思考の躓き
正しく生きろと人は言う
間違ってはいけないと人は言う
ならば、正しいとはなんですか?
『間違いがないことだ』
間違いとはなんですか?
『正しくないことだ。つまり悪いことだ』
正しくないことと悪いことは同じことなのですか?
『正しくないことは悪いことに含まれる。正しくないことはやがて悪いことになる』
正しい人と正しくない人は どうちがうのですか?
『正しい人は正義であり、正しくない人は正義ではない』
正しくない人と悪い人は、どうちがうのですか?
『正しくない人は正しくあろうとして 正しくなれず、悪い人は悪であろうとして悪い人なのだ』
人は正しいのですか?
『人は器であり、器に正義も悪もない』
正義であろうとする器と悪であろうとする器があるのですか?
『人は器である。それも乾き、ひび割れ、穴の開いた器だ、そして貪欲なのだ』
正義であろうとする器と悪であろうとする器があるのですか?
『人は器である。その中には混沌も入れば秩序も入る』
正義であろうとする器と悪であろうとする器があるのですか?
『正義は混沌を嫌い悪は秩序を嫌う』
正義であろうとする器と悪であろうとする器があるのですか?
『正義は秩序を重んじ、悪は混沌に向かう』
正義であろうとする器と悪であろうとする器があるのですか?
『器は何も思わない。ただ欲するだけ』
器は何を欲するのですか?
『真実と真理、虚構と虚無』
それは正義ですか? 悪ですか?
『真実は正義にあらず、虚構は悪にあらず』
では真理は?
『真なる理とは虚なる無に等しい』
無は存在するのですか?
『無の存在は虚によってのみ確認できる』
では、真は存在するのですか?
『真を解くには理をもってするほかない』
あなたは真を知っていますか?
『真と解く理は知れど、真は知らず』
あなたは無を知っていますか?
『無を見ることはかなわずとも無を感じることはできる』
あなたは、誰ですか?
『我は思うものなり』
あなたは、誰ですか?
『我は感じるものなり』
あなたは、誰ですか?
『我は人なり』
問いを持つものは常に真実のそばにあり
問わず語らないものは虚構のそばにある
問うものがあれば答えるものがあり
問わずとも語るものあり
語らずとも問うものあり
求めなければ得られず
求めても得られないのが真実
求めに答えるは虚構
求めに答えないのは虚無
虚無は答えないことで存在し
真実は得られないことで存在する