その問いをしたとき人は孤独である
私はいったい何者なのか
その問いはいつの時代も、どの場所でも繰り返されてきた
誰もが知っていることがある
その問いをしたとき人は孤独である
今日も誰かにとっての1日が終わる
誰かにとっての1年であり
誰かにとっての一生の終わりであり
誰かにとっても始まりでもある
時間は残酷に時を刻み続ける
秒針の音が聞こえる時
人は決まって孤独である
目の前に動くものが見えない
何もかも止まって見えているのに
時だけが進み続ける
あまりにも無慈悲にそれは繰り返される
私はいったい何者なのか
その答えはあなたが持っているのかもしれない
そう思えたとき人は開放される
孤独を時を、自分だけで背負わなくてもいい
そう許されたように錯覚をする
でもあなたがそばにいてくれる時
僕は僕であることを実感できる
あなたを失ったときの孤独は
どこまでも僕を不安にさせる
ずっとそばにいて欲しい
そう願うことはこの世界への冒涜なのかもしれない
永遠など存在しない
ならば世界を欺こう
二人でだったらそれができる
あなたは頷き、肩を寄せ合い、時を止める
いつしか罪を償う時が来るだろう
時を止めた罰は恐ろしい喪失感と空虚な自分を見つめる痛みを与えるだろう
だから今は
今だけは
あなたがそばにいてほしい
自分はいったい何者なのだろう
そう問いかける日が来るまでは
ずっと扉を閉じたまま
世界を窓の外に眺めながら
あなたのぬくもりを感じていたい
ああ、僕は
僕はあなたの
あなたは僕の
やがてリンゴは木から落ちる
ならば僕は地面を掘り続けよう
リンゴが地面に到達できないように
リンゴが落ちたときそこが世界の果てだと知るだろう
世界の果てでリンゴの時間は止まるのだろうか
リンゴは自分が木の実ではなく
リンゴであると気づくのだろうか
あなたはそのリンゴを口にする
その誘惑にあなたは抗えないだろう
落ちてしまう前に食べてしまいたい
僕にはどうすることもできない
リンゴを食べながらあなたは僕に言うのだろう
もっと早くそうしておけばよかったと
時は動き始める
世界は回り始める
リンゴは落ち
地面はそれを受け入れる
僕はいったい何者なのか
そう考える私は僕に違いないのに
僕は時を掴み損ね
掴み損ねた僕を私が見ている
私は僕を見つめる者
僕は私に見つめられる者
孤独はつながり
やがて閉じていく
僕はあなたの引力圏から離れ
宇宙の深淵へと消えていく
存在したまま見えなくなる
存在だけが残ったとき
やっとわかるのだろう
私が何者なのか
だから誰も知り得ないのだと知る
その問いは闇そのものなのかもしれない




