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キレイの定義  作者: 他紀ゆずる
承編
55/80

11 登場人物は最低限でお願いします

ご指摘いただきまして、一部修正しました。

そうです、リーリアは悪魔でした。きっちり忘れていました。

ありがとうございました。

 出向いた王宮で通された豪華な部屋で、一瞬、顔を顰めてしまったのは仕方のないことだと思うんです。ただ、メトロスさんの影に隠れたのはやり過ぎだったかなぁ、とも思いますけど。


「…自分でまいた種とは言え、そこまでされるとさすがに気分のいいものではないのだが」

「自業自得なのでそれはいいのですが、隠れるならこちらにして下さいね、ミヤ?」

 少々雰囲気が柔らかくなったように見える某国王の息子様と、先ほどから比べると明らかに機嫌が悪くなっているアゼルさん。

 並んだ彼等を目の前に、もちろんわたしは旦那様に怯えました。

 当たり前です。ここは王城、人の目があるパブリックスペースだというのに、自宅にいるのと代わらぬテンションでお仕置きオーラを醸すのはやめて下さい。今すぐどうにかされそうで、本気で怖いです。身の危険(いろんな意味で)を感じます。


「あのね、今日からは僕らの妻でもあるんだから、怯えた彼女が僕に縋ってもおかしなことはないでしょ?」

 庇って下さったのは、非常にありがたいです。ありがたいんですが、ぎゅうぎゅう抱きしめるとか、肉体的にも精神的にもダメージあるんでやめて下さい。いくら細身のあなたでも、身長差は変わらないんで胸にぎゅうぎゅう押しつけられると本気で窒息しそうなんですけどっ!


「めっ、よ!やっ、よ!」

「だめだ、やめろと言っている」

 で、この窮状からわたしを助けてくれたのは、これまたこんな場所で会うはずのないコンビだったのです。

 止められて抱擁の緩んだメトロスさんの腕からするりと抜けると、開け放たれた扉の前に立ったレリレプトさんと黒のフリルだらけのドレスを着たリーリアがいる。

 今朝ぶりの2人だけれど、華美すぎる装いの乳児(?)と、黒ずくめで目から下も布で隠した暗殺者って…すごいビジュアルです。やたら犯罪くさい組み合わせです。


「あはは、すごいなぁ。どっからどうみても誘拐犯と人質にしか見えないや」

 そして、言いにくいことをさらっと口にしちゃうジャイロさんは、少し前までそうしていたように、ずーっと気配を消していたら良いと思います。いっそ存在も消しちゃって構いません。

 だってほら、どうするんですかこの微妙な空気!

 フォローできないって笑顔を引き攣らせているアゼルさんとメトロスさん、そうなのかって真顔で聞いてくる事情を知らないご子息様、黙して語らずがデフォのレリレプトさんに彼といられさえすればご機嫌なリーリア。


 困惑と疑念と無関心のコンボなんて、わたし対処できませんからね!どうするんですか!

 睨み付けるとさすがに冗談が通じる状態じゃないと理解できたのか、空気が読めない魔術師は肩を竦めて事態を収拾にかかった。


 まず、ご子息様にレリレプトさんは『正当な依頼』を遂行中で、リーリア本人から選ばれた婚約者であることを説明し、アゼルさんとメトロスさんには口が大いに滑ったと言い訳、最後に立ったままだったレリレプトさんに室内に入って今回の主役であるリーリアをでんと置かれた大きなソファーに降ろすように指示を出す。


 結果、話し合える程度に場は収まった。

 4つある長ソファーにそれぞれご子息様お1人、わたしを挟んでアゼルさんとメトロスさん、ジャイロさんが落ち着いたので。

 ただし、レリレプトさんとリーリアはわたしの背後に立っています。当然ながら彼女は大好きな人と離れる事を拒み、彼は他人のいる場所で『護衛』としての立場を崩すことをよしとしなかったからです。


