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脅迫
幻想郷の何処か [あの子の為だから…」
今回は誰かの目線からです。
「あの子は、無事なんでしょうね?」
「あぁ、まだ無事だ。お前がやるべき事をやってくれればこれからも無事だ」
低い女の声と投げやりな男の声。女の声にはありったけの憎悪を込めたようなドスが効いていた。
「紅魔館の襲撃………これに何の意味があるの?しかも1人も殺すななんて……」
「お前には関係ない話だ。大事なあの子がどうなっても良いなら教えてやる」
男の発言に聞こえる程の歯ぎしりをする女。殺意を剥き出しにしながら男を睨む。
「何だ?その目は?」
男は余裕を見せながら女に問う。殺意の奔流をぶつけられても、確実に殺されない絶対的自信があるかのように。
「あなた如きに……」
女の目には悔しさと男への殺意が入り混じる。
「次の指示は追って連絡する。それまでは静かにしていろ」
男の姿が消えた。
1人取り残された女は膝から崩れ落ち、静かに涙を流した。




