会場
[まさかの再会]
目に悪い。第一印象はそれだった。目に悪い赤。
僕は紅魔館の門前にいた。[会議]に出席する八雲紫の護衛の為に八雲藍と同行している。目の前には紅魔館と呼ばれる趣味の悪い館が佇む。
「八雲紫様と八雲藍様、佐山亮様ですね?」
門前にいた女性が話しかけてきた。門番だろうか。
「どうぞお通りください。館の中に咲夜さんがいます」
「どうもありがとう」
八雲紫はそれだけ言うとそそくさと門をくぐった。
扉を開けると、いつか寺子屋で会ったメイドがいた。
「お待ちしておりました。こちらへ…」
僕たちは十六夜咲夜の後ろを着いていく。
「他の参加者は?」
「もう皆様会場にいらっしゃいます……どうぞ」
十六夜咲夜が扉を開く。そこには巨大な円卓があった。
「遅いわよ。紫」
紅白の露出の多い巫女装束を着た女が不満を顕にしていた。
「あら、ごめんなさい霊夢」
博麗霊夢。幻想郷で圧倒的な力を持つ絶対の仲裁者。何人たりとも彼女に届く物はいないと言われ、異変の解決や妖怪退治、結界の管理を生業とする博麗神社の巫女。こんなやさぐれた女だとは思わなかった。
「まぁまぁ、霊夢さん。落ち着きましょう?紫さんもわざと遅れた訳じゃないんですから…」
博麗霊夢をなだめるのは命蓮寺の聖白蓮。彼女の後ろには雲居一輪が控えている。
よく見ればこの円卓、見知った顔が多々いる。
この[会議]に参加している勢力は八雲一家、博麗神社、命蓮寺、守矢神社、妖怪の山、白玉楼、永遠亭、地底、紅魔館、人里の警備部隊、商工会。幾つかの勢力の長には顔を知っている者もいる。
「また会ったな」
声を掛けられた方を見て、露骨に嫌な顔をしてしまった。
「………そんなに私が嫌か?」
「アンタとは合わないからだよ……藤原妹紅…」
僕と同じ髪、同じ目をした女。藤原妹紅は笑顔でそこにいた。
「確かに合わないな。けど挨拶するのも嫌か?」
「違う」
「じゃあ何だ?」
「アンタ退院祝いにアメスピくれたろ?僕はマルボロが好きなんだ……」
「………覚えておくよ」
他愛も無い雑談をしていると扉を開く音がした。
「待たせてしまって、すまないわね………」
不遜な態度の少女。吸血鬼レミリア・スカーレット。[会議]を召集した本人は会場を見渡した。
「全員来てるわね……」
「では[会議]を始めるわ……」