 一途すぎで、融通利かなすぎだから、あなた方。年齢差ありすぎだけど、バカップルすぎるから。

 母は対応に困ります…。


 こっそり溜息をついたところに、ベリスさんとサンフォルさんに先導されていつか見たおじさん達が入ってきた。

 確か…あの時は前の王様と一緒にいたよね?温厚だったり、投げやりだったり、威厳があったりするおじさんたち。名前は聞いてないし、正体も知らないけれど多分偉いんだよね、うん。


 偉い人にはトラウマ持ちであるわたしはちょっと身構えちゃったのだけれど、3人の権威ある皆様は意外に柔らかな物腰、そして口調で自己紹介をしてくださった。


 黒髪に黒目のおじさんは、参謀のモーラスクさん。メトロスさんの直属の上司で、悪魔だそうです。

 銀髪が眩しい濃緑の瞳のおじさんは、参議のイロウスさん。天使でアゼルさんの上司とのこと。

 赤い髪に茶の瞳のおじさんは相変わらずだるそうにしているけれど、これでも騎士団の総団長さんなんだそうで、べリスさんやサンフォルさんより偉いんですって。お名前はゼルロンさん。


 皆さん、名乗ったあとに一斉に頭を下げてくださいました。

「重ね重ねすまなかった」

「全て私たちの監督不行き届きが招いたことです」

「まあ、なんだ。相手がうるさいようならとりあえず力づくで黙らせるから、心配するな」

 前2つはともかく、最後の1つは余計に心配が増しましたが?


 どう返事をしたものか困惑していると、モーラスクさんとイロウスさんがべリスさんとサンフォルさんに目配せをして、ゼルロンさんは殴り倒されました。

「ってえな!お前ら上司を殴るとはどういう了見だ!」

「「命令ですので」」

「なにぃ?!」

「見苦しい、ゼル」

 鈍い音をさせて背中に足跡をつけた団長は、床にべシャリと崩れました、が。


 部下に飛びかかろうとした総団長を、いうなれば体育会系のボスを今、文系トップに君臨するモーラスクさんが足蹴にしましたか?ええ??しました?

 信じられないものを見ちゃったと、オロオロしていたらイロウスさんと目が合いました。にっこり笑ったおじさまは、こんなこというんです。

「ミヤさん、おいしいケーキがあるんですがいかがです?ああ、焼き立てのクッキーもこちらに運ぶように申しつけてあるんですよ」


…無視、ですか。無視、なんですね。様子から察するに、これってよくある光景だったりします?

 傍らのメトロスさんを見上げるとひょいっと肩を上げられ、反対側ではアゼルさんが上司によく似た笑顔でケーキ好きでしょう?よかったですね、とかなんとか。よく見ればべリスさんとサンフォルさんも表情一つ変えることなく、その様子を見ている。

………わかりました。スルーですね。スルーがベストなんですね。


 おじ様たちのコントは見ないふりが1番だったらしく、その後も何やら喚いていたゼルロンさんはイロウスさんに微笑まれてなぜか急におとなしくなり、ため息をついたモーラスクさんの隣にそそくさとおさまった。

 3人の背後にはべリスさんとサンフォルさんが直立不動で立っていて、自分たちだって当事者なのにちょっと不自然な気がしたんだけれど、アゼルさんいわくお仕事中だからあれでいいだそうです。


 レリレプトさんといい、旦那様方といい、皆さん職務に忠実です。自由人な自分が社会人失格に思えます。

 とは思っても、出されたおいしそうなケーキを食べやめたりはしないんです。だって、おいしいって喜んでいる感情を天使の旦那様方が容赦なく搾取するものだから、食べても食べても満腹感がない。寧ろお腹が空く一方なんですよ!


 ま、こんな時つくづく思いますよね。自分はご飯を作り出すことが仕事だったなって。存外重労働なんですよ、これ。


 このような一連のやり取りの中、やっと話し合いは始まるようです。

 テーブルに出されていたお菓子の類をあらかた間食したわたしは、やれやれと思う一方、心配事にぶち当たっていましたけれどね。


 おじ様たちの名前…覚えられてない…あはは…。


書いている端から名前を忘れる…設定も忘れる…。

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