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1.おっさん転生する

「亮ちゃん、今日も珍しい酒仕入れといたよ」

「よっ!さすが店長(やっちん)!わかってるね~」


数十年通っている馴染みの居酒屋で、毎週恒例の仲間内の飲み会が開かれる。

メンバーは小学校からの同級生で、ここの居酒屋の店主も同じだ。

昔は月に一度ぐらいのペースで集まっていた。

しかし俺が、『コレだ!』という自分イチオシの最高の酒を求めていることを知った皆が、良い酒を探して教えてくれたり一緒に飲み比べを楽しんでくれるうちに―――気付けば週一で開催していた。

毎回全員参加というわけにはいかないが、それでも半分ぐらいの人数は揃う。本当にありがたい。



「気をつけて帰れよ~」

「おぅ、そっちもな」


深夜0時を過ぎた頃、皆と別れを告げて気分よく帰路につく。


「ふっふーん♪今日の酒も美味かったなぁ~」


ご機嫌に鼻歌を歌いながら歩いていると······

目の前がやけに明るくなる。



―――プッ――プップ――ププ――――


(なんだぁ?こんな夜中にクラクションなんか鳴らして―――ん?こっち向かっ)



俺が悪かったのか相手が悪かったのか今ではもうわからない······が、そこで俺の意識が途絶えた。





――――――





「―――様、お嬢様。起きてください、アリアお嬢様」

「······ふぇ??」

声が聞こえてとりあえず返事をする。

「早くしないと遅れてしまいます。お目覚めください―――貴女たち、準備はいい?」

「「はい!」」


突然ガバッと毛布を剥がされた。


「······さむっ」


ムクッと起き上がり、欠伸をしながら髪と腹をポリポリ―――


「んん?誰かいるのか?」


だんだん意識がはっきりし、部屋に誰かいることに気付く。

そして『先程の声は誰だろうか?』と確認するため目蓋を開けると······毛布を持ったメイドらしき人物が―――衝撃を受けたかのように固まっていた。



「あ~······え~と。もしも~し」

毛布を持っている女性の前に立ち、目の前で手を振ってみる。

他にも数人女性がいたが同じように固まっていたし、多分この人がリーダーだろう。


「―――っは!」


リーダー(仮)が最初に動き出した。


「おぉ、よかった。起きたら突然固まってて驚いたぜ」

ようやく俺の存在に気付いた彼女に話しかける······と


「お嬢様!その言葉遣いは何ですか!!どこでそのような野蛮な言葉遣いを学んだのですか!」


―――なんか知らんが怒られてしまった。





「え~と、つまり俺······じゃなくて私は、伯爵家の娘で今年18歳になると。っで、本当なら今から学園に行かなきゃならね······ならないのですね」


寝室から出されて強制的にドレスに着替えさせられた俺は、ソファーに座ると······リーダー(仮)―――もとい、メイド長のアンに説明を受け(こってり絞られたあとで)なんとなく状況を理解した。


どうやら俺の生涯は昨日で終わってしまい、なぜかこの嬢ちゃん―――アリア·グレース·モアリスに転生した(?)ようだ。

この場所も、ハイズ·ルイート国なんて初めて聞く名前の国だ。

多分、俺の知る世界のどこを探しても見つからないだろう。


とはいえ、おじさん横文字は苦手なんだよ······と嘆いている場合ではない。

これからここで生きていかなくてはならないのだ。

しかも女として!


アリアの記憶は全く引き継がれていないので、これから18年間の教育の全てを叩き込まなければならない。


学園はもちろん休んだ。

アン曰く『こんな状態では学園どころか、この部屋からも一歩も出せません!!』―――だそうだ。

······そんなに酷いだろうか??


「詳細は追々説明していきますが、まずは人前に出しても恥ずかしくないよう最低限のマナー指導を行います。それから、この件は旦那様と奥様にはご報告済みですが直接お話しされたいとのことですので、夕方、旦那様がお戻りになる頃にお呼びします。」

「わかっ······わかりました」

「宜しくお願い致します(――はぁ······今までの苦労はなんだったのでしょう)」


最後タメ息と共になにか呟いていたような気がするが······よし、まぁ無視しよう!

こうして俺の令嬢としての第二の人生が始まった。

のんびり更新していきます。

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