君が隣に居るのなら
「えへへっ、会うの久しぶりだねっ。またかっこよくなった。」
僕の隣で笑う彼女は、少し背が低く濃い茶色に染めて、深く帽子を被っていた。
「そう、?鈴音言われるとなんか、めっちゃ恥ずかしい。。。」
少し顔が熱をもっていた。久しぶりに会って気分が高揚しているからだろうか。
「そーいえばね、鈴音に報告したいことがあるんだ。来年の5月にドームでライブするんだ。だから、来てほしい。」
少し声が震える。
「ほんと?!凄いよ!優陽くん!!!私でよければ、行きたい!いや、絶対行く、、!」
鈴音は俺よりも嬉しそうにしていた。
「ちょうど一年後だね!楽しみだなぁ。ライブの時の優陽くん、すごくかっこいいもん。」
僕は鈴音の手をより強く握りしめると、鈴音がニコッと笑い返してきた。
今が春と言っても夜で少し肌寒い。
しかも、海沿いということもあって、鈴音の手は少し冷たかった。
きていた上着を鈴音に着せて、そのあと少しだけ、たわいもない話をしていたが、もうすぐ2時を回る。どちらも明日は仕事だった。
「そろそろ帰ろうか。」
「そうだね。じゃあ、明日もお互いがんばろっ!って、もう2時か笑」
「そうじゃん笑今日の6時からの音楽祭の時にまた会おう。楽屋行くから。待ってて。」
少し別れるのは寂しかったけれど。また今日の6時くらいには会える。
そう思うとこの後の仕事もなんも苦ではなかった。
「うん!じゃあ、またねっ!私これから、事務所行かなきゃだから、、」
「送れなくてごめん、気をつけて帰れよ。上着は今度でいいから。」
「ありがとう。優陽くんも気をつけてね?バイバイ。」
「ばいばい。」
少しの間鈴音の後ろ姿を見つめていたが、やがて遠くなると、俺も足を進めた。
家に帰ったら、即連絡しよう。いくらなんでもこの時間になると心配だ。
それから、10分くらいで家まで帰った。
少し長文のメッセージを彼女に送り、一眠りしようとベットに寝転んだ。
5時に起きなきゃ。マネージャーに怒られる。
そう思いアラームをかけて、部屋の照明を落とした。
アラームの音が部屋に鳴り響いた。
少し設定した音が大きかったらしい。
急いでアラームを止めて、昨日のメッセージを確認し、鈴音のメッセージを確認した。
ついさっき送られてきていたらしい。
無事に事務所まで着いて、今は車に乗ってテレビスタジオまで移動中とのこと。
鈴音に少し長文を送り返し、自分も急いで、支度をしようとしたその時、玄関のベルがなった。マネージャーだ。
きっと。
まずい、まだ何もしていない。
急いでマネージャーに挨拶をし、10分待ってほしいと懇願した。
「早くしろよ、優陽。。。お前、昨日も寝坊したよな?!」
少し寝ぼけていた頭が急に覚めた。
できる限り急いで支度をする。
「ごめん、マネージャー、もう少し待ってよ。昨日は、その、。。忙しかったから。ね?」
「口じゃなくて手を動かせ、手を、!」
やばい。
そう思い言い訳をやめて、とにかく急いだ。
なんとか間に合いそうか。。
車に乗り込み朝食を食べる。
流石に眠い。
でも寝る気力さえなかった。
「優陽、お前ドラマの台本ちゃんと覚えてるだろうなぁ?」
あっ、。
まずい。
何一つ頭に入れて無かった。
流石に主演である自分がセリフを覚えていなかったら、監督から大目玉をくらうと思い、急いで、台本を開いて、一文字一文字頭に叩き込んだ。
「やっぱりか。。」
マネージャーが何やらため息をついているが、聞こえないふりをして、黙々と作業を続ける。
もうすぐテレビスタジオに着いてしまう。
時間との戦いだ。
なんとか間に合った。。マネージャーは少し呆れて僕をみて言った。
「大丈夫か?全部覚えられたんだろうな?」
その睨みつけるような視線が僕に向けられて反動でビクッとしてしまう。
「一応、全部覚えたよ。危なかったぁ。」
「はぁ、次からはちゃんとしろよー。」
なんだかんだ言ってもマネージャーは優しかった。
阿呆だけど。
そう思いつつ、車を降りて、スタジオまで早歩きで向かう。
後ろからマネージャーが小走りで追いかけて来る。
「早くーマネージャー。」
「分かってる。」
分かってるくせにとても遅い笑その姿がなんだか面白くてふっと笑ってしまった。
「笑ってないで、楽屋入ってこい。優陽」
「はいはい、マネージャー」
少しだるそうに答えつつ、楽屋に入る。
これから仕事かぁー。
だるいなぁ。
そう思いつつ、これから会える鈴音の顔を思い浮かべて、もう一度台本を開いた。