fallen -dounimo_naranu-
ぽろぽろと大粒の涙を流す女狼さん。
それを見て、おろおろと取り乱すイクス。
違うのよ、イクス。そういう時は毅然と。突っぱねたその姿勢を見せ続けるの。我が弟とはいえ、罪な男に育ったものね。純真で無垢なその身に、今、ようやく一つ、罪を刻んだのね。
我がその渾身のテレパシーが伝わったのか、私の目を見て落ち着きを取り戻すイクス。
そう、それでいいの。赤ずきんの物語のように、あんたのずきん緑色だけど、腹を掻っ捌いてやるのよ。心の臓、比喩的な意味で、止めてあげるの。容赦なく。すっきりと、次へと進めるように。
酒場前。待ち構えていたカリオーネと、じゃあまずは他愛ない世間話でも、というお見合いに同席する親の気分でその店内へと入った。そしてテーブルにつきすぐさま、さすが肉食獣、といった勢いで彼女は猛烈アタックを仕掛けてきた。
そう、彼女は焦りすぎたのだ。おそらく設定上私より数年長い人生を歩んできたであろう彼女。その年月の間、今まで一切響くことなどなかった、鳴りやまぬ尋常じゃない共振音。その轟音を人生で初めて身の内に宿し、そうして脳を揺さぶられ、混乱とめどなく。
まるでピタゴラス学派がルート2を見つけてしまい、どうしたもんかと途方に暮れるように。
そのカオスの中、彼女は愚かしくも、暴走を選んでしまったのだ。
「よくわかんないし、ごめんなさい。」
そうして、その勢いに引き気味に、無慈悲に告げるチューリップ。
せやな。肉食じゃあ、草は食えんもんな。いや、食わないだけか?何にせよ、相性最悪やったんやな。
なはははははは、と事の顛末を見届けて、大笑いのクーラさん。
「カリオーネ、飲むさ。そう、酒で忘れんのさ!」
のりのりのテンションで高らかに宣言するクーラさん。そのまま二人、取り巻き連中を巻き込み、まだ真昼間というのに、管を巻こうとし始めてしまった。
これ、まずいわ。
ゲーム内とはいえ、現実に影響を及ぼさないとはいえ、麦のジュースを飲み始めようとするいけないクーラさんに前のように絡まれたくなかった私は、そそくさと酒場を後にした。
「ふー、何とか逃げ切ったわ。」
置き去りにしたみんなには悪いが、ここは心を鬼にする場面だ。そう思って後ろを振り返ると、ウドーがついてきていた。
「あんた、、、いや、そうか。さすがね。」
「うむ。なんか、身震いがしたのじゃ。」
そうして二人、ほけーっと日向ぼっこをしていると、さっき見かけた監視員の一人がやってきて、こちらに声をかけてきた。
「姉御は中ですか?」
「うん。でも、多分もうべろんべろんだし、まき込まれたくないなら入らない方がいいわよ。」
「それは、困りましたね、、、今要注意の探索者が、本日いつも通り五階層へ向かっていたのですが、何を思ったのか、そのまま階層を下り続けているようなのです。」
「それ、まずいの?」
「はい。現在六階層で、何とか様子を見れているのですが、七階層からは脅威度が跳ね上がるため、今の人員では対処が難しいかと。そしてまだまだ下りる気満々のようでして。」
ふーむ、私も最初の挑戦ではどんどん下りて行って、そして七階層でやられた。同じ轍を知らずに踏もうとするものには、先輩として慈悲の手を差し伸べないとね。プレイヤーと違って、NPCはおそらく倒れ尽きたら終わりだし。
「わかった。案内して。私とこいつなら、十階層でも全然余裕ぐらいの戦力だから。」
「助かります。」
話早く、そそくさとダンジョンへ向かう。駆けながら話を聞いてみると、あの巨人を打倒した私の一撃を監視中に目撃しており、申告した実力を全く疑っていないようだ。
