第一話
自分で言うのも何だが、僕は小さな頃から出来る子だった。走るのだって早かったし、体力だって人よりもあるほうだった。ケンカはあまり好きではなかったが、誰にも負けなかった。剣の腕も、体術も、村の子供の中で負けることはなかった。もちろん頭脳も明晰・・・とは言い難かったが、それなりにできた方だ。何よりも系統にこだわらず、それなりに魔法を操る才能は他に類を見ない才能だった、と我ながら思う。
そんな僕は当然のように、神の恩恵<ギフト>として「勇者」もしくは「英雄」のレア神の恩恵<ギフト>を授かるのだと思っていた・・・。この数十年、この村でこの神の恩恵<ギフト>を授かった者はいない。それ故に、村での期待値も大だった。
別に他の誰かのために頑張ってきていたわけではない。今の地位も、ポジションも、誰かのために頑張って得たものではない。僕だって男の子だ。英雄にあこがれる男の子なのだ。「勇者」「英雄」なんて神の恩恵<ギフト>に憧れない男の子はない。もちろん持って生まれた才能もあるだろうが、僕自身が、今の僕自身であるために、僕は人の目に触れない所でどれだけの努力をしてきたのか、それは筆舌に尽くしがたい。「勇者」や「英雄」がそんなに簡単になれるとは思っていない。思っている者もいないだろう。だからこそ、与えられた才能だけではなく、出来うる限りの努力をしてきた。
目の前に、それがあるのだから。それが叶うと思うから。
だが・・・世界は残酷だ。