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あいつの本物
ガタン!
勢いよくドアを開ける。
空き教室になったこの部屋は古くてドアが開きにくいのだ。
“やっぱりここにいた。”
私はズカズカとあいつの隣に座った。
“お前、何しに来たんだよ。”
“サボりに。”
“はぁ?お前、授業数大丈夫なのかよ?”
“あんたに言われたくない。”
人の心配してる場合か。
と、心でツッコむ。
学校1のヤンキーと言われているが、ほんとは優しい。
出逢いはたまたまあいつのバイト先の飲食店に私が家族と食べに行ったこと。
学校はバイト禁止だから不思議だったが、事情を聞き納得した。
それからは何かとよく会う。
“ピアス、なんで開けたんだっけ?”
“ん、あーうちのガキがひとりで開けるの怖いから一緒に開けてくれって言うからな。”
こいつは施設育ちだ。
ピアスを開けたのも年下の子に頼まれて断れなかったからだし、制服を着ないのも買う金がもったいないかららしい。
夜は毎日バイトにあけくれている。
そう、噂話は全部事実だが、全部事実ではない。
その出来事を汲み取っただけの情報であり、そこに本人の気持ちも理由も存在しない。
こいつはヤンキーでも最低な奴でもない。
優しくて良い奴だ。
誰も知らない事実を知ってることに私は優越感を覚えた。