五階層入口。ウドーの到達最下層。迷宮の転移機能で許されたそこまでやってきて、道中の敵を可能な限り無視しながら突き進む。
六階層。監視の連絡網で件の特攻野郎のところまで無事たどり着く。すでに七階層へと至る入口の直前だった。
予測通り降りていくそいつの後を十分な距離を保ちながら追いかけた。
遠目で確認すると、マギタイプのよう。たった一人。弓に風魔法効果を乗せ、マナ消費を抑えながら探索を進めているようだ。てか、NPCでおまけに後衛なのにソロとか。マジかよ。
そら無鉄砲野郎として、それなりの腕前でも監視を続けられるはずだわ。
少し近づいて、その無謀探索者の姿を眺めてみる。赤茶けた髪色。それに合わせるように赤色の胸当てを装着している。どうやら野郎ではなく、女性のようだ。さすがに七階層を甘く見すぎていたのかすでにかなり消耗しているようで、先ほど襲撃されたモンスターをなんとか無事倒しきった所で、肩で息をつきながら小休止している。
このまま帰還へ向かってくれればいいんだけど。
そんな思いむなしく、何をそう生き急いでいるのか、彼女はさらに奥へと歩みを進めた。
「うーん、どうしたもんかしら。ウドー。」
「そうじゃなあ、あのような子供が、あたら命を散らすのはなぁ。」
少し離れた茂みの中、ウドーと二人、たたずむ。視界には巨大クマを前に、疲労困憊の例の探索者。
「そうよね。」
そのウドーの言葉をきっかけに、私はクイックンをかけ、エンハンス・ストレンクスで筋力強化しつつ、巨大クマに向けて駆け出した。
「弾、性、しょーとぉぉぉつ!」
現状蓄積可能な最大量の運動エネルギーを、ロスなくクマの横っ腹へと、ドロップキックで伝える。
ゴロゴロ転がっていくクマ。
「ほら、あんた、弓でとどめさしなさい。」
その私の一言でハッと我に返った彼女は、いそいそと矢をつがえて引き絞り、放った。
ぶちかましが良く効いたのか、その後警戒もなく緊張感を無くし、どっと疲れが体を巡ったようにその場にその探索者はへたり込んだ。
「はは、たす、かった、、、」
「何よ、あんた、死にたくないなら、こんな無理するんじゃないわよ。ウドー。」
ウドーに簡易の治癒魔法をかけてもらう。現れたトレントに驚く元気もすでに無いようで、素直に彼の治療を受けている。
「ま、何にせよ落ち着ける場所に戻ってからね。」
先ほどの騒音に引き寄せられたのか、周囲には新たにモンスターが数匹。
「ウドー、片付けるわ。彼女と一緒に、防壁に入ってて。」
「わかったのじゃ。」
危なげなく片付けて、ゲーム始めたての頃との実力の差を改めて実感しつつも、階層入り口まで彼女を運び、そこから転移装置で地上へと戻った。酒場、まだ騒いでるかしら。
この特攻探索者をカリオーネのところへ連れていくため、やや緊張しながら酒場へと入る。すでにある程度落ち着きが戻っていた。
「お、ミラっち、お花摘み?遅かったね。」
「ええ、七階層の森まで絶滅寸前の野草を摘みに行ったもので。」
「なはは、うまいねぇ。」
ん?なはは?
「ふむ、お前まら一人で無理しらのか。この間あれらけ注意しらのにな。ま、座んな。」
すぐに死にそう、という意味の要注意人物としてカリオーネも既に面識があったらしく、おそらく二度目の説教が始まった。酒残ってるなぁ。ろれつ、ろれる、になってるわ。
しゅんと椅子に座る彼女。目の前に狼さん。周りにはテーブルに突っ伏す取り巻き連中。んー、狩りか?この人、最後の獲物?
