: 木村 巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/12

それからの私

 ただ名前を呼びあったあの日から、またすぐに会えるのかと思っていたヴィル様には会えていない。


 本当はあの日も、忙しいのに無理して来ていたみたい。

 なので今は、手紙や花などが届けられている……それだけでもとっても嬉しい。


 身体も少しずつ動く様になってきた。子供の身体だからなのか、回復がめっちゃ早い!!



 そして完成した一階のお部屋に、とうとう移動する事になった。そこは広くて日当たりのいい、とても素敵なお部屋に仕上がっていた。日中はすぐに中庭に出られるのも、とっても素敵なポイントだ。

 この前、ヴィル様とお茶した中庭なんだけれど私の専用庭となった。すぐに出られるお庭と言っても、安全の為にバルコニーが広く作られていて通り抜けがしにくい仕様になっているので、庭までの距離はそこそこある。因みに夜は、中庭とバルコニー両方に警備も立っている。なんか、前世の感覚で言うと申し訳ない感じがすごいが、ここでは当たり前と言われてしまうので受け入れている。


 それよりも元気になった私は、改めて自分自身を見る事になった。いや……めっちゃくちゃ美幼女じゃん! 可愛いと思ってたけれど、少し健康になってきたヴァイオレットの可愛らしさよ!


 ラベンダー色の髪もローズクォーツの瞳も、物凄く綺麗で驚いた。元気になった事で艶々感アップした自分……本当に綺麗! 何この色!


 あ、我が家にまつわる精霊の祝福の色なんだって。そこそこの家(精霊?)によって祝福の色は違うらしい。


 いや、そうじゃなくて、髪の毛もどんな手入れをしたらこうなるのかわからないくらい、サラサラのふわふわ。瞳も本当に宝石なのかと思うくらいキラキラしてる。そりゃヴィル様、私の事好きになっちゃうよねぇ。

 え〜でも本当、この顔とこの色でモブなのが不思議なくらい綺麗だ。


 そっと顔に手を当てて見る、ヴァイオレットととして生きてきた記憶もちゃんとあるから、自分だと認識出来る。けれど、前世の私が今の私を可愛いくて綺麗だと評価して……なんだか物凄くナルシストみたいになっていて自分の心が煩い。変な感じだ。


 

 そんな事よりも、このゲームのヒロインってどんな姿だったっけ?


 全然覚えてないけれど、この配色だと私がヒロインって言ってもおかしくないくらいに見える。ヒロインっぽい。


 まぁゲーム開始時には私、死んでましたけども。……思い出で語られる故人でしたから。



 本当に死亡回避しないといけないな。


 そもそも、私予想の衰弱死は回避出来そうだけど……本当に衰弱死だろうか。


 他には何か考えられるのかな……?


 そもそも対精霊貴族な我が家は、政治的なゴタゴタに巻き込まれる可能性はほとんど無いだろうし……。


 第一王子の婚約者と言っても、力の無い側妃様の子供であるヴィルフリード様の婚約者を羨む事は他家としては無いだろうから……その線の暗殺も可能性は薄そうだ。


 そもそも祝福の娘って事だけで、この国だけでなく国籍問わず大切にしないといけない存在らしいから、命を狙ったりなんて出来ない。

 あ、世界を滅ぼしたいとかならあり得るかもだけど、そういった世界感じゃない。そもそも乙女ゲームだし。


 う~ん、祝福の娘ねぇ……。


 良く小説とかに出てくる、精霊の愛し子っていうのと同じなのだとしたら(実際に他国ではそう呼ばれてる国もある)……結構な重要ポジションだよね? 私が変に死んでしまったら、国が荒れちゃうんじゃないの?

 それとも精霊王の嫁になるの? そしたら、世間一般的には亡くなった事にして精霊界に嫁ぐの……かな?


 え? それが正解かな!?


 だって、記憶の中でヴァイオレットはヴィル様に好意はあっても、お茶会で会う仲良しのお茶会友達という程度の認識だった。

 それに、家族から愛されていないかもと心配していたから、精霊界に行っちゃう可能性めっちゃありそう!!



