part7
「俺と約束して。」
凛人は今にも泣きそうな顔をして、鈴音の目に訴えた。
「何を?」
「絶対に死にたいなんて思わないで。」
「わかった。」
それだけを言うと、凛人は重い口を開けた。
「実は今、鈴音にいじめを受けたって言う告発をしたdreamsのメンバーがいて、それが尋常じゃ無いほどに批判が殺到してる。」
それだけを言うと、凛人はそっと鈴音から目を逸らした。
それを聞いた瞬間、頭が真っ白になったように感じた。
ズキズキと頭が痛む。視界が一瞬で濁った。
「鈴音ちゃん、俺は鈴音ちゃんがそんな事するなんて思って無い。泣かないで。」
その一言で、自分の目から涙が溢れていることに気づいた。
止まらない程の涙が自分の頬を伝うのがわかった。
「優陽、優陽。」
無意識に彼の名前を呼ぶ。ただ今は彼だけに会いたい。
大丈夫、その一言でどれだけ強くいられるだろう。
でも彼はここにはいない。
「ごめんね、さっき連絡したんだけど、仕事が抜け出さないらしくて。」
目の前に居る凛人が暗い表情をしている。
こんな顔にさせたのは自分だ。そう思うと、余計涙は溢れるばかりだった。
さっきまで知らないふりをしていた、何十回ものスマホの通知も、もしかしたらアンチのメールだったのかもしれない。
「ねぇ、りんちゃん。私どうしよう、、。もう無理だ私。」
ただ不意にそんな言葉が口から出てしまった。
凛人は何も言わずに、ただ昔のように鈴音を抱きしめた。
じんわりとしたその腕の中で、鈴音は気付けば眠ってしまった。
「俺ならすぐ駆けつけてやるのに。」
凛人が一人で呟いたその一言が鈴音に届く事は無かった。