「ミラっち、情報。ここ最近、ダンジョンが少しおかしいんだってさ。」
そんなシュールな情景画?の鑑賞に、きっとテーマは弱肉強食ね、なんて浸っていると、クーラさんが声をかけてきた。やはり、おかしい。
「差異、ですか。」
「たぶん。さっき私の所に戻って、で、そっちの方のカリオーネに聞いたり、他、いろいろ漁ったけど、似たような情報は得られなかった。」
怪訝な様子で真剣に見つめる私に向けて、そしてその私の様子を差異への警戒がもたらしたもの、とおそらく誤解してしまっているクーラさんが、同じく真剣に、調べたであろうことを少しゆっくり目に告げてきた。
「そうですか。」
そう、ですか。謎、解けました。
見た目酒強そうなカリオーネとその周りの衆。そしてこの、おそらく酒癖悪き、クーラさん。なぜにその彼女が、素面なのか。その解。
つまり、ここから*いったん出たときにリセットされたんだろう。
(注: 一度招待されたら、しばらくはその世界へのアクセス許可が続くのさ。降り立つ先は、ホストプレイヤーの傍か設置されたポイントの中から選べる。なんらかの作業を複数プレイヤーで分担する上で必要な機能なのさね。 涼子談)
「ん?ミラっち、今なんか失礼なこと考えてない?」
やべ、テレパシー、いらんとこで発揮してしもうた。言葉とともに、じっとこちらを鋭い眼で見つめてきている。
「ミラージュ、大変だったみたいだね。」
ついさっき、一緒に戻ったウドーから事情を聞いたのか、間に入るようにイクスが助け舟をよこしてきた。
「まあ、あんたらの方が大変だっ、、、いや、いや、ちがくて、その。」
こちらへ向けて周囲に張り巡らされた鋭い矛を意気揚々と飛び越えてその船に乗り込もうとして、勢い余ってずっこけて自分からその矛にぶっささりに行ってしまった。
獣の眼光に串刺しにされ、わたしもこのネコさんの獲物として供えられる。テーマ弱肉強食、もうひと作品追加でーす。
「まったく、よく考えればわかるじゃん。あの時は正直どーかしてたけど、あんただって、最初はビビッて気絶したんしょ?それに比べりゃー、まだましな方と思うのさ。それにいかに感覚再現とはいえ、アルコール要素までとか無理無理。内臓系じゃん?仮にできたとしても、んなことになったらビール業界大打撃じゃん。パッケ一本買ってゲーム内とはいえ永遠に酔いも含めてタダで味わえんだから。誰も本物買わんくなるっしょ?まあ、仮にそれが実現して?そんで業界で提携してゲーム内でもリアルマネーで買うようになったとしてもだ、それ、雰囲気ぶち壊しじゃん。他は知らんが、このゲームはせっかくのソロRPGなんだから。飲み物買う度、食い物買う度、ゆきっつぁんやらのぐっつぁんの顔拝むってか?果ては飲食チェーンのゲーム内支店とか?リアルのあれこれ忘れて浸れるこの丁寧に作られたNPC達の世界で?ほんと、開発がそんなことやろうなんて、思うわけないってーのよ!」
「そのとーりでございます。」
ぐうの音もでない。
「まったく。すごい真剣に見つめてくるんだから。すっかりその見た目に騙されたわ。」
床に正座で土下座の私。見つめるゆかいな仲間たち。ある程度わかっていたとはいえ、仲間内のヒエラルキーのトップが誰かを、彼らも理解したようだ。
「ま、ミラっちは物理選択だし?体の構造あんまし詳しくないだろーし?ルイナで一応調べておいた結果を伝え忘れた私のミスもあるし?でも、結構傷ついたんだからね。そのミスと今怒ったのと、さっきのミラっちで、チャラでいい?」
お優しき猫神様の、慈悲深き沙汰がおりた。
もう一枚の作品の方も、一段落したようだ。互いに顔を合わせる私と彼女。
まだお互い自己紹介も済ませていないけれど、通じるものが確かにあった。
