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愛の重い男たち  作者: 岬葵
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side森元



「森の中に田んぼを作ったはじまりの人」そんな呟きが隣の席から聞こえた。隣に座るのはたしか入試テストで一番の成績だと噂の女の子だ。振り向くとあまりの綺麗さに一瞬時が止まったような気がした。透き通るような白い肌にサラサラで長いストーレートの黒髪、眉目秀麗を具現化したような整った容姿、それでいて何処か儚げな女の子は目が合うと優しい顔で少しだけ微笑んだ。一瞬で恋に落ちた。彼女の呟きがきっかけですぐにクラスに馴染め彼女との距離は近くなった。彼女は容姿だけではなく清廉潔白な人だった。気取らない性格だからかすぐにクラスの人気者になった。僕達は波瑠ちゃんと名前を呼べるくらい親しくなった。ただ波瑠ちゃんはあまり自分の事は話さなかった。だから彼女がたまに見せる悲しげな顔が妙に気になった。何故か理由を聞いてはいけない気がして尋ねたことは一度もない。

1年の終わりに書いた作文がコンクールの受賞で彼女に興味を持つ人が増え他校の生徒までが彼女見たさに学校に押しかけた。強引に彼女に迫る人間もいてそんな状況を心配した仲間と下校時は交代で送る事にした。彼女の周りには彼女を苦しめるものが集まってしまう様だった。そんな彼女はみるみる憔悴していった。

(波瑠ちゃんを守りたい!)そんな思いが芽生えた頃僕の心を揺さぶる出来事が起こった。

いつもの様に校門を通過したところで声をかけられた。

「波瑠!!」

見るからに聡明で容姿が整った長身の大人の男性が立っていた。彼女は男性に気づいた途端涙を流して立ち尽くしてしまった。突然の事で僕は何もできず呆然としてしまった。男性はそんな波瑠ちゃんの側により一度強く抱きしめてから優しく背中を撫でていた。

(あの人は波瑠ちゃんの悲しげな顔の理由を知っている)

僕は直感で感じ取り激しく嫉妬した。醜い嫉妬心がバレないよう必死に抑えるのが辛かった。

(ああ、波瑠ちゃんを守りたい。彼女の横にいるのは僕だ)その時僕の進むべき道が決まった。波瑠ちゃんを支える人に僕は絶対になる!


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