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苦味

作者: 雪つむじ

ざく切りに切った茹でキャベツの

芯に近いところを噛み込むと

昔感じた青虫の

苦い苦い味がする


いつだって

昔の味は芯に近くて

どっかり真ん中に居座って

苦くて青臭くて泥臭くて

吐き気のする味しかしない


この味を

毛嫌いするっていう事は

そんな過去を認めたくないからか

それとも散々味わって

もう飽き飽きしているからか

それともずっと体の奥に

巣食っている青虫たちが

今か今かと騒ぎ立て

疼き出すからなんだろうか


独特の苦みは

だいたい前歯では感じなく

奥歯でぎゅっと噛みしめた時に

鼻の奥から頭の中を

ぐるっと駆け抜け駆け回るくらいに

とれない苦みとなってしまって


どうして奥歯で噛んだんだろうって

後悔が大海原を渡り切るくらいの時間分

そのまま居座ってしまうんだ


まるで船酔いしたみたいに

僕の顔は真っ青で

青臭い味の茹でキャベツの塊は

味噌ラーメンのドンブリに

まだたくさん残っていて


あぁ

もう無理


ギブアップするのは簡単


でも

食べなきゃやってられない


それも本当


結局

食べられるところだけ食べて

苦いところは極力除けて


蝶になる未来を

捨てていくんだよ

ありがとうございました。


8月7日 誤植を訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] 細かいことを言えなくて申し訳ないのですが、読んだときに、「ああ、これは好きだ!」と思いました。 芯、美味しくない……(´・ω・`) けど、それからこういったことを思いついて、描けることはとて…
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