その後私は道場の稽古に向かうため、後のことをクーラさんに任せていったん離れ、道場帰宅風呂夕飯からの歯磨きを華麗にチェーンコンボでつなぎ、再びログインした。
コールをつなぐ。
「お、ミラっち、戻ったね。」
「はい、どうですか?」
「今八階層まで連れてきたよ。サニタ、あの、例の子も一緒。」
「わかりました。すぐ向かいます。」
「おっけー。階層入り口付近に移動しとくよ。合流したら私もいったん出るわ。」
そそくさと移動。入口入ってすぐの転移装置を利用して、八階層へと向かう。
しばらく待っているとみんながやってきた。
「ミラージュ殿、此度の戦い、それがしに一任していただきたい。」
スケさんが珍しく手合わせ以外の自己主張をしてきた。
「なんで?」
「詳しい話はサニタ、この子の名前ね、から聞いてさ。そのイベント自体は差異じゃないから。じゃ、私は一旦出るよ。またすぐコールする。」
「わかりました。」
クーラさんが粒子となって消える。
「で、サニタ、ね。事情、話してくれる?」
父親の暴走。
昼間見せていた風魔法からもわかる通り、まだそれなりに若いとはいえそこそこの技量の彼女。その父親もかなりのものだったらしいが、老いとともに段々と衰え始めたその能力を維持、そしてより強化するため、アンデッドになる道を選んだのだとか。
スケさんがこだわったのはここ。
残念ながらその父親は他の多くのアンデッドと同様、自身の変調に耐える器を持ち合わせず、壊れてしまったらしいのだ。そうして各所でその持ち前の技量でもって破壊活動をつづけ、当然のごとく討伐されそうになり、ここへと逃げ込んだのだとか。
身内の不始末、自分でつけようと躍起になっての無謀特攻。そうして先ほど七階層で死にかけた、ということらしい。
「自身の実力不足は痛感いたしました。せめてその末路をこの目で確認するだけでも、お許しいただければ。」
「いいの?壊れたとはいえ、父親でしょ?」
サニタへ問いかける。たとえ対立しても。より悪く、今回のケースのように明らかに道を踏み外したとしても、父親ってのは父親だ。上手く言えないけど、そういうもんだ、と思う。
ウリエージュの、参列した父親と向かい合い涙を流す姿が脳裏をよぎった。
「思いなく、信念なく、目的無く破壊を続けるそれは、もはやただの害です。犯した罪すら理解せず、意地汚くも身の危険を感じ逃げ出す。そんな愚かでこざかしい、ただそれだけの害悪です。真っ当な生物ですら、いや、モンスターにすら、劣ります。」
彼女の告げた言葉を、一語一語、かみしめる。
「そう、かもね。」
「奴を壁に張り付けにして、一本一本矢をぶち込み続けたいところではあります。それがわが身ではできないことも、そしてただの足手まといなことも、はっきりと理解しております。けれど、そんな足手まといの私を連れて行っていただけるだけでも、それだけでも、お願いしたいのです。」
「、、、うん、いいよ。行こうか。」
サニタの思いはよくわかった。でももし、取り戻せるなら。できるんだったら、そうしよう。スケさんに目で伝える。
「望み薄でしょうが、まあ。」
ちゃんと返事をしてくれた。
道中、スケさんは後衛の護衛に、私がセリナのフォローに回った。彼女は危なっかしい場面はちょこちょこあるが、まだまだ問題なくやれている。サニタの弓の援護もそれなりだ。
九階層探索中に、クーラさんが戻ってきた。十階層入り口で合流。これでますます安全が確保され、ペースを上げて進む。
十二階層。かなりの強行軍のせいで、戦闘系のメンツ以外が疲労を募らせていた。
「今日は、ここまでにしましょうか。」
明日に響いても困ると思い、切り上げを提案した。
「そうだねぇ。イクスっち、大丈夫?」
「ちょっときついかも。」
明らかな疲労をその身に宿して、正直に告げてきた。
「セバス、あなたも。きついならそう申し出なさい。」