 でも……私は、ヴィル様が好きだから大丈夫……よね?


 まぁ、衰弱死だった可能性もあるし、精霊王様の所には行かないという方向でとにかく気をつけよう。


 一、衰弱死しない様に健康に気をつける。

 二、精霊王様の世界に行かない様にする。

 三、萌の供給過多による出血死しない様に貧血対策する。

 四、これは念のため……王家のゴタゴタに巻き込まれない様にする。


 このくらいかな?


 死なずに、元気に、楽しくヴィル様と生きるのだ!



 一人お部屋でエイエイオーと拳を突き上げていると、ひょっこりとローズが扉から顔を出しているのに気がついた。


 お姉ちゃんは恥ずかしいよ。


 そんな私をものともせずに「お姉様」と、トタトタ走りよる美幼女その二。可愛い妹ローズが、最近こうやって遊びに来てくれる様になった。色合いこそかなり違うが、二人はそこそこ似ている。

 客観的に見える今なら、姉妹じゃないという方が難しいくらいだ。


「お姉様、お元気になった? ローズと遊べる?」


 ふぁぁ~ローズ可愛い! 後ろでローズの侍女さん達が、懸命に止めに入っている。私の具合が悪いのでいつも遊べないのだ。それに、以前は「実の姉妹ではないかも」と、私が避けていたから。


「もう少ししたら、先生が遊んでもいいって。そしたら、一緒に遊ぼうね」

「うん。じゃお姉様に、おみまいあげるね」


 と、手渡してくれたのは庭からむしり取ったであろうお花と草だ。お見舞い! なんて可愛いの!


「ローズありがとう。とっても嬉しいわ。元気が出た気がする」

「本当? お姉様元気出た? もうなおる?」

「ええ、ローズのおみまいのおかげね」


 えへへへと笑ってローズは部屋を出ていく。




 可愛いローズを不幸にしないためにも、頑張らなきゃ!








 そんな風にローズと日々を過ごし、日常生活をとりもどしていた。そして、今日は久しぶりのヴィル様とのお茶会だ。


 数日ぶりに見ても目が眩むヴィル様の美しさよ。


 本当好き。



「ヴィー会いたかった……」


 はい。私もです。


 めちゃくちゃ久しぶり感出してますが、あれは先々週です。なんなら十日前です。

 婚約者とのお茶会は月一、二回が基本で、家が隣とか元から仲良しなら週一回くらいの間隔らしいけれど……ヴィル様は婚約者になってからは頑張って週一回くらいの間隔で来たい様子です。


 それすらヤンデレ予備軍のヴィル様には少ない間隔らしく、毎日でも会いたいらしい。嬉しい。私も毎日会いたい。

 でも、王子教育もさせて貰えないって書かれていたはずだけど、何してるんだろう?


「色々やらなきゃいけない事があって……それも、もう少しで一段落するから。そうしたら、もっと会いにこれるからね」

「はい。嬉しいです」

「ヴィー?」

「あっ嬉しいわ! でも無理しないでね」

 ヴィル様は私が敬語を使うと嫌がるのだ。距離を感じるんだって。たまに会ってたお茶会の時も敬語だったけれど、今は婚約者だからいいよねって。キャ〜嬉しい。


「うん。大丈夫だよ」と微笑むヴィル様……はぁ~美しい。



「あ! そういえば、この前ヴィルに頂いた回復薬とっても良く効きまし……効いたの! あれからものすごく調子が良くなってね、今は一日起きていられる様になってきたわ」

「そうか、良かった。また作って贈るからね」

「え? あれ、ヴィル様が作った物なの?」


 そう問いかけると、ちょっと驚いた顔を少し赤らめて頷く。


「ヴィル様すごいわ! 私のためにありがとう!!」


 興奮して、テーブルから乗りだしてヴィル様の両手を握りしめる。私のために、こんなにしてくれるヴィル様に感謝しかない。

 顔を見上げると、ヴィル様は耳や顔を真っ赤に染めあげて、プルプルしながらコクコク頷いていた。


 もう、その色んな表情! 本当に堪らない!!


 叫び出したい程好きだ!








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