やまない雨
2020年の夏はずっと雨によって遮られている。そう思ったときに、僕はかの人から贈られた日傘を眺めて、雨を望んだ
夏色に 暦進んで 染まり行く
狂った季節の 戯言は
やまない雨を 望んでは
雨風よける 傘忘れ
手元に残りし 日傘にも
あなたの残り香 恨めしく
何処にあらん 水底の
淀む事なき あなたの心
切に願うは あさましき
雨、雨、雨、雨、もっと降れ
かの地に続く 雨雲の
暗き想いは我が心
水面を叩く雨音は
届く事なき 焦がれし想い
傘もささずに 去って行く
あなたの姿は 夢うつつ
晴れぬ想いは 永久に
やまない雨は 夏を遮る
雨が降っている
夏を遮るように
この雨はどこまで続くのだろう
どこまで続いているのだろう
あなたの住む町も、ずっと雨なのだと知る
そしてまだまだこの先続くのだと知る
僕はどこか救われたような気がする
どうしようもない卑屈な思いがそこにはある
僕だけ夏が来ない不条理をどうしても許せないでいる
なんとあさましいことなのか
それでも、僕はこの気分を改める気になれないでいる
あなたが降らした心の雨は、どんなに暖かな思いでも凍えさせてしまう
僕には抗う術がない
降りしきる雨に体温を奪われながらもずっとあなたが来るのを待っている
やまない雨はないのだと
僕はあなたに傘を差し出す
どんなに僕がずぶ濡れになろうとも
あなたの涙をみるくらいなら僕は傘でいよう
あなたがあなたの待ち望んでいる人のいるところに無事に送り届けるために
雨がやめば傘は邪魔になる
あなたはうっかり傘を置き忘れて街の中に去って行く
去り行くあなたを恨みもせずに僕はじっと、あなたから貰った日傘を眺めている
いつになったらそれを使う日がやってくるのだろう
そして僕は気づく
僕がそれを使う事はないのだと、あなたは知っていた
知っていて日傘を贈ってくれたのだと
どうしようもない皮肉に僕はただ、ただ、哂うしかない
願わくば雨よ
ずっと日の光を遮っておくれ
やまない雨はないのだと知りつつも
そう願わずにはいられない僕がいた
晴れた日を待ち望むあなたを思えばこそ
僕はずっと雨を降らす