「はい、お嬢様。恐縮ではありますが、私もイクス殿と同じく。」
「わしが土に乗せて運んでやってもよいぞ。防御用のマナを抱えとっても、出番はなさそうじゃしな。」
そうして相談する間、皆の様子を見回してみると、スケさんがいつもの十倍増しの真剣な表情で一方向を見つめていた。
「見つけたのね。」
「はい。強烈ににおいますな。ミラージュ殿、残念ながら無理なようです。あの樹林のときとは違い、ただただ臭い、下種な匂いです。」
そっか。
「ウドー、お願い。スケさん、任せたわよ。やっておしまいなさい!」
たたずむアンデッドの後姿。私たちに気づいて、ゆらりとこちらへ振り返り、見つめてきた。
そしてすぐに、下卑た笑いがその口元に広がる。ああ、判断を下したのか。ただそれだけで判断するのって、こういうことか。
これはスケさんの言うとおり、駄目なんだろう。
奴はスケさんを唯一の障害と見たのか、一人進む彼に全注意を向けている。現れた、娘のはずのサニタを、一切気にかけようともしない。
「弱いくせに逃げ足だけは達者らしいな。今すぐその見苦しい生を止めてやるから、そこから動くでないぞ。」
スケさんの挑発。まだだいぶ距離があるというのに、歩みを止め、剣を相手に向け告げた。効果は抜群だった。
「あぉぉぉ、よわいぃ、よわいだどぉぉ、、、ごのわだじにむげ、よわいどぉぉぉお!ふざげおっでぇ、、、いまずぐげじずみにぃじでぐれるわぁああ!」
怒りで占拠された奴の意識。そうでなくとも、まともな思考などすでに持ち合わせていなかったのであろう。
私たちのことなど最早ひとかけらも眼に入らないようで、スケさんだけに向け次々と魔法が放たれた。彼はそれらをかわす様子もなく、ただその場に立っていた。
爆発の衝撃音が響く。煙がもうもうと、その周囲を覆う。にやりと再び、下卑た笑いを浮かべるアンデッド。その瞬間、来た。
強烈な威圧。音速を超え、ソニックブームを巻き起こしていると錯覚してしまうほどの超衝撃。海王に勝るとも劣らない、最強個体のみに許されたそれ。ああ、激オコだ。
私とクーラさんを除き、皆その場にへたり込む。アンデッドももちろん。あれは、もう動けない。
「この程度で、この程度のもので、娘を捨てアンデッドと化したか。」
無慈悲に進む死神。小細工なしで正しい向きに配置されたそれは、その意味するものを全うするため、歩みを進める。
一歩一歩。震えの止まらないアンデッドへと向かい、言葉を告げながら。
「これだから魔術師は好かんのだ。立派なご高説を傘に、まともな信念を持ち合わせん。だから、脆い。やつの甘言に、たやすく惑わされる。」
腰を抜かしながらも、その歩みを止めようと必死に魔法を放つアンデッド。そのすべてをその身で受け、なお歩む死神。目の前にたどり着く。
「わかったか。これが、信念の違いだ。わかるまいな。では、さらばだ。」
黒剣が、その愚かなアンデッドの身を断ち切った。
「私は、己に負けず、研鑽を積みます。カリオーネ様の下で、指導を受けながら。この身果てるまで。逃げず、めげず、研鑽を続けます。」
サニタがスケさんに、感謝と誠意の誓いをした。
「いや、あの時は怒っていたからな。ああ言ってはしまったが、魔術師も剣士も所詮人それぞれよ。それがしの娘などは、それはもう親に似ず優秀な魔術師でな。この数百年、それがし以上に精力的にこのような不逞の輩を退治し続けておるのよ。」
あ、なんかしらんが始まった。スケさんの娘自慢。
「スケさん、手合わせ。私、消化不良だわ。」
「おお、かまいませんぞ。この流れ、久しぶりに、本気で行きますかな?」
「どんと来なさい。」
広がる威圧。交える剣。刀を通じて通わせる。補助全開で、全力の思いを込めて、彼へと伝える。
お前の娘自慢、なげーんじゃ!




