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夢見の悪い幻想録  作者: ごまみりん
36/85

不運

[柄じゃない]






「そうか………分かった。ありがとう」


藤原妹紅からの通信を切る。


「薬物か………」


LSDの様な物だろうか?どの道厄介な事になった。


メディスン・メランコリーが救出された事は喜ばしい。だがメディスン・メランコリーの無事で風見幽香との戦闘を回避する事が難しくなった。


戦闘になれば何回死ぬか分からない。あんなクレーターを作るような相手にどう戦えと言うんだ。


しかもまた高火力の攻撃手段を持つ相手。何故苦手な相手ばかりと戦闘になるのか、悪態をつきたくなる。


それに洗脳と来た。どうしたものか。






「にとり、今大丈夫か?」


僕はにとりの工房を訪れた。


「何だい?装備に不具合でも出た?」


にとりは作業を止めこちらを向く。


「風見幽香の詳細なデータが欲しい。頼めるか?」


「ちょっと待ってて、すぐに出すから……」


にとりはモニターに向き直った。


「これだよ……」


風見幽香のデータがモニターに映される。


「風見幽香と戦闘になった時に気を付けなければならない点は、奴の馬鹿げた火力の攻撃力だよ。特に命蓮寺にクレーターを作ったマスタースパーク。霧雨魔理沙の物とは比べ物にはならない程の威力だよ。さすがは本家本元と言った所かな」


「他に注意すべき点は?」


「そうだね……奴は魔法やスペル主体で攻撃してくる。一方格闘になると力任せの一辺倒。致命的な点としては奴の鈍足さかな。小回りが利かない相手だから素早く立ち回れば勝機はあるよ」


「そうか……」


「戦闘になるのかい?」


「可能性の話だよ」


「だが…」


「だが?」


「風見幽香は洗脳されている可能性がある。錯乱している状態の敵との交戦……」


「亮はいつも貧乏くじを引くね」

「全くだよ………」


にとりは笑う。


「で、殺すのかい?」


「まだ分からない。ただ、紫さんからは僕の裁量で動けと言われた」


「殺さないでって言うのは難しいだろうね」


「全く、貧乏くじばかりだ」
















「そう………薬物ね」


「はい。藤原妹紅からの情報です。LSDの様な物ではないかと思います」


「LSDねえ………、あなたに一任してるけど生け捕りは難しそうね……」


「その時はいつも通りに………」

にとりの工房を出た後、八雲紫の部屋で僕は報告がてらコーヒーを飲んでいた。


「まあ、あなたなら慣れているでしょ?こういう仕事」


「慣れたくは無いですがね……」

「でもラッキーね。これで、霊夢と魔理沙を牽制する材料が手に入ったわ」


「それは何よりで……」


「ガムシロ取って……」


「どうぞ」


八雲紫はガムシロを少し入れる派らしい。




「で、居場所は?」


「彼女ねぇ………絶えず移動してるのよ。でもこのまま行けば、太陽の畑に行くでしょうね」


太陽の畑。彼女の活動拠点。


「太陽の畑ですか……」


「到達するのは、今夜0時よ」


「………………」


立ち上がり部屋を出ようとする。


「狂い咲いた花を散らしてあげなさい………」


「柄じゃないですね………花を散らすのは」





柄じゃないんだ。けど仕事だから………


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